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DADDY Motor Worksの行先!?

ダディーモーターワークス(愛知)


クルマのドレスアップって
一体全体どういうこと?
ワクワク感ってナニ?

音楽ファイルを『圧縮』するという方法がある。
デジタルファイルの容量を節約する方法だが、
音源でいえば、ウインドウズ系のMP3、マック系のAACといったものがそれです。
画像なら、jpgファイルもそのひとつです。

そして、これらは『不可逆圧縮』といわれているもので、
一度圧縮すると、元のデータに戻すことはできない。

しかしながら、一方で『可逆圧縮』というフォーマットも存在して、
これは、一時的に圧縮したけれど、もう一度元のデータに戻すことができますよ、
というものであります。音源ならWAV、FLACといったものがそれです。

ま、一般に言われている区分は、上記のようになるんですが、
クルマのドレスアップということについて考えているときに、
どうしてだか、こういうことが、ふっと頭をよぎりました。

クルマのドレスアップというと、
インチアップだのツライチだの車高短だの、
そっからチョップドだのキラキラだのと、
どんどんとワケのわからないところに足を踏み入れていきます。

そうなんです。


『華美』なのがドレスアップだと思いこんでいるヒトが、
世の中には非常に多く存在します。

ピカピカであれば、キレイであればドレスアップ。
ギンギラであれば、派手派手であればドレスアップ。

ま、アジア人的な美意識、日本人的なブランド志向、
そういったものをスタートラインにすれば、
当然のようにそうなりますわな。

しかしながら、こいつは身びいきかもしれませんが、
日本人には、日本人にしかない美意識というものが、
どうやらあるんじゃなかろうか?
そう思い始めたのは、いつごろからでしょうか?

といっても、いきなりの侘び寂びや、水墨画体質、
秘伝口伝、伝統格式といったものを言ってるわけじゃないんです。

『清潔好き』とでも言ったらいいんでしょうか。
そういう体質が、日本人にはあります。

オフロに入ってさっぱりした。
汗臭い衣類はイヤだ。
たまにはクルマを洗車したい。
食事の前には手を洗う。

当たり前だと思いこんでいる事柄が、
外国の人からは「ナンだそれ?」とびっくりされる
そういう部分が、日本にはまだまだ残されております。

そして、日本が生産したクルマをベースに、
国産のエンジンや内装感を題材にして、
日本的な価値判断で美しいと感じる。
そういうものが、存在しないのか?

そんな事を考えているときに、遭遇したのが、
いまは故人となってしまったDookiesの込谷さんでした。

アメリカ生まれのホットロッド文化の
いい部分を吸収しながらも、国産エンジン、日本車に
そのノウハウを展開しながら、独自の世界観を
追求していた……それが込谷さんだったと思います。

最初、彼が自分の30Zをベースにやり始めたときは、
本人的にも無自覚だったと思います。
自分のセンスで、ON/OFFを決め、
妥協しないで、あるカタチを追求しよう。
そう思い続けた結果が、あの30Zだったと思います。

しかしながら、その後、ボディもエンジンも異なるものを
材料にして、何台かのマシンをモディファイしていくなかで、
彼なりに、なんらかの方法論というか、方向性を感じ始めました。

だからこそ、藤本がやり始めたTuningPOWERS!という
ショーの会場に、Dookiesブースを設置しました。

込谷さんが制作したマシンを、一堂に見ることができる場所。
そのなかから、TuningPOWERS!に来たヒト、
そして、込谷さん自身にも、ナニかを感じていただきたい。
そう思ったからでした。

そして、そこで、ナニかを見たヒトは、確実に存在しました。

 

今回お邪魔したのは、DADDY Motor Worksの尾頭さんの
NEWガレージであります。

 

以前、スバル360SS風の紹介をしたときのガレージは賃貸でしたが、
今回のNEWガレージは、清水の舞台からホップ・ステップ・ジャンプした
オーナーガレージであります。
なんでも、名古屋のクルマ関係の定例飲み会で、
「自分の工場を建てる!」と宣言(?)して、
その言を実行したそうでありますが、この時代に、
こういう決断をするということは、尾頭さんはもうひとつの決意を
『決定した!』のではないか? 藤本的にはそう感じました。

敷地は広いです。百姓換算で言えば、一反ほどでしょうか。
そして、天井高の高いガレージ本屋も、けっこうな広さであります。
そんななかで、久しぶりに、尾頭さんと話をしました。
そのときの模様は、下記のビデオに収録しておりますので、
ちょっと長いですが、ご覧になってくださいませ(笑)

 

☆DADDY Motor Works 日本式DRESS UP!

 動画が見れない場合は、上のリンクのを クリックしてくださいませ。

 

話の途中で、ガレージ内を見せてもらったのですが、
そのとき、藤本の感覚では『完全スルー』のマシンが、
2柱リフトに乗っかっておりました。

コロナ、です。

一見すると、パイピング関連の作業を依頼されて、
ワンオフ作業の途中……というふうに見えました。
エンジンは、そのままで、パイピングを、尾頭さんに依頼、
そういう作業かなと思ったのですが、
尾頭さん自身から話を聞くと、なんだか、とんでもなく
こんぐらかったマシンでありました。

 

オーナーさんの意向としては、
「車高短のままで、日常生活を支障なくクリアしたい」
とのことで、クルマの居住スペース(=車室内のフロア部)を
バッサリとカットして、フレームを角パイプで組み直して、
新たに制作したとのこと。
そして、一見ノーマルのように見えたエンジンは、
実はスワップしているとのこと。

しかしながら、搭載されているエンジンは、
1G-FE……でありました。

「オーナーでもない限り、このエンジンが純正かどうか
わからないですよね〜(笑)」という尾頭さん。

たしかに、ハイメカツインカムの1G-FEエンジンには、
びっくりするような曲率のEXマニホールドがセットされているが、
それでも、1G-FEであります。1G-Gでも3S-Gでも、RB26DETTでも、
13BREでもなく(尾頭さんの手にかかったSAWPマシンの実例)、
ハイメカツインカムの1G-FEでありました。


「エンジンの性能を追求するという方向性とは違っているかもしれません。
このEXマニホールドだって、効率や性能を追求した形状ではないです」

そうです。異様な曲率というか、ボリュームアップを目的としたような
EXマニホールドは、これまで見たことのないような形状を持っております。

なんなんでしょ、これは?


新しいガレージに移って、尾頭さんがどこか変貌している。

「エンジンのチューニング屋さんじゃないんですよね、ウチは」

何気なく聞いていた一言が、ググッと重みをまして響いてきた。

アートガレージから、C&Yスポーツ、
そして自身のDADDY Motor Worksを展開し始め、
今回の決意表明的な移転……。

そっかぁ、そうなんだぁ、いや、そうかもしれない。

頭のなかを、いろんなことが駆け巡りました。

ひょっとしたら、自分は、いま、新しいものの誕生に、
立ち会おうとしているのかもしれない。
そんな感覚が芽生えてまいりました。

 

コロナという没個性的なベースマシンに、
ノーマルの1G-FEハイメカツインカムをスワップ、
アルテッツァの6速ミッションを組み合わせ、
フロント&リヤのトレッドをナロー化。
そして、前述のフロアフレームをモディファイして、
ローライズ対応としている。

取材時は、2柱リフトに上がっていて作業中だったので、
その全貌を知ることはできなかったので、
尾頭さんに依頼して、完成車の写真を送ってもらうよう
お願いしましたので、届き次第下記に貼り付けますが、
写真を見る限りでは、限りなくノーマルというか、
まったくノーマルの車高短仕様……99%の人間は、
そう見過ごすに違いない。

 

尾頭さんから届き次第、こちらにコロナの完成写真を
貼り付けます……しばし、お待ち下さい(笑)

いただきました〜。
F&R共に、ナロー化されてます。

 

でも、これなら、パッと見て、わかる人はわかりますね。
でも、わかんないヒトは……わかんないでしょね〜。

尾頭さん、ありあとやんした。

 

 

「ハハッ、そうですよね。オーナーでもない限り、
このエンジンが載せ替えられているなんて、思いもしませんし、
下回りがごっそりと変わっているなんて、想像もしませんよね」

現在、全国各地でクルマ関係の「Meeting」が開催され、
旧車や痛車、オーナーズクラブ等の集まりが盛り上がっている。

しかしながら、その場で、同好の人たちの関心を集めるのは、
稀少な仕様であったり、ド派手なエンジンルームであったり、
スカチューン的なレス仕様だったりと、一見してわかりやすいモノ。

そこに、このようなコロナを持っていったとしたら……。

会場の片隅で、お弁当を食べながら、通り過ぎる来場者を
眺めている光景しか想像ができないんですよね。
そればかりか、説明をして、解説をして、アッピールをしても、
ほとんどの来場者には、感激どころか、理解さえしてもらえないのではないか?

そんな杞憂を覚えます……と、最初のときは、クルマの外観を想像しながら
書いていたのですが、尾頭さんから写真を頂いた瞬間に、
そいつは、完全な誤りであったことを思い知らされました。

誰も見ないどころか、ちょっとクルマのことに詳しいヒトなら、
びっくり仰天のスペシャルじゃないですか。

ふっと思い出したマシンがありました。
北海道の渡辺さんが作ったフルパイプのFC3S
DragSPLです。
こうやって並べてみると、なんとなく雰囲気が
似通っている部分があるということが、
おわかりいただけると思います。
いやぁ、フロアを加工するということは、
こういう効果を生み出すわけですね〜。

脱帽……でした。

その昔、CARBOYで制作したカローラセダンに
2T-G改2Lの320/304度仕様のエンジンを搭載し、
「ダサカロ」と命名したマシンの内装には、
レースのシートカバー&ヘッドレストを装備しておりました。
どっから見ても、とっつぁんが買ったカローラセダン。
新車購入時に、担当者に粘っておまけしてもらったレースのカバー。
そうとしか見えないクルマが、なんだかけたたましいEXノートを
響かせている。そんなギャップを狙ったものでしたが、
このコンセプトはCARBOYが誌面を創っていくうえでの
基本ポリシーというか、根本原則といいますか、
『外観ノーマル風、中身フルチューン!』に
お笑いのアクセントをふりかけたものでありました。

 

でも、尾頭さんの考えるマシンは、そういうものとも、
前述した込谷さんのそれとも、微妙に異なっています。

冒頭で述べた、音楽ファイルのうちの、
『非可逆圧縮』と『可逆圧縮』ですが、
もともと持っている要素というものを
全世界共通の美意識だと仮定してみると、
『非可逆圧縮』のMP3は、アジア的な便利&簡便仕様。
聞ければいいじゃん的な、非常にアバウトだけど大衆向けのもの。
『可逆圧縮』というのは、そのヒトや国民性によって
種類や感覚が異なるものの、細部にこだわりがあって、
どうしても譲れない部分に固執するマニア的なもの。

誤解を恐れずに言えば、大雑把にそんな感じの分け方になるかもしれない。

そして、クルマのドレスアップということに関していうなら、
一般受けする簡単な、それこそ『ドレスアップ!』の範疇のものと、
込谷式、尾頭式の方法論は、大きく異なっていると思えてならない。

アメリカのホットロッド方式というのは、『可逆圧縮』のなかでも、
アメリカ式のもの。込谷式、尾頭式のドレスアップは、日本式のなかの、
ひとつの亜種というか、パターンのひとつ。

いやあ、言葉で表現しようとすると、非常にこんぐらかってしまいます。

ただ、見れば、わかる。感じれば、わかる。ものです。

摩訶不思議なコロナもそうですが、
DADDY Motor Worksの工房の片隅には、
もうひとつワケのわからないものがダンボールに入ってました。

尾頭さんに説明をお願いすると、
「あ、これですか。こいつはアメリカで作られている
エアコンのセットなんです」

旧車や絶版車に限らず、国産車のなかでも、
生産年が古くなっていくに従って、パーツの供給が
途絶えていくというのは、最近ではよく聞く話だし、
今後はもっともっと増えていくことは決定的。

旧車と呼ばれるようになったクルマを、
好きだから、楽しいから、いまのクルマに魅力を感じないから、
とまあ、様々な理由で選択しようと思ったときに、
大きな障害になるのは『エアコン』であります。

昔は贅沢品だったエアコンですが(いつの時代の話や〜)、
いまでは現代クルマ生活にとって、なくてはならない装備であります。

芦ノ湖周辺や、心地よいワインディングロードだけを走ればいい
住環境ならまだしも(そんなやついるか?)、都市部の渋滞や
猛暑の昨今、いくらクルマが気に入っても、エアコンなしの仕様は、
やっぱりというか、当然のことですが障害が大きすぎます。

でも、純正部品でもダメ、アフターのパーツはどうも信用できない。
そんな状況のなかで、将来的にも安定供給できるエアコンシステムを
確保するというのは、尾頭さん的なクルマづくりをしていく上では、
非常に重要な案件であります。

「この会社は、これまでもずっとエアコンパーツを作り続けてきて、
これからも安定してパーツ供給してくれそうなので……」と尾頭さん。

基本的な性能はもとより、将来的な部品供給は必須条件。

そっかぁ、尾頭さんは、こんなこと考えてるんだ。


そして、そこからエアコンの話に移った。

国産車に適用するためには、細かなフィッティングの違いや、
漏れ防止の考え方の違い、そして、実際にクルマに装着するときの
セット方法や、パイピングの作り方……多岐にわたって教えてもらいました。
しかしながら、ほとんどのことは、藤本の右の耳から左の耳に抜けていきました。
尾頭さん、申し訳ない。聞いても、理解したつもりでも、記憶に残りませんでした。
どこかで、「ココカラサキハ、キイテモ、オナカイッパイ」モードに入ったからです。

しかしながら、ひとつだけ、印象に残っていることがありました。

コアや、パイプをフィッティングしていくなかでの『溶接』のことです。
アルミ溶接に使う溶接棒にも、色んな種類があって、低い温度で溶ける溶接棒を
発見して使っているという件でした。

一般的に知られているように、エアコンやラジエターのコンデンサーは、
昔ながらの職人さんは「ロウ付け」という手法で作業を行います。
言ってみればハンダみたいなもので、母材を溶かすのではなく、
溶かした金属を、金属の隙間や穴をふさぐようにくっつける方法です。

しかしながら、尾頭さんは「いやぁ、ロウ付けは苦手なんです」
「だから、ボクの場合はほぼ溶接で……」と。

溶接用の作業台には、素人目にはよく判断がつかない部材や
設備が乗っかっているが、そのなかで、溶解温度の低い溶接棒と
一般的なアルミ溶接棒を並べて写真に撮ってみましたが……(笑)

 

まあ、そういうわけで、新装なったDADDY Motor Worksに
お邪魔してきましたが、ガレージ内には、まだまだ進行中の
スバル360SS風や、スワップ待ちのマシン、
独特のテイストで作業を進められているクルマなどがいろいろ。

 

そのあたりは、また別項で紹介したいと思っておりますが、
今回、藤本が鈍いながらも感じた
『尾頭さんの変化』が、今後どのような
展開を見せてくれるのか?
メイドインジャパンのマシン作りのうち、
見たこともない世界感が、どのように拡がっていくのか?

このあたりについては、ジックリと尾頭さんの動向をさぐりながら
ご報告したいと思っておりますです、はい。



ダディーモーターワークス
DADDY Motor Works
〒470-1101 愛知県豊明市沓掛町神明13
TEL&FAX 0562-85-9911

http://daddymotorworks.com

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