DADDY Motor Worksの尾頭さんは、この記事が掲載された当時
あのC&Yスポーツに勤務していた。その後、DADDY Motor Worksを
設立して独立。独自のSWAP技に磨きをかけている。
現在の尾頭さんの仕事については、おいおいと紹介していく予定です。
ただ、C&Y時代の仕事が、あまりにも強烈なので、
まずは、そちらから紹介していきたいと思います。
CARBOY2005年12月に掲載
※以下、当時のまま掲載させていただきますので※
※価格、仕様等は変更されている可能性が大です※
21世紀CB職人伝
日本には世界に類を見ないほど
細やかで高い技術力と
熱い職人魂がある。
JAPANESE PROFESSIONAL WORKS 第10回
ENGINE SWAP
一見すると普通に見える
でも、実は強烈すぎるほどの
尾頭流こだわりSWAP作戦!!
2005年12月までのSWAP歴
搭載車両→→→エンジン
TE71カローラ ←← 2JZターボ
TE71カローラ ←← 4A-G5バルブ
GX100 ←← 1JZターボ
GX100 ←← 2JZターボ
RT122コロナ ←← 3S-GT
GZ20ソアラ ←← 1JZvvt-I
GA70スープラ ←← 2JZターボ
アルテッツァ ←← 2JZターボ
31セフィーロ ←← RB26DETT
Y30グロリア ←← RB26DETT
Y32グロリア ←← RB26DETT
Z31 ←← RB25DET
Z32 ←← RB26DETT
S13シルビア ←← RB26DETT
S13シルビア ←← 2JZターボ
S14シルビア ←← 1JZターボ
S15シルビア ←← RB26DETT
KGC110ケンメリ→→→RB26DETT
DR30→→→RB26DETT
NAロードスター→→→F20A
BIRKIN7→→→4AーG
AE86→→→SR20DET
AE86→→→3S-GT
FD3S→→→VQ45
AE86→→→RB26DETT
R32GT-S→→→1JZターボ
巷で噂になっているのが「C&Yのスワップって、どんどん仕上がりがよくなってきたよね」である。その原因として、ほとんどのひとが考えているのが「あれだけ多くのスワップをやっていれば、上手くなるのは当然だろね〜」である。
だが、実際にはC&Yのメカニックには作業分担があり、そのなかで主にスワップ作業を行っているのは、今回紹介する尾頭さん。
生涯最初のスワップは、「スクーターのタクトにJOGのエンジンを移植したこと(笑)」という尾頭さんは、自動車の専門学校を卒業してアートガレージに入社。そこで、様々な実作業に触れることになる。
アートガレージ出身のメカニックは、他のショップとは違って、独特のアプローチや考え方をしていることで知られている。イーグルの加藤さんを始めとして、アバンス名東の中尾さんもそうだし、みんな作りモノができて、様々な種類の作業をこなすことができる……そんな系譜のなかにいる尾頭さんが選んだジャンルはエンジンスワップだった。
「仕事として最初にやったスワップは、ジャガーにアリスト用の2JZを載せることでした。その後、自分でイロイロと考えながらスワップを続けてきたら、いつの間にかこんな数になってしまいました」
これまでに尾頭さんが行ったスワップ一覧は、別項を見て頂きたいが、そんななかで、尾頭さんなりのスワップノウハウが蓄積されてきた。
「基本的には、エンジン側のハーネスを活かすようにします。もしもエンジンがブローしたりしても、スッと載せ換えられますから」という。これは、スワップのプロとして、仕事をしてきた結果だろう。
素人が考えるときに、一番難しい作業は、エンジンのマウント方式だが、この点も尾頭式スワップでは、非常に整理されている。
エンジン側のブラケットを使うケース、メンバー側のブラケットを使うケース、どちらも、基本ブラケットに合わせて相手側を製作することでエンジンをマウントすることが可能になる。ただ、たまにはどちらも使えずに、両方製作しなければいけないケースも発生する。
スワップを行う最初の作業は計測から。エンジンの寸法と、載せるエンジンルームのサイズを大雑把に計って、可能かどうかを判定。その後、部品が用意できれば、エンジンを座らすのに1日、ミッションまでやって1日半というのが、尾頭さんの作業ペースだ。だが、エンジンが座っても、問題はまだまだこれから。
オイルパンのオイル溜め部分が合わない場合は、オイルパン側を加工するか、メンバーを加工する必要が出てくる。このあたりはスワップに詳しいひとなら「ああ、アレね」とわかってもらえるのだが、その作業はなかなかに大変。オイルパンやメンバーを切った貼ったしながら、強度と耐久性を確保しなくてはいけない。ただし……C&Yでは、互換パーツの豊富なノウハウがある。
例えば、70スープラにRB26DETTを移植する場合、Z用のオイルパン&ストレーナーを使えば、オイル溜まりがリヤ側に変更でき、スッと搭載できる、とか。
「タービンを交換するという前提でのスワップは、意外に簡単なんです。フロントパイプ側をなんとか工夫すれば載ってしまうんです。でも、純正のままという場合には、けっこうたいへんなケースがありますね。2JZの純正シーケンシャルツインなんかは、スペース的に大変です」
スワップ不能と判断するのは、サイズの問題だけではなく、ブレーキ系統に当たってしまうケース。この場合、ブレーキを移設してスワップを行うのではなく、不能宣言がでる。
尾頭さんが行ったスワップのなかで、他のメカニックが首をかしげている仕事がある。Z32にRB26DETTを載せているのだが、尾頭さんがやった仕事では、ボンネットが閉まるのだ。どう考えても、カムカバーとボンネットが当たって閉まるはずがない……どうして??
この種明かしは、実に多様な加工の連続の上に成り立っていた。ミッションのFハウジングにRB26DETT用を使えば、エンジンが少し前にいく。コレが原因のひとつ。そこで、ミッションメンバーを後ろに移設してタイプMのミッションに交換して、シフト位置を合わせる。そうすることでエンジンが若干後ろに行く。そしてZ31用のオイルパン(若干薄い)を使ってエンジンを下げる。もひとつオマケに、カムカバーを加工して当たる部分を少し削った……このような仕事の結果、ボンネットが普通に閉まるようになる。
「個人的な趣味は別なんですが、仕事としてのスワップは、一見するとわからないのがイイと考えています。純正と見間違うような収まり具合、違和感のない外観、ジックリ見ると『エッ? これエンジン違うよ!』というのが、最高のスワップかな……なんてやつがいいですね〜」
ただ、そのためには非常に面倒くさい作業が必要になる。配線&配管に関しても、整備解説書の原図からひとつずつ配線をたぐり、合体するボディとの整合性を探る作業は、非常に手間がかかる。だから、間違いの無いように、配線をたどる作業、実際の配線にタグを付ける作業、配線を結線する作業と、それぞれの作業は、絶対に一緒にやらないという。
どこかで絶対にミスが出る。そして、そのミスを探し出すことは、決戦後は非常に大変。
自分が経験したスワップ作業は、綿密に記録を取る。そして、まだやったことのない組み合わせ、一見不可能に見えるスワップ……現在チャレンジ中なのは、FD3SにV型8気筒のVQ45。メチャクチャな取り合わせだが、既にエンジンはFDのエンジンルーム内に座っている。
「こんなことばっかりやってるから、多少のスワップじゃスワップとは思えなくなってしまいました(笑)」
これまで行ってきたスワップの記録簿。いろいろな配線&配管の記録がビッシリと。他の人間が見てもわかるように考えてストックされている。
このように、配線図にスワップ用の記録を書き込むことによって、配線の合体が可能となる。できればエンジン側のハーネスは活かす方向で……という。
現在行っている作業は、スカイラインタイプMに1JZターボを移植すること。マウントキットも製作したというが、日本で何人がやる気になる??
このように、配線にはひと目でわかるようにタブをつけていく。配線図を分析する作業、タブを付ける作業、合体する作業と、それぞれ独立して行う。
トヨタ車の場合、この右側のカプラーがないとスワップが行えない。だから解体屋さん等では、コレを必死になって探し、ストックを貯め込んでいる。
ダディーモーターワークス
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