L型がそうであったように、エンジンのロング
ストローク化という手段はその性格をガラリと
変えてしまう力を持っている。L28にLD28の
クランクを入れたように、RB26にRD28の
83oストロークを導入する……ベースになる
エンジンのポテンシャル向上が最大の目的だ!!

 
CARBOY2005年3月に掲載された、RISINGの新しい試み。
前回、RB26DETTをベースにして、2.9Lという排気量を実現したRISINGだったが、
それに加えて、可変バルブタイミング機構を独自のシステムで作り上げられないか?と
構想を練って、新しい試みが始まった。その模様を再現してみよう……。
※以下、当時のまま掲載させていただきますので、※
※価格、仕様等は変更されている可能性が大です)※
RB26エンジンを搭載したGT-Rも、R32タイプで10年選手となってきた。
当然のことながら、エンジンは酷使され、OHを要求するエンジンも多くなってきている。
ここで、エンジンや補機類を含めたOHを行なおうと考えたときに、
問題になるのはそれに要する費用である。一般的に、エンジンOHで50万円前後、
リビルトのOHエンジンを使うという手もあるが、それでも載せ換えや他の
パーツの費用等を考えると、けっこうな金額を覚悟しなくてはいけない。
もちろん、そのようにしたあとはどうか?というと……やっぱりノーマルなのだ。
ブーストアップで満足できるのならそれでもいいだろう。だけど、それじゃ
納得できないひと、モアパワー&レスポンスが欲しいひとは、一般的なOHや
リビルト載せ換えでは満足はできない。
R32GT-Rの一オーナーとして、そしてエンジンチューナーとして、
こいつに真剣に取り組んでみようと考えたのが、ライジングの伊藤さんだ。
ドラッグフリークなら御存知だと思うけれども、L型NA最速のライジング
サニーの製作者であり、独自の視点に基づいたL型チューンの代表選手でもある。

そんな伊藤さんのRB26改プロジェクトだから、ごく一般的な『解』
で納まるわけがない。L型同様、直列6気筒のチューニングにずっと
取り組んできた経験から導き出された結論は「エンジン自体にパンチがある仕様!」だった。
タービンはノーマルか、同等のものでOK。エンジン本体のポテンシャルを
上げることで、ストリート用の新しい仕様を作り上げてくれた。
ライジング流のRB26チューンは、ロングストローククランクを導入した
メカチューンである。この手法は、OS技研やHKS製のハイデッキ仕様と同様に、
ロングストロークのクランクとアッパーデッキを使用してエンジン本体の
パンチ力を発生させようというものだ。
というと、費用の問題が気になってくる。使用するパーツの価格だけでも
150万~200万円。それに工賃やなんだかんだで……「ダメです! 無理です。
とてもじゃないけど、給料の少ないボクには無理な仕様です!!」という悲痛な
声が聞こえてきそうですが、その点は安心していただきたい。最後にデータ&
価格を提示していますが、価格は部品代から加工代、そして工賃やショート
パーツにいたるまで、おっと、もちろんエンジン載せ換え作業も
含んで98万円!という価格(註:2005年当時)。
最初に言ったように、一般的なOHでも、総額となると60~70万円程度は
かかると思われます。バルブガイドを始めとする各部が破損していたりすると、
それに応じて費用はググッと上がります。
そう考えてみると、今回紹介しているRD28クランクを使ったロング
ストローク仕様は、非常に魅力的な存在となってくる。ちょっとメカに
詳しいひとなら、「なにも、クランクだけにこだわらないで、RB30ブロックを
使えば、排気量だってもっと大きくなるし、費用も安くできるんじゃないの?」
という疑問を持つかもしれない。
でも、ここに大きな盲点があります。ハイ。RB26ブロックを使うというのは、
ベース車輌がGT-Rだからなんです。GTSに搭載するならいいけど、GT-Rってのは
4WDなんですよね~。デフを始めとして、いろんなシステムを使おうとすると、
やっぱりベースブロックはRB26じゃないとダメ。
というわけで、金額的に納得していただいたところで、ライジング流の
『なんちぇってハイデッキ仕様のRB28SPL』の詳細を紹介していこうと思う。
基本的には、ロングストローククランクを中心に、エンジンの排気量を
2.6♀から2.9♀(正確には2925cc)に増大し、それにポート研磨&燃焼室加工、
バルブガイドの交換(RB26はこいつが最大の弱点)をしたヘッドをドッキング
させるというシステムになる。
このエンジンに組み合わせるタービンは……ノーマル。あくまでも
ストリート用として開発されただけに、ターボの力でパワーを絞り出す
というタイプではなく、エンジン本体の力を最大限に引き出すということを
目的に作られた仕様なのだ。
「ボク自身が、日常の足として乗っていて、どうにもかったるい。
ブーストアップしてやると、パワーは出てくれるけど、下がカローラみたいに
だらしがない……どうしよう?と考えた結果がこれなんです。踏めばすぐに
正圧領域に入るし、エンジンのパンチ力があるので、低速も中間も迫力が出ます。
だけど、当然のことですが、でかいタービンを使ったときの高速域の
フィーリングというのはありません。
でも、そういうのって、ストリートで本当に必要なのか?と考えると、
ボクはこれくらいのフィーリングで十分だと思っています。だから、
タービンはノーマル、あるいは、変えてもN1程度でしょう。とにかく、
アイドリングから猛々しさがありますから、そういう仕様を欲しいひとに
乗ってもらいたいと思います」というのが伊藤さんの考え。日常の足として
気軽に使えて、なおかつレスポンスが尋常じゃない。ターボに引っ張られる
感じではなく、エンジンがボディを動かしている……ちょっと難しいのだが、
そういうGT-Rになる。
パワー的には460馬力くらいだろう。ブーストは1.1kg/cm2。だけど、
トルクは最大で55kgm。4000回転から50kgmをオーバーしているから、
ストリートでの速さとしては相当なものがある。
このRB26改2.9♀は、クランクシャフトをRD28用のものを使うのだが、
ノーマル比で5oストロークが延びる。そのままだとブロック上面から
ピストンが飛び出してしまう……というか、燃焼室と激突してしまう。
これを逃れるために、伊藤さんが考えたのが『なんちゃってアッパーデッキ』
ステンレス素材の厚さ5oのプレート(ガスケットと同じ形状でカットされている)を
ヘッドとブロックの間に挟むことで、ピストントップの逃げ場所を確保している。
これが可能になった理由は、ピストンが、圧縮上死点にきたときに、トップリングの
位置がブロック上面よりも下にある……ということ。
リングがブロック上面よりも上に出てしまうと、こういう構造では段差があってダメ。
OS技研やHKSのハイデッキと同じように、スリーブ構造をとらなければならないのだ。
名前はチャラチャラしてるけど『なんちゃってアッパーデッキ』は非常に上手く
考えられ、キレイな寸法の収まりを見せる方法。
ただし、写真を見ていただければおわかりのように、加工箇所は非常に多いし、
ヘッドの加工はL型チューン譲りの丁寧な仕事が施されている。これだけの加工を
含んだ価格としては、98万円という値段は、破格といってもいいだろう。
メカチューンの感覚では常識となっているコンロッド大端部の軽量化加工、
燃焼室のこだわり、ガイド周辺の肉の削り方……おまけに新品のN1ウオーター&
オイルポンプ、メタル、オイル他のショートパーツ類が含まれるというのだから
……非常にソソられるひとは多いと思う。
なにもないときに98万円という価格は、非常に高いと感じる。だけど、
キミのGT-Rがエンジンの寿命、あるいはOHを要求しているときなら、
その費用に少しばかり上乗せするだけで、RB26改2.9♀仕様に手が届くと
なれば……このチューンは、現実的なものになってくる。
タービンのブーストパワーだけに頼らないチューニング方法、NAをベースに
して、そいつにターボパワーを被せていく。そんな異色RBチューンだが、
ストリート用としては強烈に魅力的!!
 
CARBOY2005年3月掲載
 RISING
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