RISING VALVE CONTROL SYSTEM STEP 3

RISING(東京)

CARBOY TUNING TECHNOLOGY
●RVCS RISING VALVE CONTROL SYSTEM





CARBOY2007年5月に掲載された、RISINGの可変バルブタイミング機構のSTEP3。

 可変バルブタイミング機構を独自のシステムで作り上げられないか?と
新しい試みが始まったRVCSシステム。そのステップアップバージョンを紹介!



    ※以下、当時のまま掲載させていただきますので、※
    ※
価格、仕様等は変更されている可能性が大です)※


私家版の可変バルブタイミング機構の改訂版を紹介
今回はFD3Sのマグネットスイッチを
流用したIN&EX双方駆動方式だ!!

機械駆動だったSTEP2の弱点を克服
電気信号駆使の可変バルタイSYSTEM!! 
RVCS STEP3 開発!! 

これまでのSTEP紹介

RVCS STEP1
日産NVCS流用の可変バルタイ完成!



■最初のNVCS流用バージョンは、RB25DET同様にIN側だけを可変にするというタイプだった。作用角の大きい市販カムシャフトのフロント部分を加工して、RB25DET用のNVCSパーツを装着できるようにした。そして、このNVCS駆動のための油圧を、ヘッドに穴を開けて、そこから得るように考えた。





 その結果、エンジンの外側にソレノイドスイッチをセットして、任意の回転数で、NVCSを作動させることができるようになった。


RVCS STEP2
なんとIN&EXともに




■上のステップ1の場合、エンジンの回転信号はEX側のクランクアングルセンサーを使っていた。だが、テストを繰り返しているうちに、IN側だけではなく、EX側も可変バルタイ機構にした方がフィーリングも性能もいいことに気がつき、ステップ2に進むことに。





 機械的になんとかできないか?ということで、純正のクランクアングルセンサーをセンター部分に移植。ベルト駆動するという方式である。これで完成か?と思われたが……

 

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RVCSというと、聞き馴染みのない言葉に「???」となるひとも多いはず。そうです。これはCB造語なんです。日産純正の可変バルタイシステムであるNVCSを、ライジングの伊藤さんが、RB26DETTに流用したので、RVCS(ライジング・バルブタイミング・コントロール・システム)と命名したわけです。
 で、今回紹介するのは、そのRVCSのステップ3バージョン。いよいよ最終型に近づいているわけだが、前回CBで紹介したのは、インテーク側だけではなく、エキゾースト側にも日産のNVCSをツイン流用したタイプだった。



 エンジンの回転情報を確保するために、普通はエキゾースト側のスプロケットに
セットされていたクランクアングルセンサー(クランクがいまどの位置にいるのか?
を知らせるセンサー)を、ヘッド中央部に移植し、その駆動をエキゾースト側の
カムシャフトからベルトを使って取り出すというシステムだった。


 うん、こりゃあスゴイ。その機械的な解決の仕方を見たとき、CBは感心した。
そして、これでシッカリと駆動すれば完成……と思った。

 だが、思わぬ伏兵がいた。伊藤さんからSOSが入ったのは、昨年末のことだった。
「ベルトが切れるんですよ」……ンッ? オフセットさせたクランクアングル
センサーを駆動するためのベルトが切れるというのだ。でも、強度的には充分な
ものであったはずなのに?

「一方向に関しては、充分な耐久力をを持っていたんです。
ただ、エンジンというのは、双方向に力がかかる(アクセルのON/OFFに
応じて)ので、ベルトが悲鳴を上げたんでしょうね」というのだ。

 さて、困った。起死回生の移植作戦だったが、肝心のベルトが切れると、
可変バルタイどころか、エンジンがストップしてしまう。

 その後、しばらく伊藤さんから連絡はなかった。そして、つい先日のこと……
「解決しました! いろいろと試行錯誤しましたが、今度は半永久的に壊れない
システムができると思いますよ」と連絡が。

 早速八王子にあるライジングガレージに直行。R34GT-Rのボンネットを
開けてもらうと、見慣れないものがセットされていた。





「機械的に作動させることができないんだったら、電気的に動かすという方向で
考えました。結果的にはマグネットスイッチをふたつ使って、クランクの角度(1度毎)と
気筒判別用の信号をF-CON Vproに入れることで解決しました」

 使用したマグネットピックアップは、FD3Sに使われているもの。
日産は光学的なピックアップを使用するのだが、トヨタやマツダ(デンソー系)は
磁石を使用する。

 FD3Sでは、クランクプーリー裏側にスリットを入れたプレートをセットし、
マグネットピックアップで、回転信号を取り出している。

 これをそのまま流用したら?と考えて、最初のチャレンジを開始。

 RB26DETTのクランクプーリー裏に角度&気筒判別用の両方の信号が取れる
ような形状を持ったアルミプレートを製作して、そこにふたつのピックアップをセット

 そして、クランキングしてみると……う~ん、どうやら、ダイナモの位置が
近いせいか、マグネットピックアップから取り出す信号にノイズが入ってしまうのだ。

 流用元である13BTでは、プーリー位置とダイナモの距離が離れているのだが、
RB26DETTでは至近距離にダイナモがある構造なので、どうしてもノイズが混入してしまう。

 そこで、ダイナモに近いところにセットしていた気筒判別のピックアップのみを、
移植することに決定。



 装着する場所は、フロントカバーの上部。エキゾースト側のカムスプロケットの
ボルト部分にL字型のブラケットを共締めして、そこから信号をとることに。

 クランクが2回転するときに、カムプーリは1回転だから、そこを演算させながら、F-CON Vproに信号を送り込んでみる。
 オシロスコープを使用して、ピックアップから取り出した信号の波形をチェックして、
キレイにそろっている位置とクリアランスを調整しながら、最終的な位置決めを行う。

 ただし、ノーマルのクランクアングルセンサーがないので、純正コンピュータの
認識では「エンジンが回っていない」となるので、チェックランプが点灯する。
だが、アテーサ等の作動は行っているので、ここだけは無視。F-CON Vpro内部の
内部を変更しながら、いろいろなパターンを試した結果、見事火が入った。
F-CON Vproの場合、一度G信号(気筒判別)を認識すると、
それ以降はNE信号(角度判別)のみで作動させるという仕組みを持っている。

現時点では、エキゾースト側にG信号用のピックアップを配し、
ク ランクプーリー付近にNE信号用ピックアップをセットしている。

 ただ、高回転時や始動時に、ダイナモの影響が出るようなので、
クランクプーリー付近からインテークカムスプロケ付近に移植する予定だ。

 現時点ではマグネットピックアップは上下に2個セットされているが、
この次の最終型では、IN&EX双方に装着することになるだろう。

「いろいろと現場でチェックしながら、問題が出たら対処するという方法で、
いろんな部分をクリアしてきましたが、ノイズの問題が解決すれば、
使用しているマグネットピックアップの耐久性は、純正採用しているだけに
充分だと考えています。ボクとしては、電気的な解決方法よりも、
メカニカルな解決方法ができればカッコいいな……と思っていたんですが、
ちょっと困難でしたね」

 インテークのみではなく、エキゾースト側も可変機構を持たせることで、
エンジンのセットアップ範囲はグット広くなる。そして、市街地走行で
の使い勝手や 、走行フィーリングはRB26DETTとは思えないほどの
フレキシビリティを実現。

 世界中の自動車メーカーが採用している可変バルタイ機構を、
パーツ流用で私家版SPLを作ろうという意気が嬉しい。これまで、
順を追って取材を重ねてきたライジングのRVCSシステムだが、
ここまで発展するとは……嬉しい誤算だった。





●カムスプロケットに付けたL字型のステーにマグネットピックアップをセット。
カラーの手前に入っているワッシャーは厚さ1。位置調整をする。



 
●カムシャフトのオイル通路を使って油圧をかけてNVCSを作動させる。
ステップ2の機械式でIN&EXの両方を作動させようとしたのだが……。




●気筒判別用のG信号を得るために、フロントカバーにセットされたマグネット
スイッチ。今後、1度信号を取るマグネットスイッチもセットされる予定。




●F-CON Vproにふたつの信号を入力することで、油圧スイッチをコントロールし、
IN&EX共に油圧で可変バルブタイミング機構を作動させる。



●使用するカムシャフトは、市販のもの。それをベースにしてフロント部分の加工を
行って、純正の可変バルブタイミング機構を組み込むことになる。




●この小さな通路を使って、カム経由でNVCSシステムに油圧を送る。ソレノイド
スイッチを使用して、INとEXでは逆の操作をさせる仕組みだ。



 
排気温度の形状!?




◆なにやらグルグルと回り回ったパイピングだが、これは排気圧力を計測する
センサーにセットしているパイプ。RISINGでは、この圧力をいろいろな部分に
かけることでセットアップに役立てている。ブーストコントローラー等に送るときに、
ストレートタイプだと、熱が伝わりすぎて、ホース類の劣化が心配。

そこで、グルリンコッとまわしてやることで、熱が伝わらない。
ステンレスパイプの色を見ると、途中で変わっているので、このあたりまで
熱がきているが、そこで終わっていることがわかる。この形状の秘密は……
機能のために長さを収容する役目と共に、お得意のこだわりデザインでもある!!


伊藤英一 RISING 
プロフィール■これまで誰もやったことのないRB26DETTの日産純正NVCSを流用した私家版可変バルタイ機構を実現した伊藤さん。エンジンに対する深い造詣と、時代の要求「可変バルタイ」にこだわるチューナーであります!



RISING
〒192-0151 東京都八王子市上川町3515
Tel 042-652-9449


http://www.rising-web.jp/

 


■ これまでのRISINGによるエンジン開発の履歴 ■

  新展開…… L型用インジェクションスロットルSYSTEM
 

CARBOY2000年11月掲載…… RB26改29ハイデッキ

  CARBOY2005年3月掲載…… RB26改RVCSシステムSTEP 1
  CARBOY2006年5月掲載…… RB26改RVCSシステムSTEP 2
  CARBOY2006年5月掲載…… RB26改RVCSシステムSTEP 3
  CARBOY2006年5月掲載…… RB26改RVCSシステムSTEP 4
  2017取材…… RB26改RVCSシステム2017の状況変化
  2017DRAG仕様RISING S30Z製作途中記
   
↑できるだけ、いろんな方に見ていただきたいので、
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