RISING VALVE CONTROL SYSTEM

RISING(東京)

CARBOY TUNING TECHNOLOGY
●RVCS RISING VALVE CONTROL SYSTEM





CARBOY2005年3月に掲載された、RISINGの新しい試み。

 前回、RB26DETTをベースにして、2.9Lという排気量を実現したRISINGだったが、
それに加えて、可変バルブタイミング機構を独自のシステムで作り上げられないか?と
構想を練って、新しい試みが始まった。その模様を再現してみよう……。



    ※以下、当時のまま掲載させていただきますので、※
    ※
価格、仕様等は変更されている可能性が大です)※

私家版可変バルタイ発進!!
RB25DET用NVCSを流用して
RB26DETTを可変制御する



 RVCS……なんです、それ?とほとんどのひとは首を傾げるはず。
それも当然です。いまCBが命名したんですから。

日産のRB25DETに採用されている可変バルブタイミング機構「NVCS」は、
ニッサン・バルブ・コントロール・システムの略。
こいつをライジングが独自にRB26DETTに流用したのだから、
ライジングのRを冠して「RVCS」というわけだ。


 この流用に関しては、以前CBで紹介したが、今回その機構を搭載した
RB26DETTが走った……というわけで、大々的に紹介させていただこうというわけだ。


 で、まずは日産のNVCSをどう流用したか?ということを解説しておこう。
バルタイをコントロールするのは、インテーク側のみ。
そして、スプロケット部分に油圧をかけることで、同じカムを使っていても、
タイミングを変更させるもの。


 油圧はON/OFF方式で駆動され、ONになれば、OFF時と比較して
20度分のバルブタイミングの変化を促す。この油圧のON/OFFを指示する
信号は、FコンVプロのNVCS設定画面から出す。。



 その電気信号をソレノイドバルブに送り、そこで実際に油圧をかけるのだ。
だが、エンジンの内部に油圧をかけるためにはどうすればいいか。

 ここが大きなポイント。ライジングの伊藤さんは、RB26DETTヘッドに
オイル穴を新設して、そこにソレノイドバルブをドッキングさせた。
当然のことながら、RB25DET用のNVCS用プーリーは、
そのままではRB26DETTにセットできない。カムの加工、
ボルトによるメクラと、いろいろなエンジン内部での処理が施されている。


 このようにして、カムを動かすことが可能となったわけだが、
その結果として、アイドリング時と低中速時のバルブタイミングを
変更することができるようになった。


「現在は、アイドリングはNVCSオンで115度の中心角で駆動して、
1500~6000回転弱までは95度で回してます。今回テストしたエンジンは、
新しいRB29DETTですけど、HKSステップ2の260度カムに大きめの
T618Zタービンを組んでますから、下が不安定になるはずなんです。
でも、全然OKですね。純正とはちょっと違いますけど、ハイカム&
ビッグタービンを組んでいるとは信じられない程スムーズです。大成功っすよ!!」


 だが、最初にエンジンをかけたとき、予想外の動きにとまどったという。
エンジンとソレノイドバルブの間はアールズの#3ラインを引いたが、
オイルが冷えている状態(かけてから5分以内)では、圧がかからないのだ。
暖まればいいのだが、それまではアイドリング時に95度のバルタイだから……ちょっとキツイ。


 この対処法として、Vプロで冷間時のセッティングをやってもいいのだが、
#4ラインに交換して、オリフィスをちょっと大きめにしてやれば大丈夫。
次回組み込むエンジンには、その仕様でいくという(お客さんの注文が、
もう入っていた!)。


 NVCS機構がオフになっているのは、6000回転まで領域だが、
本当ならもう少し下でオンにしたい。だが、そうするとブーストが
ハンチングするので、この回転域に決定。


 また、バルタイの設定だが、95度と115度に決めたのは、バルブと
ピストンの位置関係から。本当なら90度の110度くらいにしたかったのだが、
そうするとこのエンジンの場合、当たる可能性がある。




 実際にストリートでNVCSの効き具合をテストしてみると……
意外なことに、切り替わりのポイントがよくわからないのだ。
非常にスムーズ。アクセルを踏み込んでいって、1500回転で
切り替わっているのだが、ほとんど体感することはない。
高回転での切り替わりも同じ。


 だが、低中回転では非常にスムーズ。アイドリングもばらつかずに
安定している。ま、よく考えれば、日産が作ったNVCS機構を
使っているわけだから、当然と言えば当然なのだが……よくRB25DETの
ノーマルでコロコロとNVCSが効いたり切れたりというケースを見受けるが、
そういう感触とは段違い。


 ンッ?? バルタイが変わると何故いいのか?ですって。そうですよね。
エンジンに詳しくないと、そのあたりって非常に疑問ですよね~。


 エンジンを作るチューナーは、いつもバルタイの矛盾に悩まされている。
低中回転と高回転ではバルタイを変えたのだが、それができないので、
中間の妥協した数値で最終的な数値に決定している。

 だが、NVCSを使うことで、それぞれの領域で、理想と思えるバルタイを
セットすることができるのだ。NVCSの場合には、エキゾースト側のカムの
タイミングが固定されているので、インテークのタイミングが変わることで、
オーバーラップ(ガスが吹き抜ける時間)が変わってくる。これがストリートでの
使い勝手を大きく左右する。


 ライジングでは、これまでRB26DETTのチューニングを行なっていくうえで、
どうしても妥協するしかないバルタイのセッティング……これが「どうにかならないか。RB25DETだったらできるのに」と考えていたのだが、ヘッドをカットして
実際に考えてみたら「出来そう! ひょっとしたらここに穴を開ければ……」
とヒョウタンから駒ならぬRVCSが誕生したわけだ。


 今回ベースとなっているエンジンは、RB26DETTブロックを使用して、
RD28改のロングストローククランクを使った2.9♀仕様。
ここに組み込まれている新開発のクロモリ鍛造H断面コンロッドは、
なんと驚きの1万5000円/本という価格を実現。純正品が1万数千円だから、
OH時に気軽に使えるというこれまでにない注目コンロッドだ!!

 


ライジングRB29Kitの内容
オリジナルのクロモリH断面コンロッドと、SQ処理された強化品の
RD28クランク改が加わったのだ。主要パーツは下に記してあるが、
RB26DETT下取りで117万円。これには、エンジン脱着、ポート研磨、
ガイド打ち換え、シートカット、補機類組み替え等の作業やショート
パーツ(ガスケット類、オイルやクーラント)まで入っているので、
内容を考えれば納得。このエンジンに今回紹介しているNVCSを
組み込む場合は、15万円程度になる予定。もちろん、他のエンジン仕様で、
OH時にオーダーすれば同程度でOKだ。

■DATA
260度カム NAPRECバルブガイド シートカット ポート研磨 燃焼室加工 6mmアッパーデッキ&クロモリ鍛造H断面コンロッド N1WPCピストン RD28クランクSQ強化 NISMOメタル



▲指を差している部分がNVCSを駆動するための油圧の取り出し部分。
ここにアールズのフィッティングをセットしてスプロケット部分に圧をかける。




▲本編とは直接関係がないのだが、あまりにもカッコよかったので掲載。
パイピングの抜け止めだが、チタンパイプにボスをセットして中抜きプレートを……。





▲オリジナルのRD28クランクを使った2.9LKit専用に製作したセンターカバー。
こういう部分に凝ってくれるのがライジングのSPL製作部隊。



▲DISー4の右にセットされているのが、ソレノイドバルブ。このバルブによって
油圧がNVCSにかかり、バルブタイミングが可変でコントロールできる。


 
▲バルタイをコントロールしているのはHKSのFコンVプロのNVCS制御マップ。
こちらで回転数を指定して、圧をコントロールしてバルタイを変える。





▲T618Zタービンをツイン装備して、お700馬力後半のパワーを発生する
RB29DETT。市街地を走っていると本当にノーマル風の安定度を誇る。



▲NVCSが切り替わるポイントは1500回転。この後油圧がオフになり、
95度の中心角で駆動する。上は6000回転で再び油圧ONとなり、115度になる。 キャプ8
 



▲アイドリング時の負圧は、95度で取ると200mmHg程度なのだが、115度の
バルタイで回すと450〜500mmHgまで上がる。これでアイドルはバッチリ安定する。




▲これがRB25DETのNVCSシステムをベースに改造したもの。HKSの
264度カムのスプロケに接する部分を削り、メクラ用のボルトをセット。





▲ちょっとわかりにくいのだが、青いマーキング部分に穴を開け、カムキャップ
ボルト下部分を貫通して外部にオイルの通路を設置。これを使って動かす。


  • ライジングRB29Kitの内容。

    260度カム NAPRECバルブガイド シートカット ポート研磨 燃焼室加工 6mmアッパーデッキ&クロモリ鍛造H断面コンロッド N1WPCピストン RD28クランクSQ強化 NISMOメタル エンジン脱着&補機組替工賃込み








RISING
〒192-0151 東京都八王子市上川町3515
Tel 042-652-9449


http://www.rising-web.jp/

 


■ これまでのRISINGによるエンジン開発の履歴 ■

  新展開…… L型用インジェクションスロットルSYSTEM
 

CARBOY2000年11月掲載…… RB26改29ハイデッキ

  CARBOY2005年3月掲載…… RB26改RVCSシステムSTEP 1
  CARBOY2006年5月掲載…… RB26改RVCSシステムSTEP 2
  CARBOY2006年5月掲載…… RB26改RVCSシステムSTEP 3
  CARBOY2006年5月掲載…… RB26改RVCSシステムSTEP 4
  2017取材…… RB26改RVCSシステム2017の状況変化
 

2017DRAG仕様RISING S30Z製作途中記

   
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