RB26DETTのポン載せ仕様再び……
CREWCH(三重)

高価になってしまったS30Z
昔は、RB26DETT流用というのが、
本当に現実的だったのだが……。


先日、テスタロッサで、S30ZにRB30改NAを搭載する
……という仕様の準備段階を紹介したが、
そのときに教えてもらった変換オイルパンの設計元である
「Blueprint」さんに、今日取材に行くことになっています。

そんなことを考えているうちに、ふっと思い出したのが、
廃盤になってしまったZ31用の純正鉄製オイルパンのこと。

通常、S30ZにRB26DETT等をスワップする際の常套手段なのだが、
そうではない載せ方をするスワップ例を、以前のCARBOYで
紹介したことを思い出した。

三重のクルウチさんで行なった、2台のRB26DETTスワップがそれ。

たしか、どちらも、一般的なZ31のオイルパン流用をやってなかった。
と、当時の記事を探してみたら……ありました。
2006年4月号に2台のマシンの紹介をしていましたが、
このときは、文中で簡単に純正流用のことに触れているのですが、
書いている自分でも、頭のなかがごちゃごちゃになった覚えがありました。

そこで、久留内さんに電話をして、もう一度レクチャーしてもらいました。
そいつを図版にまとめてみましたが、話を聞きながら、面白いなと思ったのは、
RB20の純正オイルパンを使ったタイプでした。

Z31のオイルパンの場合、オイル溜まりが後ろにあるわけですが、
RB20の純正オイルパンは、前にあるのですが、スタビが存在するために、
前といっても、後ろ寄りに設定されているわけです。
コイツをオイルパンの上から2cmほど下の部分で、バッサリとカットして、
そいつをグルリンコッ!と180度回転させて、再度溶接をする。

鉄製のオイルパンですから、溶接ができるヒトなら簡単に回転&溶接作業は可能です。

そして、その結果として、オイル溜まり部分は、後方に移動するわけですが、
Z31ほど後ろ側に位置せず、若干前寄りに位置することになります。
これは、どういうことかというと……オイルストレーナーを、
思いっきり延長する必要がないということです。

確かに、しっかりと固定をして、オイルを吸わせればいいことなのですが、
流用で作る場合、なかなかその製作は困難を極めます。

ま、いまとなってはどちらであっても大差ないことなのかもしれません。

とにかくS30Zという旧車が、とんでもなく高価になってしまっている時代ですから。

しかしながら、こういうちょっとしたことというのは、他のケースであっても
非常に重要なポイントになると思うのです。

久留内さんが、最初にやった(もう20年近く前になると聞きました)ときは、
純正のRB26DETT用アルミオイルパンのオイル溜まり部分をカットして、
後方に移設して、穴が空いた部分は、アルミのプレートを溶接して埋めたという、
非常に乱暴なやり方(笑)だったそうですが……。

GT-Rが登場した頃、ゼロヨンをやると、前方のオイル溜まりに、
溜まっているはずのオイルが、全部後方に移動してしまって、
オイルストレーナーは、空吸いをしてしまって、エンジンにオイルが回らず、
ブローしたり、焼き付いたりというトラブルが多発しました。

谷田部の自動車試験場で、テストを終えたGT-Rが、帰りの常磐道で、
薄く白煙をはきながら、ゆっくりと自走していた様子を目撃したことも、
一度や二度ではありませんでした。

その後、オイル溜まり中に、バッフルプレートを設置する等の対策を
施すようになってから、このようなトラブルは減少しましたが、
そういう意味でも、今回紹介したようなケースは、
ひとつの方向性というか、考え方として、貴重なノウハウだと思います。

また、もうひとつの図版である、ミッションとプロペラシャフト、
デフの組み合わせは、異種エンジンドッキングのためには、
避けては通れない部分ではありますが、ここのSPL制作品や、
プロペラシャフトの長さ変更等の加工というのは、寸法は合いますが、
その手間と、その後の耐久性等に、不安を残すものでもあります。

様々な純正部品の寸法を調査して、強度検討をしながら、
サイズを合わせていく……この手法は、CARBOYが推奨してきた方法であり、
『流用チューン』の真骨頂でもあります。
なにしろ、部品の耐久性や信頼度といったものは、純正品に一日の長があります。
また、比較的安価に手に入れられるというメリットも見逃せません。

ま、こういうように、純正流用で、いろいろな仕様を製作する……そんな時代では、
なくなってきたのかもしれませんが、その昔は、当たり前の常識だったんです。
そういうことを、CARBOYを知らない世代にも、知っていただきたいと、
再度、このRB26DETTの純正部品応用スワップを紹介させていただきました!

 



RB26DETTのポン載せ仕様は、あくまでも
実利と効率にこだわったタイプ。

このS30Zは、最高500馬力を想定して製作されたマシン。
だから、あえてミッションはRB20DET用をチョイス。
ペラシャフトも一緒にもってきたらドンピシャで
R200デフにドッキングする。

ひとつだけ困るのがオイルパンだが、
これもRB20DET用をベースにして、
オイル溜まり部分をカットして、
前後逆に溶接し直してやればOK(鉄なんですよね)。


実は、RB26DETTのブロックには
、RB20DETオイルパンが付く穴が設けられている。
6oの穴がそれ(RB26DETTは8o)。
日産としてはRB26DETTをFR搭載する予定が
あったんじゃないか?と思わせるほど用意周到。
コイツを利用して、ノーマルエンジン&
タービンをS30Zのエンジンルームに
据え付ければ……軽量ボディとあいまって、
非常に強力なスポーツエンジンに早変わり。
クルマとエンジンの組み合わせ次第では、
こういう安価なSPLマシンを製作することも可能!!

  

 

古いボディに最新エンジンをスワップ……と考えてしまう
RB26DETT搭載だが、このエンジンは平成元年に登場している。
ということは、古いタイプをベースにすれば、ハーネスや配管も、
10年以上前のもの……これを認識しておく。


R32後期型RB26DETTノーマル搭載 
ガスケット交換 RB20DET用ミッション 
純正ミッションメンバー R32ペラシャフト 
R200デフ ハーネス移植 オイルパン加工


 

 

 

■こちらはR33パーツを使って作られた
RB26DETTのスワップバージョン。
5速クロス仕様でゼロヨン9秒中盤を
マークする俊足マシン。やっぱり、
軽いボディに強力ターボの組み合わせは、
非常にポテンシャルが高い。R33ペラシャフトと
ミッションの組み合わせは、若干エンジン位置が
後ろにくることになる。

 

 

下の写真というか、広告は、
三重県の地元誌に掲載されている
クルウチさんのものです。

一般的なチューニングショップと、
大きく異なっているのが、
『地元密着! 町の車屋さんです!』というフレーズ。
近所のおっちゃんとおばちゃんが登場(笑)

中古車販売から、車検&修理、そしてチューニング分野や、
R35GT-Rの開発……いったいぜんたい、なんなんだ、
このCREWCHというお店は?

そう思わせてくれるのは当然なのであります。
でも、そういうところから、他のショップとは視点も
方法論も異なったものが出現するんだと思います。

下の欄には、クルウチさんの過去記事へのリンクが
いろいろとありますので、
時間があれば、覗いてみてください。



CREWCH
(三重)クルウチ
〒515-0331 三重県多気郡明和町佐田906-12
0596-53-0070

 




■ これまでのCREWCHによるエンジン開発の履歴 ■

 

R35GT-Rの乗り心地改善作戦

  CARBOY2009年6月号 SR20GV可変バルタイHEADでNISSAN V-TEC誕生!!
  CARBOY2010年7月号 BNR32ノーマル改修計画
  RB26DETTのポン載せ仕様再び……

■CARBOY企画特集 ■

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よろしかったら、お願いします。

 
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