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  　 量産型のスポーツカーとしては、世界一級の性能を誇るR35GT-R。そのポテンシャルは、市販車とは思えないほどの強烈な性能を有している。この性能とGT-Rという称号に魅せられて、最後のスポーツカーとして購入……という層が多いのは、以外に知られていない。定年を間近に控え、若い頃に憧れながらも、高価なために手中に出来なかった熟年層のオーナーが、最後の選択として選ぶ。それが、もうひとつのR35GT-Rの購入パターンでもある。
  　だけど、現実というのは、時として非情なものである。念願のスポーツカーを手に入れたのはいいけれど、奥さんを隣に乗せてドライブに出かけてみると「なに、このゴツゴツした乗り心地（怒）」「だからトヨタにしとけばよかったのよ」「知り合いが買ったレクサスはもっとスムーズで、いかにも高級車って感じだったわ」「こんなのだったら、もう二度と乗らない」……女性の意見は、常に辛辣である。
  　だが、女性だから、GT-Rのなんたるかを理解しないから……というだけではない。ニュルブリンクでの記録を叩き出すために、あるいは、レースを想定したためか、一般的な使用をする場合、R35GT-Rというマシンは、少しばかりハードな設定に偏っているというのも事実。一般的な雑誌やWEB上でのR35GT-Rの評判と言えば、その高性能さのことばかり。
  
  
  
  　だが、実際に市街地をドライブしてみると、ゴツゴツ感は非常に大きい。この原因として考えられるのは、採用されているタイヤが、ランフラットタイヤであることが大きい。性能を考えれば、剛性感を考えれば、ランフラットタイヤという選択肢は、間違いではないし、有効な手段。
  　だけど、一般のアスファルトを走行するときに、この『剛性感』は、逆の印象を与える……あまりにもハードな剛性が、乗り心地を悪化させるのだ。若い頃ならよかったかもしれない。強化スプリングにスポーツダンパー、あるいは二巻カットのスプリングに車高短だって、それほど気にはならなかった。しかしながら、そういう時代は、もうはるか昔のこと。そして、まわりのクルマの性能は、驚異的に向上している。
  
  
  
  
  

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R35GT-Rの乗り心地改善作戦