亀有エンジンワークスはMAKERだった

亀有エンジンワークス(埼玉)



国内初の鍛造クランクシャフトを
発売したときは、気付かなかったが、
それ以降製作される独自のPARTS群は
完全にTUNINGパーツメーカーである!!


HPの更新を、長らく行なっておりませんでしたが、
これは、5月27日にセントラルサーキットで行われた
JDDAのドラッグレースに行っておったからであります。
といっても、それ以降、ナニをしとったんじゃい?と
思われることと思いますが、8ヶ月ぶりに実家に帰って、
母親と歓談の日々を過ごし、その後、名古屋で
ダディモーターワークスさんの取材を行って……と、
なんだかんだしながら、帰京いたしました。

これまで、いろいろと取材をさせていただいているのですが、
それは、おいおいと紹介させて頂くとして、
JDDAに行く前に、亀有エンジンワークスさんの取材を行いました。

亀有エンジンワークスの森さんとは、10年以上前に取材したきりで、
本当にお久しぶりだったのですが、当日、アクシデントがありまして、
撮影等が遅れに遅れ、ご迷惑をおかけしてしまいました。
しかしながら、そのおかげで、森さんと8時間程度、ふたりで話すことができ、
いろいろな発見をさせていただきました。

 

☆亀有エンジンワークス森さんとの雑談(笑)


動画が見れない場合は、上のYoutubeボタンを クリックしていただけますよう、お願い致します。
 

で、なにを『発見』したかといいますと……。

森さんに伺ったら、「最近のお客さんは、亀有エンジンワークスが、
チューニングショップだとは思っていなくて、パーツ屋さんだと
思いこんでいるヒトが多いんです(笑)」とのこと。

思わず「エッ???」と言葉に詰まってしまいました。

森さんといえば、カーショップ亀有時代から、ゼロヨンマシン&
L型チューンのひとで、CARBOY0→400mでの優勝経験もあり、
根っからのゼロヨン好きとして、藤本のなかでは認識していたのですが、


いまの若いひとは、
「旧車のパーツなら、なんでも揃っているパーツ屋さん」
としての認識なんですね〜。

たしかに、店内を探検すると、あるわあるわの旧車パーツのてんこ盛り。
日本ひろしといえども、ここまで在庫をしているお店はないでしょう。
それも、L型に限らず、2T-Gや18R-G、S20、54B……ピストンやクランク、
ギヤトレインや、チェーンテンショナー等など、マニアックな部品が、
それこそごっちゃり(いや、正確には整然と)在庫されている。

しかしながら、イロイロと店内を物色しているうちに、
ドンドンと疑問が膨らんでくるのを抑えられなくなった。
もうずいぶん前のことになるが、亀有エンジンワークスから、
L型のクロモリ鍛造クランクシャフトが発売された。
それまでも、米国のクロワー社等でロングストローククランク
シャフトを製作したり、JUNオートメカニックさんのように、
3.5L用の鍛造クランクシャフトを製作したりということは
あったのだが、『製品』としての、鍛造クランクシャフトの
販売は、国内でも初めてだったんではないか?と記憶している。

一般のひとが、誰でも購入できる鍛造クランクシャフトである。

 


当時、藤本の考えとしては「けっこう遅かったな〜」であった。
亀有さんが作った時期ではなく、国産の鍛造クランクシャフトが
登場する時期として……という意味である。

それまで、あれほどL型チューニングが隆盛となり、
全国のPROチューナー&アマチューナーが、
こぞってL型を改造していたというのに、
鍛造クランクシャフトが一般販売されたのは、
相当の時間が経ってからだった。

この理由として考えられるのは、もともと、L型というエンジンは、
身近に存在し、流用パーツが豊富で、いろいろな加工やチューニングの
方法が考え出されることに重きが置かれていて、
基本となるパーツの性能アップというか、基本性能確保という方向には、
なかなか向かなかったということがあると思う。
いい例が、日産のスポーツオプションパーツである。
クロスフローのLYヘッドや、水冷式のインマニ、
2868クランクなど、メーカー製のレーシングパーツがあったにも関わらず、
それらのパーツが使われることは、非常に少なかった。
もちろん、それらのパーツが『高価』であったということも、
大きな理由だと思う。XL500ピストンや、L14コンロッド、
そして、なによりもLD28クランクといった純正流用が可能なパーツが、
豊富に存在したということが、最大の要因だろう。

で、話を戻す。

亀有エンジンワークスから国内初と言ってもいい市販の鍛造クランクシャフトが
発売されたあと、鍛造のコンロッド、デスビといった独自のパーツが、
次々と発売されていたことは知っていた。

しかしながら、今回、10年以上ぶりに亀有エンジンワークスを訪れて、
ビックリしたのは、その独自パーツの開発&販売行為が、
ずっと続けられていたことである。

その動きは、L型に限らず、2T-Gや18R-G、S20、54Bのパーツに及ぶ。

もちろん、カムシャフトやEXマニ、ビッグバルブ、ピストンと言ったパーツは、
いろいろなお店から、オリジナルパーツとして販売されている。

しかしながら、亀有エンジンワークスの特異なところは、
『生産中止となったパーツを、高性能素材を使ってオリジナルパーツとして
開発&販売している』というところである。

 

例を挙げるなら、あれほど出まわったL14コンロッドが廃盤となったあと、
鍛造素材のL14サイズのコンロッドを製作し、おなじくLD28クランクが、
製造中止となったあと、無垢素材から削り出した鋳造クランクシャフトを
作り……と、そういうアプローチを、森さんはずっと続けてきたわけだ。


これは、凄いことだと思う。

文頭で、亀有エンジンワークスのことを、いまのお客さんは
「旧車パーツの在庫が豊富なパーツ屋さん」だと
認識しているということを書いた。

しかしながら、亀有エンジンワークスというのは、
そういう存在ではないのだ。チューニング業界で言えば、
HKSさんやTRUSTさん、BLITZさんやTOMEIPOWERDさんといった
チューニングパーツのメーカーさんが存在する。

しかしながら、独自に開発&発売しているエンジンパーツの数でいったら……。

カーショップでもなく、チューニングショップでもなく、
ましてやパーツ屋さんなんかではなくて、


正真正銘の「PARTS MAKER」なのだ。
それも、多様なエンジンに対応した。

 

その『事実』にびっくりした。

そして、簡易な包装の理由を尋ねたら、
森さんからこんな答えが返ってきた。


「10年以上前に、藤本さんが取材に来られたときに、
言われたことがありましたね(笑)。森さん、
この包装って、お弁当に入ってる区切り用のものじゃ
ないですか?って、ボクが『そうです!』というと、
びっくりしてましたよね。いまでも、ウチのパーツの
パッケージや包装等は、本当に簡単なものや、
百均で手に入るようなものを使ってます。
でも、そういうところに経費をかけたくないんですよね。
かけるんだったら、もっと違うところに、材質や、
性能に関わるところに、かけたいんですよ(笑)」

確かに、店内に置かれているオリジナルのパーツ類は、
本当に最低限のパッケージに包まれているし、
極力虚飾を排した方向で展示されている。

 

これは、森さんという人間の性格なのだと思う。

ビデオ取材の日程を打ち合わせたときに、
「あ、だったら、定休日の方がいいでしょう」と。

「藤本さんの場合は、選挙カーが走っていても、
電話が鳴っていても大丈夫といっていましたけれど、
ウチの電話の鳴り方は半端じゃないですよ。
もう、ひっきりなしにかかってきますから……一日の
業務の大半が、電話応対だと言ってもいいくらいです」

多分、その内容というのは、パーツの問い合わせは当然として、
組んだパーツが上手く動かないとか、エンジンがかからないとか、
セッティングはどうしたらいいのか?とか、パーツにまつわる
ありとあらゆるジャンルの質問が来るのだと思う。

どうして、こういうことを想像できるかというと……一時の
CARBOY編集部がそうだったからだ。
時間お構いなしにかかってくる電話の内容は、
「CARBOYに載っていたとおりにエンジンを組んだんだけど、
まったくかかる気配がない」とか、「ポート研磨をしていたら、
穴が開いてしまったけど、どうしたらいいのか?」とか、
「キャブのセッティングをしているんだけど、どうしても
キレイにエンジンが回ってくれない」などなど。

締め切り直前であろうが、校正中であろうが、
そういう電話が、ひっきりなしにかかってきて、
ノイローゼ一歩手前になったことも……あ、嘘です

それはともかく、亀有エンジンワークスという存在は、
非常に稀有なものだと思う。レストアショップはいっぱいあるし、
オリジナルパーツを販売しているところも、数え切れないほどある。
だけど、このような旧車系の廃番パーツを、純正以上の素材や
工夫を込めて製作しているところは、ほとんどと言っていいほどない。

レストアパーツやリプロダクションパーツが豊富にある
イギリスなんかでも、このような方向性を持ったメーカーというのは
数が少ない。チューニングを出発点とした亀有エンジンワークスだからこそ、
このような形態を作り上げることができた……と思われる。

いやあ、森さんって、本当にヘンなヒトです(笑)
たったひとりで、すべてのパーツの素材選択から、形状決定、
そして耐久性のチェック等も、すべてやってしまうんですから。


おっと、長くなってしまいました。

今回お邪魔して、非常に興味深い新製品というか、
新しいプロジェクトがあったのですが、
それは、別の項で紹介することにいたしましょう。

 

下のビデオは、「CARBOY2017」というタイトルで、
FRESH!アメーバ を通じてインターネット放映されたもののです。
また、そのアーカイブを、Youtubeにアップしたものです。
他にもイロイロと作っていきますので、
よろしくご支援くださいませ。





CARBOY 2017 reborn #16 亀有エンジンワークス Part2

動画が見れない場合は、下のYoutubeを クリックしてくださいませ。




カメアリエンジンワークス
〒340-0808埼玉県八潮市緑町3-1-16
Tel:048-998-2323


 


■ これまでの履歴 ■

 

亀有エンジンワークスはMAKERだった

  L20改という2017年の新提案
  『亀有流』という持続の仕方


↑できるだけ、いろんな方に見ていただきたいので、
よろしかったら、お願いします。


TOPへ戻る

↑イロイロな記事がありますので、
Contentsページをご覧になってくださいませ!