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巨大なシリンダーブロックの上面研磨機!?

タジマモーターコーポレーション(静岡)



タジマモーターコーポレーションにあった
巨大な研磨機の正体と目的
その将来性に注目したい……

 

少し前の話になるのだが、
タジマモーターコーポレーションにお邪魔して、
エンジン製作環境の整え方や、テストベンチの活用方法等について
お伝えしたのだが、それ以外にも、注目すべきものがあるので、
今回は、そのあたりを紹介したいと思います。

 

エンジンの組み付け室や、隣のテストベンチに関しては、
その独自の活用方法を紹介したが、
そこから扉を開けて別室に行く途中に、
あまり見慣れない、というか、見たこともない機械を発見した。

中央部分にある設備を観察してみると……。
大きな砥石がセットされているので、
ナニかを研磨するためのものだと思うのだが、
それにしてもそのベース台の大きさが大きすぎる。

ま、素人風情が、自分の知識内で、あーだこーだと
言っていても仕方がないので、渡邉さんに聞いてみた。

 

「そうです。これはブロック上面研磨をするための研磨機です」

しかしながら、一般的なブロック上面研磨は、『刃』を使って行う
切削加工なのだが、どうしてその方法ではなくて、『砥石』を使った
研磨方法が必要なんだろうか?

「バイトを使って研磨する場合は、刃先を回転させながら研磨します。
ブロック上面の材質が均一ならばそれでいいんですが……」

ンッ? ンンッ? どういうこと?

じっくり話を聞いてみると、びっくらこきました。


現在、タジマモーターコーポレーションでは、シリンダーブロックの
スリーブ加工の様々な可能性を探っていて、
鋳鉄製のシリンダーブロックに、鋳鉄のライナーだけではなく、
アルミ製や、他の合金等のスリーブを鋳込んでの方法を探っているという。

つまり、これはどういうことかと言うと、
それまでの鋳鉄スリーブでは、重さや厚み、表面の面粗度といったものが、
いろいろとセレクトすることができなかった。
しかしながら、スリーブの材質を変更することで、
高回転&高出力エンジンを制作するうえでの可能性が広がるわけだ。

自動車メーカーが、シリンダー壁の表面処理を行ったり、
昔のポルシェがニカジルメッキを施したり、
鋳鉄のスリーブを使用するという手法以外の方法論が、
これまでには、いろいろと存在する。

渡邉さんが目論んでいるのは、異素材のスリーブを使用する際に、
表面に『メッキ処理』を施すという手法。

しかしながら、材質硬度に詳しい方ならご存知のように、
メッキ(難しい漢字で書くと鍍金)というやつは、
非常に硬度が高い。硬いのだ。

だから、鋳鉄製のシリンダーブロックに、
メッキ処理を施したスリーブを圧入した後に、
ブロック上面研磨を行おうとすると……。

そうです。バイトで削る切削加工では、硬度の違う
2種類の金属(というか、表面)を同時に削らなければいけない。
しかしながら、点で削っていく構造のバイト切削では、
硬度が違う金属の境目は、うまく削れないわけだ。
簡単に言えば、そこで引っかかったりして、メッキを剥がすということも
起こってくるわけです。平滑な面を得るためのシリンダーブロックの
上面研磨で、そんなことがあっては本末転倒。

で、登場するのが『砥石』なのです

 

しかしながら、『砥石』を使った上面研磨をする場合、
『砥石』は固定されていて、シリンダーブロックを動かすという
方法が必要になってくる。バイトで削る場合も、刃先は固定で、
シリンダーブロックを送りながら加工するわけだが、
バイトは回転運動で削っていくので、動かす量は少ない。

しかしながら『砥石』は、一本の線上を削り、それを連続していくことで
面を削るという方法であります。ですんで、最初の線(ブロックの端)から
作業を開始して、最後の線(ブロックの反対端)まで
ブロックを送ってやらなければならない。

ということは、SUZUKIが採用している4気筒エンジンなら
そのブロック長の2倍プラスアルファが必要ということになる。
しかしながら、タジマモーターコーポレーションに設置されている
上面研磨機のサイズは、どうみても6気筒エンジンが
余裕で研磨できるサイズであります。

おっしゃるとおりです。SUZUKI製のエンジンだけではなく、
ダイヤモンドエンジニアリングとの連携で、日産やトヨタの
6気筒エンジンにも対応できるように考えています」

つまり、RB26DETTや2JZ、もちろんのことだが、SR20DET等の
4気筒ブロック、あるいはL型……。

以前にも言ったと思うのだが、
タジマモーターコーポレーションという企業は、
以前存在したSUZUKI SPORTSと同等の業務を行っている。
トヨタで言えばTRD、日産ならNISMOであります。

そこで、SUZUKIエンジンだけではなく、三菱のエボ、
そしてそれに加えて日産&トヨタのエンジンまでを……。

非常に興味深いです。

メーカーの枠を超えて(?)、自動車エンジンというものの
可能性を追求するという姿勢は、非常に、興味深いです。

 

 

 

もちろん、ではありますが、
SUZUKI車両の開発は、大きなウエイトを占めています。
上記のカプチーノやスイフト、ジムニーといった
独自の個性を持つ車両のスポーティバージョンの
能力向上や、リモデリング、サスペンション開発と、
メーカーのスポーツ部門らしいこと(?)も、
当然行っているわけでして……。

 

もちろん、ではありますが、
SUZUKI車両の開発は、大きなウエイトを占めています。
上記のカプチーノやスイフト、ジムニーといった
独自の個性を持つ車両のスポーティバージョンの
能力向上や、リモデリング、サスペンション開発と、
メーカーのスポーツ部門らしいこと(?)も、
当然行っているわけでして……。

工場の2階に上がると、そこには風洞実験室がありましたし、
そこで、行われていたのはスイフトのスポイラー開発でした。

 

そして、そのデータを元にしたスポイラーの製作。
風洞実験室の下には、オートクレーブの大きな釜が
設置されていて、ドライカーボンを焼く準備も整っていました。

 

なんなんでしょうね?
このヘンテコさというか、これまでのイメージや枠に
囚われることのない姿勢というのは?

しかしながら、これまでのメーカーのスポーツ部門の開発が、
レーシングカー製作に特化されていて、
市販車にその成果が反映されるのは……イメージ戦略としての
スポイラーキットであったり、デカール類であったり、
よくわからない限定モデルであったり。

でも、オジサンやオバサンなら知ってると思いますが
(いや、オバサンは知らないか)、その昔は、
レース専用部品が市販されておりました。
TRD製のエンジンパーツやサスペンションパーツ、
NISMO製のスポーツキットといった『競技専用部品』が、
一般のユーザーにも供給されていたんです。

L型を例に取れば、クロスフロータイプのヘッドや、
オプションクランク等、レース部品が販売されていて、
そいつを各地のスポーツコーナー経由で注文して、
そのパーツを使ってのチューニングが盛んでもありました。

ま、その話はまた別の機会に譲りますが、
現在、タジマモーターコーポレーションがやろうとしていることは、
パーツ供給だけではなくて、エンジン加工分野と連動して、
一般ユーザーに、より高いポテンシャルを持たせる加工を
提供しようとしてるんじゃないか?

そして、この行為は、これまでに存在しなかった形態じゃないか?

 

というところで、今回のタジマモーターコーポレーション報告でした。

☆タジマモーターコーポレーションでのお話その2

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タジマモーターコーポレーション
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〒438-0213 静岡県磐田市竜洋稗原665
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http://www.monster-sport.com/shop/iwata/index.html

 

 


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