13Bローターを溶接した4ローターペリ!?
CB1985年03月号

エキセントリックシャフトを新造し
溶接13Bローター改を
ダブル12Aローターハウジングに組む??


先日、岐阜の八代さんの4ローターREのことを
紹介させていただきました。


1991年の記事でした。

それより遡ること6年。

RSファントムの時久さんが作った
オリジナル4ローターのことを、
すっかりと忘れておりました。

というのも、取材は藤本ではなく、
当時のライターであった山田さん……かなぁ?
で、けっこう大雑把な取材で有名なライターさんでした(笑)

で、その記事をあらためて読み返してみると……。

こちらも、凄い。

当時の原稿を、下にそのまま掲載しておきますが、
その内容はといえば、強烈です。
なにしろ市販パーツを切った張ったして、
むりくりに4ローターを作ってしまったという感さえあるほど、
ムチャムチャな発想でありました。

エンジン構成を、ざっくりとお伝えするなら……。

まず、内包するローター本体ですが、
純正13BRE用のローターをふたつ合体させて、
その幅を140oに削減。

というのも、純正12AREのローターハウジング2個分の
幅が140oだからであります。

そして、通常ならREというエンジンは、
フロントハウジング→ローターハウジング→
インターミディエイトハウジング→
ローターハウジング→リヤハウジング

というように、ローターに接する面が異なるタイプが
交互に来るように設計されております。

これを、時久方式では、
フロントハウジング→ローターハウジング×2→
インターミディエイトハウジング→
ローターハウジング×2→リヤハウジング
とするわけです。

REというエンジンは、通常では、5枚のハウジングを
長い一本のテンションボルトで貫通させて締め付けるという
方式で構成されております。

これを更に長いボルト(ローターはウジング2枚分)を
制作して、一発でつなげてしまったんでしょう。

もちろんのことですが、ローターが2個増えたぶん、
中心を通るエキセントリックシャフトも、
それに対応したものでなくてはなりません。

コレに関しては、特注品を制作したとあるので、
13BREローター2個分改のジャーナル幅を持った
エキセントリックシャフトを制作したのでしょう。

この部分のみが、八代さんの4ローターと共通する部分です。

ただ、八代さんの4ローターは、4個のローターが
独立しているので、インターミディエイトハウジングが
3個組まれています……ということは、その分全長が長い。

時久さんの4ローターは、ふたつのローターをひとつにしたので、
燃焼室形状を、新たに制作する必要が出てきます。
これに関しては、圧縮比設定が8.5としていたようです。

とまれ、ユニークな時久式4ローターエンジンは、
実際に走行するところまではこぎつけたようです。

それだけでも、凄い、そう思います。

現在の状況を考えると、
国内のREチューンというのは、
基本的にはマツダが製作したREをベースに、
ポート変更やブーストアップ、
タービン交換等の手法で行なわれているわけですが、
オーストラリアのREチューンは、
エンジン本体の改良部品や、新造部品の製作によって、
4ローター化はもちろん、独自の成長を遂げています。

この原因はといえば……もともとオーストラリヤには、
ターボモデルのREが輸出されなかったということが、
最大のものだと思われます。

NAのみのパワーでは満足できない(日本ではターボがあるのに)
オージーTUNER達が、ボルトオンターボに走り、
その結果多発するトラブルに対して、必死のパッチで
知恵を絞って考え出した対応パーツなり、制御システム、
そういったものが、現在の結果となっている……ようですねぇ。

ま、そんな日本にも、いまから35年も前に
こんな奇妙キテレツなことを実践していた人間がいた。

そういうことを、お伝えしたいと思いました。

 

以下は、1985年1月号の記事を起こしたものです。

      ◇     ◇     ◇

世の中には変わった人がいる。
普通人にはわからないが、当の本人は真剣なのだ。
信じる者は救われるのだ。

だから、ときどき、そんな挑戦からビックリするような発見をすることがある。

ロータリーのS/Cに挑戦、完成してキングチャージャーのブランドで
市販化に結びつけたRSファントムの時久氏の4ローターも、そんな印象が強い。
時久氏が取り組んでいたのは、
2+2じゃないが、4ローターRE。
その4ローターREを、『わざとら7』と、
これまた冗談ぼく命名されたRX-7の
改造ボディに載っけるというのだ。

本当に回るのか、載っかるのか、とメチャ疑問が湧いてくる。
そんな疑問があるから、搭載予定の改ボディに『わざとら7』なんて
名前をつけたのだろう。

製作者の時久氏も、これが回れば400馬力オーバーなんだが
なぁ......と期待半分、疑問符つきでニヤニヤしていた。

 

だが製作を公表していた以上、
「いやあー、あれは冗談でした」ではすまないのがチューニングの世界。

しかもデビュー戦のRRC第1戦(1月5日)は刻々と迫っていた。
一昨年のRRC最終戦のエントリーリストに、
『わざとら7』の名はあった。
しかし、パドックには姿はなかった。

今度こては、なにがなんでも走らせると、
スタッフの意気込みはすさまじかった。
1月5日の第一戦を観戦したひとは記憶があるだろう。
鮮やかなブルーバタに、これまた鮮やかなオレンジの
アクセントがはいっていた『わざとら7』を,
パワーユニットは、もちろん驚異の4ローターRE。
こいつがビシバシと回ったことは、いうまでもない。

 

4ローターが回ったのならオレも......なんて読者のためにメカを
解剖してみる

4ローターのために、新たにローターやハウジングを作るには、
ン百万円ン千万円という予算が必要であろう。
メーカーでなけりゃ手がでない。
時久氏が考えたのはノーマル加工だ。

13Bローター2個を溶接して1個のローターにする。
なんだ、2倍の幅をもつ2ローターじゃないか、とはいわない。

レシプロでもそうだが、気筒数は燃焼室の数でもある。
ローターを2個くっ付けたとはいえ、
ローターにえぐられた燃焼室を、それぞれがもっている。
同じ動きをするふたつのローターが2個あると考えれば
4ローターといえるじゃないか。

2個のロータリー幅はある。
それで各溶接部分を2mmずつ削る。
12Aのローターと同じにして2個を合体。
こうすれば12Aのハウジングをそっくり流用できる。

エキセントリックシャフトはどうするか。
これは切って継ぎ足すわけにはいかない。
時久氏のREノウハウを十分につぎ込んで特注品となった。

吸気方法も排気と同様に、ローターハウジングからとっている。
いわゆるベリにしてパワーを狙っているのだ。
吸気ボートはゅに、排気ポートも直径で6mアップと、
かなりビッグだ。圧縮比はい。

「キャブはウェーバーを2基装着。アウターベンチュリーは37φ。
各ジェットはメイン230番、エアは160番で、エマルジョンはF2というデータ。

「迫力のサウンドで誕生した4ローター搭載『わざとら7』は、
グリーンの点滅のGOサインを待つばかり。
ベリは低速が弱いといわれているが、
「4ローターはプラス2ローター分だけ低速トルクが太ったみたいだ」
というのは、ドライバーの亀井クン。

スタートでのクラッチミートは5000回転強。
ドラッグスリックも強力なバワーに負けてか、
白煙を上げる。5500回転あたりから、
ペリ特有のグググーッとくる加速感も強烈だ。

4ローターは、4000回転までパワーの落ち込みがなく回る。
1、2、3速はアッという間に使い果たし、
4速で全開をくれると、クラッチが悲鳴を上げて滑りだした。

5速ギヤ、7000回転では00m地点を通過。14秒49を記録した。
チューンドカーとしては、けっして速いタイムではないが、
初めて回って、初めて走った結果としては立派。
このタイムは、ロータリーの新しいチューンの
方向として大いに期待してもいいだろう。

 

ローターハウジングは12Aのものを使う。
吸気ポートは40φのペリフェラルポート。

 

13Bのローターを合体して、幅を140oにし、
12Aのローターハウジングに組み付ける。

13Bのローターを2個イチにして、12Aの
ローターハウジング2枚に組み付けた。

 



↑できるだけ、いろんな方に見ていただきたいので、
よろしかったら、お願いします。



TOPへ戻る

↑イロイロな記事がありますので、
Contentsページをご覧になってくださいませ!