全国有名峠対抗WINDINGチャンプ決定戦……の失敗!?

1989年3月号(筑波サーキット)


全国公募で集めた有名峠の腕自慢が
筑波サーキットで激突……するはずだったが、
思わぬ弱点が露呈してしまった??



 

我ながら、いいアイデアだと思った。

全国の有名峠のなかで、「コイツは速いっ!」と自他ともに認める
ドライバーを、筑波サーキットに集合してもらって、
そこで峠対抗の最速トーナメント戦を行なう!!

いい考えだと思った。

ドリコンGPを始めたのは、1989年7月。
この有名峠対抗WINDINGチャンプ決定戦が3月。

約4ヶ月間の時差がある。

かたやグリップ、かたやドリフト。
まったく違うタイプのイベントなのだが、
自分のなかでは通底していた。

「一般人が登場して、そのなかからスターを発見する!」

言い換えれば、
「全国の走り屋と呼ばれる人種のなかから、有名走り屋さんを生み出す」

そして、「いつかはオレだって…………」と、胸に刻んでいただくことである。

幼い頃になりたかった職業『レーシングドライバー』
だけど、誰も彼もが叶う夢ではないことは、みなさんもご承知だろうし、
夢が叶ったとしても、現実はどうなのか?と聞かれれば、
なかなか厳しい状況であるということは、オトナになった皆さん(笑)には、
じゅじゅうご承知のことと推察いたします。

しかしながら、子供の頃に見た夢というのは、
叶わないから夢ではあるものの、
いつかは……そう思っている部分も存在する。

そいつの手助けを、CARBOYという雑誌が手助けしたい。
そう考えていたわけです。

で、本題に戻りますが、
有名峠対抗WINDINGチャンプ決定戦は、構想段階ではイケていた。

実際に、完熟走行を行っているうちは、
見ている方としても、ドキドキしていたのは事実。

レースの方式はというと……
まず、各峠ごとに予選を行ない、峠の代表選手を決定する。
そして、それぞれの峠代表選手がヨーイドンスタートをした後、
2周回の筑波サーキットバトル開始。2周回り終わったゴールラインを
先に通過したほうが勝ちというトーナメント戦。

予選時の決定は、ラップタイムで行なった。

地元筑波山、東京奥多摩、栃木いろは坂、長野ビーナスライン、群馬碓氷峠、
群馬赤城山、愛知ヤビツ峠、埼玉間瀬峠、神奈川箱根峠……全国とは言わないが、
関東近県の有名峠からエントリーしてきたドライバーが、タイムに挑んだ。

その結果、選出された最速代表同士のトーナメント戦が開始されたわけだが、
1回目の対決は、「ウムウム、こんなものですかね〜」と見ていたが、
2回目、3回目の対戦を見て、愕然となった。

どういうことかというと……ホームストレート上のスタートラインで
並んだ2台が、合図に従ってスタートするわけだが、
第1コーナーに最初に入ったほうが、圧倒的に有利なのだ。
その最大の理由は、2周回という周回数にある。
ある程度、拮抗している腕を持っているドライバーが対決すると、
1コーナーで先行されたマシンを、2周のうちに抜くということは
……至難の技でありました。

よっぽど腕の差がない限り、あるいはマシンのポテンシャルが、
相当違っていない限りは、2周回ののうちに抜くことはできない。

つまり、スタートダッシュの速いほうが勝つ確率が、非常に高い。

そうです。ゼロヨン勝負なんですね(笑)

3回目の走行で、このことに気がつきました。

せっかく、全国の峠を攻める腕自慢を全国公募して、
これまでにないカテゴリーでの勝負を展開しようと思ったのに、
結果がゼロヨン勝負じゃ、ダメじゃん。

結果的に言うと、このイベントは1回限りで終了しました。

でも、このときに、筑波サーキットに集結した、
腕自慢の峠の走り屋さんは、グリップに徹したタイプもいれば、
ドリフトしまくりのタイプもいて、玉石混交(どれが玉で、どちらが石かは、
評価の別れるところですが)、フリー走行は非常に楽しかった。

…………おわかりだろうか?

このイベントが開催されたのが1989年3月。
そして、ドリコンGPの開始が1989年7月であります。

ドリコンGPの発端に関しては、別稿で解説させていただきましたが、
唐突に飛び出したアイデアでありましたが、
それ以前に、様々な失敗イベントの経験値があったわけです。

主催者が逃げてしまって、結果的にCARBOYが仕切ることになった
西仙台のバトルレース、今回の峠チャンプ決定戦……その他にも、
いろんな『公募式』のイベントを、藤本が考え、とりあえずやってみて、
そんなこんなの『ヒョウタン』から、ドリコンGPという『コマ』が、
飛び出したという寸法であります。

というわけで、藤本的には失敗だったイベントではありますが、
参加していただいたドライバー諸氏には、非常に感謝しております。
そして、この後展開していくCARBOYのイベントに、
このとき参加してくれたひとのなかの何人もが、エントリーを
していただくことになりました。もちろん、ドリコンGPにも……。

 

 



↑できるだけ、いろんな方に見ていただきたいので、
よろしかったら、お願いします。



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