スポーツランド山梨で誕生した
前代未聞のイベント……
それまで各地の峠で密やかに行われていた
STREETドリフトが、サーキットで炸裂!
それは、まったくと言っていいほど、瓢箪からコマ状態に飛び出した。
CARBOYの月例編集会でのこと、雑談のなかで、ひとりがこんなことを言った。
「藤本さん、ワンレン・ボディコンも、そろそろ終わりですね〜」
「いやあ、そんなこと言っても、まだまだ使い用はあるんやないの?」
「そうっすかね……」
「ちょ、ちょっと待て、ワンレン・ボディコン? ワンレン・ボディコン?」
「ど、どうしたんですか、いきなり」
「いや、ちょっと黙っといて、喋らんといて……ワンレン・ボディコンかぁ」
そのときまで、なんか新しいイベントはないものか?と考えていた。
サーキットで行うイベントでは、絶対的にタイムが基準になる。
なんか、タイムではない、他のナニか、別の要素で競う競技はないものか?
いろいろと考えていたが、なかなかいい案が出てこないというじれったい時期だった。
峠チャンプ決定戦をやったときも、スタート後1分で「あ、失敗やった。
1コーナーに先に入ったやつが、ほとんど勝ってしまう……」だったし、
西仙台のアタックも、周回の亜流だった
。
なんか、なんか、いいのないか? そう考えていた時期だった。
「…………………………こんなん、どうや?」
「なんです?」
「ワンレーン・ドリコン!や」
「なんなんです?」
「いや、そやからやね、山で走ってるドリフト野郎を、サーキットに集結させて、
ドリフト勝負するんや。ま、サーキットはたいてい一方通行やから、
ワンレーンのドリフトコンテスト、略してドリコンや!」
「そんなの誰が審査するんですか?」
「ちょっと待ってって言うてるやろ。いま、ドンドン沸いてきてんねん。そや、
クラス分けしようか。ドリフトが上手い職人のような、職人芸クラス。
こいつは、頑固一徹のいぶし銀やな。で、メッチャ危ないクラス、
曲芸みたいなクラス、笑いを取る笑い命クラス、んで、グループ交際やな……」
「な、なんなんです、グループ交際って?」
「そやから、書いて字のとおりで、何台かでドリフトするんや」
「そんなー、そんなこと絶対できませんよ」
とまあ、ウソのようなホントの話が瓢箪から飛び出して、
第1回目のドリコンGPは開催された。
最初の最初だけに、公募は間に合わないので、知り合いに連絡して、
我こそはと思うエントラントを集めた。
これが、ドリコンGPの始まりでした。
いまが、2017年ですから、もう27年前のことになります。
たった一粒の種が、その後いろんな人間が参加して、
ドンドンと成長していって、
あれよあれよというまに、類似のイベントもいっぱい出てきて、
いまでは日本だけにとどまらず、
世界中にドリフトが膨張している状態です。
ま、そんなドリコンの初戦を、再録したいと思います。
ではでは、ドリコンGPの世界へ、ようこそ………………
©八重洲出版
このイベントが掲載されたときに、次回のドリコンGPの公募を行いました。
これ以降、ドリコンGPは、すべて公募によって行いました。
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