SR20VE改VVLヘッド+S14ブロック

EAGLE(愛知)


CARBOY2001年5月号に掲載された、
EAGLEのSR20VE改VVL機構搭載のSRチューンです。

SR20VE改VVL方式のプリメーラヘッドをS14ブロックと合体。
VVL機構が可能にする295度カムでも楽々OKのストリート仕様です。
可変バルタイを使うことで、これほどのハイカムを組んでも、中低回転域の
トルクがしっかりとあります。このアイデアと技術は、さすがイーグルの加藤さんです。



SR20VE改VVL 
プリメーラヘッド+S14ブロック
VVL機構が可能にした
295度カムでも楽々OKのストリート仕様



一見普通のS14シルビアのエンジン
ルームに搭載されるのは……普通のSRじゃなく
可変バルタイ機構を持ったVEヘッドがドッキング!!


ボンネットを開けられても、普通のひとならちょっと「????」となる。オリジナルのサージタンクや、4ー2ー1タイプのステンレスEXマニホールドを見て「ひょっとしてエンジンイジッてんのかな?」と想像はつくけれど、運転させてもらったら……「なんだ、ノーマルじゃん!」。

 だけど、です。一般市街地走行をしている分には普通のノーマルエンジンだが、なんだかちょっとだけ雰囲気が違う。そのままアクセルを踏み込んでいくと、4200回転を超えた瞬間から、エンジンは別物のように荒々しくなる。
 そうなんです。このS14シルビアに搭載されているのは、SRはSRでもボクらがよく知っているSR20DEではなくて、SR20VEなのだ。

 といってもSR20VEのことを詳しく知っているヒトは少ないはず。日産はどうしてだか、このエンジンをシルビアに搭載せず、ブルーバード等のおとなしいクルマに積んだのだ。

でも、こいつの素性は、日産製のVTEC。2種類のプロフィールを持ったカムシャフトが、低回転域と高回転域を別々に受け持つというもの。その機構自体も、ホンダのVTECが油圧駆動でロッカーアームをピンで連結するのに対し、日産VVLはレバーで連結するタイプ。

 ま、いってみればほとんど同じ。ただ、SR20VEに組まれているカムシャフトのハイ側の作用角というおとなしめな275/265度であり、ピストンの頭部が凹んでいて、圧縮比の設定も高くない……つまり、VTEC機構を持っていながらも、じぇんじぇんスポーティじゃない。

 ここで、紹介する愛知のイーグルチュ ーンのS14は、素材としてはメチャメチャにいいSR20EVヘッドの魅力を、S14シルビアに搭載しようというもの。加藤さん自身のクルマでテストケースとして製作されたもので、街乗りをラクチンに、しかもミニサーキット走行も楽しめるという、ホント欲張りな仕様を目標に開発されたものだ。

 最初は、簡単に考えていた。SR20EVエンジンをそのまま載せてもダメだから、おなじVVL機構を持
っているパルサー用のSR16VE用のパーツ、特に、N1レースパーツを流用して、スポーティにセットアップしてやれば……楽勝じゃないか。

「ホント簡単に乗りそうだと考えてたんですが、実際にエンジンを手に入れて(なかなか見つからなかったから、現物を見たのは始めて!)シルビアのエンジンルームと見比べてみると……とても乗りそうにないんです。第一、ブロックの取りつけが全然違ってたんですよ」

 その結果、急きょブロックはSR20DE、つまりそれまで載っていたエンジンのブロックを使うことにした。ま、これはそれほど問題がなかったし、当初の計画通り、パルサーのN1用カムシャフトもドンピシャ。VVL機構を使ったストリートスポーツが……ちょっと待っていただきたい。SR20VEエンジンは、FF用に作られているエンジンだった。つまり横置きにセットされていたのだ。こいつをS14用に縦置きにすると、デスビとVVLのソレノイドバルブが、バルクヘッドに見事に当たってしまう。

 これは、AE86に20バルブを搭載するときと同じ。しょうがないので、デスビはS14用とパルサー用を合体加工してクランク角センサーだけを作動させ、点火はトヨタ用のダイレクトイグニッションを流用した。
 そして、問題のVVLのソレノイドバルブだが……そのままじゃとても付かない。最後の手段は自作。アルミプレートを使って、内部にオイル通路を製作し、ソレノイド機構を組み込んだものを装着した。

 これでOKか?と思っていたら、次から次へと問題噴出。ヒーターホースの取りまわし、フロントパネルの違い、オイルストレーナーの加工、オイルポンプの大きさが違い、クランクプーリーが納まらない。
「もう、完全に意地になってしまいましたね『とことんやってやろう』って思いましたよ。
でも、最後の最後に待っていたのがサージタンク。ボンネットが閉まらないんです」
 もう、ここまでくると笑ってしまう。だけど、加藤さんはこいつをひとつずつクリアして、VVL機構をS14シルビアに搭載することに成功した。フーウ、ご苦労さんです。

「でもね、一度やってしまうと、けっこう楽なもんです。デスビとVVLのところだけをなんとかやればOKですからね。この仕様はもう、お客さんがやりたいというんで、2台分のオーダーを受けてるんです」

 エンジンをかけてからのセッティングは、ノッキングとの戦いだったという。だが、パルサーのN1用カムシャフトのハイ側の作用角は295度もある。なのに、VVLが作動するまでの領域はノーマルと変わらない扱いやすさなのだ。これは強烈な魅力だ。ハイカム特有の低回転域の扱いやすさとは無縁で、しかも踏めばハイカムを組んだ回転の上がりとパワーが手に入る。
 ホンダオーナーだけの特権だと思われていた可変バルタイ機構を日産オーナーも味わえる。それだけでもこのチューンの価値は十分にある。HKSのFコンVプロ制御で、今後もっともっとセッティングが煮詰まっていけば、シルビアNAオーナーにとっては、凄く魅力的な仕様になることは間違いない!!(藤本愼一)

52-53写真キャプション 指定外21*4
写真キャプション1 
シルビアのSR20DEと比較すると、エンジンの全長が短いことがよくわかる。ここまでフロントまわりがスッキリしていると、前後の重量配分的にも、見た目にもカッコいい!!

写真キャプション2 
誤算だったのは、ボンネットの高さ。サージタンクはノーマル加工でOKかな?と思っていたのだが、じぇんじぇん閉まらない。そこでサージタンクを作り、エンジンマウントも低くした。

写真キャプション3 16*5
サージタンクを製作してみたのだが、今後吸気管の長さ等を変更してみながらセッティングをに詰めていく予定だ。この状態でボンネットはかろうじて閉まるようになった。ホッ。

写真キャプション4 16*5
EXマニホールドは、プライマリーが50φの650o、セカンダリーは60φの150o、そして集合部は70φの4-2-1タイプ。イーグルオリジナルだ。

写真キャプション5 12*7
手前からホンダVTEC純正カム、日産SR20VE用純正カム、そして一番奥がSR20DE用の純正カム。ロー側カムがくっついたような形状になっていることがわかるだろう。

写真キャプション6 
バルクヘッドとデスビケースが接触するので、クランク角センサーのみを活かして、デスビは廃止。かわりにトヨタのダイレクトイングニッションをセットしてある。

写真キャプション7 
大変な加工その2は、VVL機構のコントロールバルブ。純正のものはスペースがなくなって使えないので、ソレノイドバルブを新たに作って移動した。いやあ、加工は大変だった。

 

SR16VEとSR20VEの燃焼室
ピストンの違いを有効利用??


■今回のエンジンに組み込まれているのはSR16VE用の純正ピストン。そうです。SR20DE改のNAチューンに登場したパルサーピストンであります。コンプレッションハイトが高く、圧縮比設定が12となる。ここでカムシャフトと同じくN1用を採用しなかったのは、圧縮比設定が高くなりすぎてしまうから。というのも、VVL機構を使うのだが、ローカム状態で使用するときに、あまりにも圧縮比が高すぎるとノッキングの問題や、フィーリングがよくないから。カムシャフトと圧縮比の関連性というのは、微妙なマッチングを必要とするので、ただただ圧縮比を高く設定すればいいというものではないのだ。下のピストンはSR20VE用のものだが、こいつは頭部が凹んでいてダメ!!

 

イーグルS14■TUNE DATA
SR20VEヘッド&SR20DEブロック合体
SR16VEパルサーN1カムシャフト&バルブS/P
パルサーVZR用ハイコンプピストン/圧縮比12
HKS FコンVプロ/デスビ&VVLバルブ加工
クランクプーリー加工&追い込み加工
4-2-1タイプEXマニホールド/サージタンク

 

イーグル
〒489-0978 愛知県瀬戸市小坂町258-3
http://www.eagle-r.jp
Tel 0561-82-8470

 



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