89oロングストロークを持つ最新クランク!!
オートサービスWATANABE(埼玉)



これまでの最終発展版ともいえるロングストロークの
クランクシャフト製作で、更なる高みに、
L型チューンは進化する
注目の86oフルカウンターの実力は??



2010年9月号

※以下、当時のまま掲載させていただきますので、※ 
※価格、仕様等は変更されている可能性が大です※


 

CBでは、これまで渡部さんのチューンノウハウや製作してきたパーツを、
いろいろと紹介してきた。そのなかでも印象に残っているのが、
クランクシャフトのオフセットだ。LD28クランクのフライホイール
取り付け部分をカットし(中心部は残して)、フライホイールの位置を
エンジン側に寄せる加工だった。この結果、クランクシャフトに装着
されるフライホイールは、よりウエイトに近いところに移動され、
それまで面接触のボルト止めだった接合構造が、中心部と面接触の
L字型の接触となり、ブレが激減。





「言われてみれば当然だけど、これに気がつき、実行するのはスゴイ!」


と、素直に感心した。

チューニングというのは、それもNAチューンというのは、
そういう創意工夫の総合勝負なのだと思う。キャブ仕様の
最高を求めて、独自のジェットブロックを製作し、加速度の
強烈なカムプロフィールを採用し、バルブの突き出し量に
こだわり……渡部さんのL型チューンは、年を追うごとに進化を続けてきた。

その成果は、S30Zのストックボディで、ゼロヨン10秒台突入という
記録によっても、そして近年盛んになっているクラシックカーレースに
おいても証明されている。そして、今回紹介するのは、86oという
超ロングストロークを有する(LD28で83o、L28で79o)フルカウンター
鍛造クランクである。とはいっても、単純に素材や製法が、シリコン
クロムやフルカウンターであるというだけのクランクであるはずがない。

オートサービス渡部(そうです。渡部さんの店です)に到着したばかりの
クランクを、取り出してみると、非常に素っ気ないというか、
シンプルな形状が姿を現した。その原因は、限りなくかまぼこ板に
近いウエイト形状にある。



一般的なクランクに見られるような凹凸がほとんどなく、側面は
シンプルそのもの。バランス加工は、ウエイトの端部のみで行う。

そして、もうひとつの外観的な特徴は、オイル通路を確保するための
加工だ。ジックリとジャーナル部分をチェックしてみると、
オイル供給用の穴が、若干斜めに設けられている。これは、
クランクの芯間から来た通路が、子メタルに供給するために
斜めに穴が設けられている証拠。


「でも、この部分があまり大きすぎると、メタルの脇にオイルが
回るので、それなりの寸法じゃないといけないんです」


また、オイル穴が開けられている位置にも注目。コンロッドが
動いている状態を想像すればわかるのだが、圧縮上死点から、
爆発後のメタルを押しつぶしている状態のところに、いくら
オイルを供給しても無駄。爆発圧力がかかっていないところを
狙って、油圧でオイルを供給するためには、オイル穴の位置が、非常に重要。



 このあたりのことは、渡部さんが考え抜いたクランクだけに抜かりはない。
なにしろ、同じエンジンで、クランクだけを何本も何本も組み換えて
チェックをするという実践派だけに、どの部分が弱いのか? 

どうすれば耐久性があるのか?を検証し続けた結果の形状であり、
素材であり、各部の仕様である。到着したばかりのクランクは10本。
この新素材がL型の可能性をどう変えるか? 注目!!



●左上から、今回製作したフルカウンター鍛造クランク、
8ウエイトのロングストローククランク、S20用の8ウエイトクランク。

 

●クランクプーリーがはまる部分は、段差部が直角ではないものが
ほとんどだが、これはプーリー焼き付き防止対策でほぼ直角。



●ウエイトの側面には、軽量化やバランスのための肉抜きが一切ない。
「かまぼこ形ですね〜」と渡部さん。これがもっとも強い。

 

●RB26DETT同様に、フライホイールをオフセットできるように
なっている。また、内径で固定されるのでガタが出ないのも特徴。



●ウエイトの切削部分はこのように、ウエイト端部のみ。その他の
部分はできるだけ肉厚を稼ぎながら、強度アップに貢献させる。



●子メタルの幅は、RB26DETTと同じく幅狭の22o(純正は27o)。
だがピン径は50φと強度を視野に入れた寸法に設定されている。



●ピストンはバルブリセス部裏の肉厚もシッカリと確保された強度
重視の作りとなっている。材質はクロモリ鍛造の幅狭タイプ。



●こういうふうに見ると、コンロッド大端部の口径が大きいことが
よくわかる。50φの内径を持っている。無駄の少ない形状。



●ロングストローク化を実現しても、ピストンのショート化で、
コンロッドの中心間距離は確保している。このあたりはこだわり。


●ピストンを側面から見たところ。余計な肉は抜きながら、
高回転対応の強度確保はしっかりと実現されているという。


6番ピン部分にオイル穴跡がない??



■クランクシャフトに詳しいひとなら、上の写真を見て、
「????」と疑問に思うはず。そうです。オイル通路を
切削するときにできるはずの穴(埋められてはいるのだが)跡がない。
この理由は「ここに穴を貫通させることによって、強度が落ち、
この部分からクランクが折れるというケースがあるんです」ということ。
そこで最後端部分のウエイトには穴を開けないような設計を実現。
ウエイトに軽量用の凹みがないということと同じで、ウエイト強度を
最大限に確保するための工夫だ。





オートサービス渡部 
〒364-0011埼玉県北本市朝日2-163-2
http://www.as-watanabe.com
Fax 0485-41-8771


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