エキセン加工&クリアランス設定
TOP FUEL RACING(埼玉)



13BTのチューニングに新しい要素が
加わった。エキセンのモディファイで
オイル管理を一歩進めてハウジングの
磨耗を少なくするSPLノウハウ公開

※以下、当時のまま掲載させていただきますので、※
※価格、仕様等は変更されている可能性が大です※

REのチューニングが、数年前とはずいぶん異なってきている。
というのも、従来のREチューンでは、メーカー製のパーツ
(サイドハウジング、ローター、各種シール類)を加工することの
枠を超えることがなかったのだ。

だが、強化タイプのアペックスシール、コーナーシール等の出現、
そして、トップフューエルレーシングが岐阜のヤシロエンジニアリングと
共同で取り組んでいる3ベアリング方式の支持法、そしてセラミック製
アペックスシールの採用と、従来とは違うアプローチのチューニング方が
登場してきているのだ。

今回紹介するのは、レシプロで言うならクランクシャフトに相当する
エキセントリックシャフト(以下エキセン)の加工、そしてコーナーシールの
クリアランス調整に関するノウハウだ。
まず、エキセンの加工だが、これにはふたつのノウハウが盛り込まれている。
ひとつは、エキセンのリヤジャーナル側に新たに設けられたオイル溝である。
これは、エキセンの潤滑を考えて採用された方法である。

REをチューンしていく場合、オイル管理が非常に重要なポイントと
なってくる。高回転、そしてターボとの組み合わせによるシール類の
シール性が問題になるのだ。

エキセンの潤滑というのは、エキセン自体の問題だけではなく、
各部シール類との関連性のなかで考えられるものなのだ。つまり、
エキセンにかかる負担が多くなり、たわみが発生するようになってしまうと、
サイドハウジングの磨耗が大きくなるわけだ。ということは、
サイドハウジングと接しているシール類のシール性が落ちることになる。

こうなるとどうなるか? そうです。レシプロでピストンリングと
シリンダーの関係と一緒です。混合気が吹き抜けてしまい、そのなかの
ガソリン分がオイルと混じって劣化させるわけだ。もちろん、エンジンの性能も低下する。

ローターにセットされているシールの代表選手は、アペックス、コーナー、
サイドシールである。これらのクリアランスをキチンと管理すること、
それが、エンジン爆発時のエネルギーを無駄なくエキセンに伝え、
回転させ、そしてタイヤに伝えることになる。

エキセンに設けられたオイル溝は、そのためににセットされる。
そして、エキセンの表面処理も同じ目的で行なわれる。パルフォス処理と
呼ばれている表面処理は、これまでの常識だった(?)表面の硬度UPを
目的としたものではなく、油膜が切れないようにすることが目的で
施されているもの。トップフューエルレーシングでは、これまで数種の
エンジンにこの処理を採用して、現在チェック中なのだが、ストリート
&ゼロヨンで約1年酷使したエンジン(480馬力仕様)では、
処理&加工なしのタイプと比較すると、明らかにサイドハウジングの磨耗が少ない。

最近では、オイルの質がよくなっているので、メタルが飛んだり流れたり
というトラブルは少なくなっているのだが、エキセンの振れ、
サイドハウジングの磨耗ということについては、やっぱりエキセン自体の
加工&表面処理が必要になってくると考えてもいいだろう(もちろん、
ノーマルエンジンではなく、チューニングされたエンジンに限っての話だから、
勘違いしないでねっ)。

このエキセンのオイル溝加工&表面処理に関しては、トップフューエル
レーシングで、4万円前後で受けれるように調整中ということなので、
本気でREチューンを考えているひとは、問い合わせていただきたい。
そして、以前CBでも紹介したことがあるのだが、サイドシールの加工用の
治具が完成したので、そいつも紹介したいと思う。

これは、サイドシールのクリアランス調整をするときに、従来では、
平らなヤスリで削ってクリアランスを合わせていたのだが、
これを丸いヤスリ(つまり、サイドシールが実際に接するコーナーシールと
同じ径のリューター)で研磨してやろうというもの。こうすることによって、サ
イドシールとコーナーシールのクリアランスは、すべての部分で一定となる。
つまり、初期当たりから大きな変化がないということだ。

また、このサイドシールの熱処理もテスト中だということなので、
近いうちに、クリアランス変化がより少ないサイドシール加工が実現することと思われる。

トップフューエルレーシングでは、猪爪選手のマシンの製作&サポートを
しながら全日本ジムカーナにチャレンジするかたわら、昨年度からドラッグ
レースにエントリーし、CBのストリートドラッグランキングで13BT部門で
1位&2位独占という記録をマークしている(そういえば、1位の神選手のマシンが
ビッグエンドタイヤ使用といいましたが、ニットーでした。

つまり、ラジアル最速の1位&2位ということですね、ハイ)。けっこうハードな
使用方法をテストしながら、新しいREの可能性を探っているという面でも、
注目すべきショップだといえるだろう。

最近のチューニングエンジンではブースト設定がグングンと高くなってきて、
ブリッジポートで670馬力をマーク。今後、サイドポートで 1.8kg/cm2の
ブースト設定で700馬力を目指す……思わず「本気でうか〜?」と言って
しまいそうな領域に足を踏み入れようとしている。

これと同時にストリートでの基礎耐久力をUPするチューンとが
行なわれているというあたりが、注目すべきポイントだと思う。

そういう意味で、注目したいのが、今回紹介したエキセンの
オイル溝加工&パルフォス処理、そしてサイドシールのクリアランス
調整方法なのだ。こいつは、一般ストリート仕様としても、
耐久力を上げる意味でも、レスポンス確保という面でも大切な
チューンになるはず。細かな部分の加工が、REチューンでは
生命線になるのだから……。(藤本愼一)

●よく2本のエキセンを見比べていただきたい。リヤ側にオイル溝が
切られているのがわかるだろう。ここにオイルを溜めることで、潤滑製を向上させる。

●パルフォス処理と呼ばれる熱処理を施したエキセンは、表面がマット調に
なっている。ただし、これは表面硬度を上げるためのものではない。

●オイル管理同様、REチューンでポイントになるのは、各シール類の
クリアランスだ。トップフューエル独自の考えでサイドシールを弧状に削る。

●ちょっとわかりにくいかもしれないが、弧状に削られたサイドシール。
コーナーシールの外径に合うように削られているわけだ。

 

サイドシール加工用SPLツール登場!

■以前CBで紹介したのだが、トップフューエルレーシング独特の
サイドシールのクリアランス調整用SPL治具が完成したので
紹介しておこう。ま、ぶっちゃけたハナシが、コーナーシールの
外径と同じ径のダイヤモンドリューターを下からセットして、
そこにサイドシールを送り出していって削るという仕組み。
ただし、精度が要求される仕事なので、各部の仕上げ、
そして送る際のスムーズで正確なこと等が必要になってくる。
だから、スチール製のベース材に各種の部品がセットされている。
サイドシールを確実に固定できるように誘導のダボがいっぱい
設けられ(もちろん、サイドシールの弧に沿ったアールです)、
シールを送り出していくのも、手ではなくマイクロメーターの
送り出しを改造したもの。
つまり、100分の1単位で送り出すことができるので、クリアランス
を微妙に調整することができるのだ。こういう加工を施せば、
組んだ直後から適正クリアランスを得ることができるのだ。


トップフューエルレーシング
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http://www.topfuel.jp
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■ これまでの履歴 ■

 

サイドシールのクリアランスを取る冶具

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