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国産感覚でやるポルシェTUNE STEP 3

プロモデット(埼玉)

さあ、いよいよ佳境に入ってきた
ポルシェSC改チューン作戦
今月は、エンジン内部の加工、
パーツ選択、そして組み合わせ
このあたりの生情報をお伝えしよう
と思う。これまでの常識と
ググッと違うチューン方法で挑む
大排気量NAチューン登場!!

下のビデオは、「CARBOY2017」というタイトルで、
FRESH!アメーバ を通じてインターネット放映されたもののです。
また、そのアーカイブを、Youtubeにアップしたものです。
他にもイロイロと作っていきますので、
よろしくご支援くださいませ。
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上のYoutubeボタンを クリックして見ていただけますよう、お願い致します。

 

ポルシェSC改SCR

PRODUCE by PROMODET&CB 1996年7月

 

                             ©八重洲出版 

 

次第に形が見えてきた。
ポルシェというメーカーが作り続けてきた
水平対抗6気筒が持っている効率追求手段、
耐久性の持たせ方、パワーの出し方、
トルクの獲得方法……よくできていると思う。

国産エンジンとの一番の違いは、ただパワーを
発生させるためのエンジンシステムではなく、
スポーツドライビングを可能にするエンジン
フィーリングを最優先させていることだろう。
しかも、それが量産メーカーとして成立する
という条件を満たした上での話だ。

プロモデットと相談の上、チューニングの
最終的な仕様が決定し、各部の加工、そして
使用するパーツがそろった。まずは、どんなクルマを
作りたいのか?というところから、チューン作戦を解説していこう。

ポルシェというクルマは、だれでも知っているように、
リヤに空冷のエンジンを搭載している。だから、
スタート時、あるいはパーシャルスロットルから、
ググッと踏み込んだときのトラクションのかかりがいい。
そして、排気量を稼ぐ方向で進化してきているので、
次第に低速トルクは太くなってきている。

だから、回転領域をすこし移行することが、
フィーリング改善のためには必要になってくる。
そして、踏んだときのエンジン本体が発生する
トルクのつき、回転の上がりの早さと
いったものが欲しいのだ。

だから、高目の圧縮比と作用角の高いカム、
ピストン&燃焼室のスキッシュ形状にこだわりたいわけだ。

おまけに、今回提唱しているように「低価格でチューンする」
という命題もある。もちろん、性能をないがしろに
するわけではない。カレラをブッツリと抜き去る
SCというのが、ひとつのラインだと考えているからだ。

カレラといのが分かりにくければ、ホンダNSXの
速いヤツと言ってもいい。

このあたりの性能を確保しながら、チューン費用は
国産エンジン+アルファといったところでおさめたいと
思っているから……フフッ、ここがカニミソです。

前回バラしたポルシェSCの3♀エンジンは、腰下は
丈夫だというポルシェ常識を覆す「改悪チューン」を
施されていた。で、残念ながらコンロッドは
再使用できなかった。恐怖のジャキジャキ鏡面仕上げと、
コノロッドボルトの締めすぎで、大端部の真円度が
出なくなっていて、メタルが傷つき、おまけに
ゆるゆるになっていたためだ。

ヘッド部分のオイル漏れや、バルタイ等は、加工、
修整で直ると思われるが、コンロッドだけは交換することにした。

で、腰下はノーマルクランクのバランス、コンロッド
側面鏡面といったところで組み上げ、シリンダー部分と
ヘッド部分の加工、そして、L型ノウハウ注入のパーツ
組み合わせで、今回のプロジェクトを進行していくことにする。

まず、一番重要なのは、ヘッドのIN&EXのポート形状だ。
これは、何度も言っているように、L型で培われてきた
ポート研磨ノウハウで、L型フルチューンそのままの
形状で削ってやる。そして、材質的に弱いと言われている
バルブガイドは、ベリリウム素材のものに交換する。

インテーク側は、ガイド周辺の肉を残しながら加工し、
エキゾースト側は、そのままマニホールドまで削り込んでいく。

そして、ポート内部に突き出しているガイドは、
ポルシェのバルブの重量、口径の大きさ等を考えて、
そのまま残しておくことにした。

バルブをガイドしている部分を、できるだけ
残しておく……耐久性を確保するためだ。


バルブの振れ、ガタといったものが発生すると、
ハイカムハイコンプ仕様では、トラブルに直結してしまうのだ。

動弁部分は、荷重の増加と軽量化を目標にパーツ選びをした。
具体的には、バルブスプリングを変更し、セット&フル
荷重共にポルシェ純正の倍近くの数値を持つものを
組み合わせることにした。

カムシャフトは、国内のメーカーで削るのは
チョット難しいので(なにしろ水平対抗というのは、
ちょっとカム山の方向が違ってくるので、治具を
持っていないメーカーが多いのだ)、ポルシェ
チューンパーツが豊富にあるアメリカ製の
チューニングカムを使用することにした。

最近では、日本国内でもアメリカのパーツが
いろいろと流通しているし、様々な種類があり、
しかも価格が安いというのが、選択の理由だ。

今回使用するカムは、作用角がIN252/EX242度の
タイプ。81ー83年製SC純正が、IN234/EX226度、
84ー89年製カレラもIN234/EX226度(タイミングが
違うが……)だから、ずいぶん作用角は大きいと言える。

ポルシェのカムは、だらーっと開いて、ズーッと
開いているようなプロフィールを持っている。
だから、数値上の感触よりも作用角が
大きいと考えてもいいだろう。

バルブはノーマルを軽量加工して使用する。
サイズはIN49φ/EX41・5φ。L型でよく使われる
46φ/38φと比べると、ずいぶん大きいことがわかるだろう。

このバルブサイズは、SCもカレラも共通だ。
ポートの大きさが違うことで、エンジン
フィーリングの差となっているが、今回の
ようにポートを拡大(といってもL型風
ではあるが)すると、その差はなくなってしまうはずだ。

そして、軽量加工部分は、傘の付け根部分。
ステム径は変更しない。ポルシェのエンジンを
バラしていると、コッターが広がっている
エンジンが多い。そのため、動弁部分の
軽量化とコッター対策のために、リテーナーは
チタン製を使用する。

丈夫で軽いとツインパワーのチタンは、
ポルシェNAチューンの大きな戦力になってくれるはずだ。

次回は、これらのパーツを使ってエンジンを組み、
試乗してみるところまで行ってみたいと
思っているが……問題がまだ残っている。

ピストンの位置だ。SPLハイコンプピストンを
導入すれば、目標である高い圧縮比の問題は
解決するのだが、ピストン&シリンダー代金の
ことを考えると、安価なポルシェチューンには向かない。

現在組み込まれている欧州仕様のハイコンプ
ピストンを使いながら、圧縮比11あたりは確保したい。

となると……方法としてはシリンダー上面を
カットして、ピストンを燃焼室側に突き出すようにし、
その分燃焼室を削ってやるという作戦を考えた。
これは、実際に仮組みしてみないと、その量が
わからないので、後ほど報告することにしよう。
バルブリセスも現物合わせで切り直す
必要が出てくるかもしれない。

ウーン、ワクワクしてきた。加工された
エンジンパーツを手にとって眺めていると、
いろんな妄想がいっぱい出てくる。

予算と、性能のバランスをどのあたりで取るか? 
CB&プロモデットのポルシェ改造プロジェクトは
地道に、そして過激に進行中であります。
パワーは? フィーリングは? そして速さは? 
高鳴る胸を押さえつつ、次号からの進行状況を
見守っていただきたい……ナヌッ??
もうポルシェ買っちゃったって? 
まずい、急がなくちゃ。(藤本愼一)

 

※当時のまま掲載させていただきますので※
※価格、仕様等は変更されてる可能性が大です※

キャプ1
●ノーマルポルシェのバルブスプリングは、
セット荷重&フル荷重共に低めの数値を
採用しているが、もっと荷重をかけたいので、
1.5倍程度のものを流用することにした。

キャプ2
●バルブはノーマルを軽量加工して使用する。
2バルブで、大きいサイズを使用しているので、
このままでもOKだろう。燃焼室加工の
都合もあるので、現状サイズだ。

キャプ3
●軽量加工は、バルブの傘とステムの接合部を
L型と同じように加工する。リングはシート
カットし直す。リテーナーはチタン製の軽量タイプ。
動弁系はできる限り軽くしたい。

キャプ4
●アメリカで製作されているポルシェ用の
チューニングカムシャフトが、安価で手に入る
ようになったので、それを使用する。作用角は
IN252/EX242度のタイプだ。

キャプ5
●ピストンは、これまで入っていた欧州仕様の
ハイコンプタイプを使う。ピストンを交換すると、
シリンダーも交換しなければいけなくなるので
……費用の節約にもなる。

キャプ6
●ピストンのクラウン部の形状をいかすために、
シリンダーを削り、ピストントップを燃焼室側に
追い込むようにセットする。この方法は、
加工費も安く、性能も期待できる。

キャプ7
●コンロッドは……新品に交換した。以前
施されていた強烈な(?)鏡面加工の手直しが
難しかったのと、大端部が広がっていたために、
メタルがスカスカになっていたためだ。

キャプ8
●ピストンの項でも述べたように、シリンダー部分は
上面をカットする。これは、ヘッド部分の余分の肉
(リングまでの余裕分)を見ながら、現物合わせで
カット分を決定する。

 

キャプ9
●シリンダーヘッドは、ポート加工、シートリング
カット、バルブガイド入れ換え、燃焼室加工、
そしてピストン追い込みのための加工が施される。
それほど過激ではない。

キャプ10
●インテーク部分のポート加工は、ガイド周辺の
肉を残しながら切削するが、EX側はそのまま
ラウンド形状で切削する。ガイドの突き出しは
バルブが大きいので残したまま。

キャプ11
●バルブを入れてみたところ。けっこう大きい
バルブが入っていると感じる。燃焼室下端から、
バルブのシートリングまでの余分の肉部分を
カットして、ピストンを追い込む。

キャプ12
●バルブガイドは、ベリリウム製のものに
交換する。そして、シートリングのカットは、
L型と同じように30度、45度……というふうに
カットし直す。当たりは外寄りにする。

キャプ13
●今回組み付け予定しているのが、ノーマルの
クラッチディスクを改造したメタルディスク。
ノーマルのクラッチの価格を聞くとビックリ
してしまうし……メタルのほうがいい。

キャプ14
●プロモデットがOS技研に特注したメタルの
ツインプレートクラッチキット。これまで
ポルシェはクラッチで逃げて、ミッションを
守ると言われていたが……やっぱ必要でしょ。


プロモデット
〒3430827 埼玉県越谷市川柳町3-106-1
Tel 048-986-6444


http://www.promodet.co.jp



 


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