DRAG RACE 関連

Tuning用語解説
今回の用語

スライダーCLUTCH

スライダークラッチは、ウエイトを調整することによって、
圧着ポイントや圧着力等を調整することができるクラッチ。
一般的なクラッチというのは、フライホイール、クラッチディスク、
プレッシャープレートという3要素から構成されている。
このうち、真ん中に入るクラッチディスクが2枚ならツインプレート、
3枚ならトリプルプレートタイプとなる。

クラッチの圧着力というのは、クラッチディスクの口径や摩材、
プレッシャープレートのバネの強さ等で決定されている。
いまでは、1000馬力といった驚異的な出力にも対応できるような
製品が販売されている。

しかしながら、ドラッグレースで使用されるエンジンの出力は、
このあたりの馬力とはワケが違う。燃料も、ガソリンからレースガソリン、
アルコール、そしてニトロ燃料と、ばかみたいなものを使用する。
その結果、出力は1000馬力どころか、2000、3000、いや1万馬力なんて
ケースもあるのだから、通常のクラッチシステムを使用したら、
一発で滑ってしまう。半クラは効かないし、踏力も人力では無理な値に……。

そこで、考え出されたのがスライダークラッチというシステム。

多板式のプレートを持ち、それを圧着するプレッシャープレートの
バネの力をスプリングやウエイトを組み込み、それがレバー比で
強力な圧着力を実現しようと考えられたものだ。

しかしながら、システム的な変更を施した結果、
対応馬力が飛躍的に増大した代わりに、欠点も存在する。

一般的なクラッチなら、一度調整を行えば、ある程度の期間は
その調整範囲内で使用し続けることができる。

一度走ったら、摩材が減ったり、反ったりするので、
調整していたクリアランスに変化が生じます。

その結果、そのクリアランスを再度調整するために、
一度クラッチを降ろして、調整をする必要があります。

そうなんです。ドラッグマシンで、スライダークラッチを使用している
マシンの場合、1回走行するごとに、クラッチを降ろして、調整が必要なんです。

本場アメリカでは、そういうことは『常識』なので、
1回目の走行と、2回めの走行には、そうとうの時間が設けられています。
その時間を使って、スライダークラッチを調整するわけですが、
その調整は、先に言ったように、クラッチのクリアランスのみを調整するのではなく、
その日の路面やエンジンの状態、ライバルの様子など、いろいろな条件を考え合わせて、
ベストな状態のスタート実現するために、ウエイト重量を変更したり、
レバー比を調整したり……非常に重要なポイントとなっています。

だから、クラッチマン(スライダークラッチの担当者)は、コースを読む能力と、
よりよいスタートをさせるための経験値が必要になってくる。

だから、優秀なクラッチマンは、スポンサーの目に留まれば、
次年度のドライバーに抜擢されることがある。
そして、そのまま勝ち続けてシリーズチャンピオンを獲得したり
……これは、実際にあった話であります。

 

 

 





TOPへ戻る