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COMPUTER TUNE 1991
1991年9月

ROMチューンという代物が
登場してから、コンピュータの
制御方法は一気に一般化した!!

 

ドリコンGP暦で言えば、
織戸学選手が、グランドチャンピオンになった次の年。
CARBOY0→400m暦なら、メカとターボに分かれて3年。
NAが速いか、ターボPOWERが凄いか?
そんな話をしていた時代から、数年が経ち、
なにやら、コンピュータという代物が、
キャブレターに代わって燃料&点火制御をするらしい……。

そんな時代でありました。

ですから、『ROM』というものが、
コンピュータのなかに組み込まれていて、
そいつをなんとかすると、燃料の量や
点火時期をコントロールしているらしい。


なにはなくても『ROM』なんだ。

そういう特集でありました。

で、あまりにも、よくわかってないもんだから、
わからないということを、キチンと認めて、
でも、これからは『ROM』が大切なチューニング
PARTSになっていくということをお伝えしたい。

でも、最初の最初から、あまり難しい話を
こねくりまわしても、理科系苦手な人間は
拒否反応が出るばかり。

そうだ、自分の身丈で、『ROM』というやつを、
いろんな側面から考えてみたらどうだろう?

 


ということで、ウエッジウッドの皿に
『ROM』を載っけて、薄口醤油に木の芽を添えてみました(笑)
グラスはバカラのショットグラス。箸は吉野杉。
そして、添えられた惹句が

「ROMチューン 峠をめぐりて 夜も……すがら」

なにバカなことやってるんでしょう。

上の写真は、実を言うと……APPLEのマッキントッシュCiの基盤です。

どうして、TOYOTAやNISSANのECUの基盤を使わなかったのか?
それは……かっこ悪いからです。

この当時、新進のコンピューターメーカーとして
登場したAPPLEのスティーブ・ジョブスくんは、
APPLEUの基盤を業者に依頼したんですが、
出来上がってきた試作品を、ひと目見るなり
「……ダメッ!」と突き返したそうです。

業者さんにしたら「?????」です。
当然ですよね。動きだとか、速さだとか、
能力だとか、そういったものをチェックすることなく、
ひと目で却下するんですから。

「おんどりゃ〜、なにを抜かしとんねん。
オレの作った基盤のどこがどう悪いんじゃ〜!」と、
英語でまくしたてたことでしょう(想像)。

そのときのジョブスくんの答えはこうでした。

「カッコよくないっ!」

ど、ど、どうして、コンピュータ内部の基盤が、
キレイである必要があるのか? かっこいい必然性があるのか?
どうせ、筐体に収められて、ほとんどのユーザーは、
内部を見ることもない……の……に。

でも、ジョブスくんは頑強でした。

APPLEUで成功を収めたジョブスくんは、
図に乗って、画面一体型のマッキントッシュを
作ることになるのですが、その筐体の裏側には、
各部門の担当者のサインがされていたといいます。

藤本自身も、「ホンマかいな〜?」と
眉に唾をつけていたのですが、
自分で買ったマッキントッシュSEの筐体を開けてみると、
自筆のサインではありませんが、それを樹脂でかたどった
筐体の裏側を確認したことがあります。
「ホンマや〜、ホンマにこんなことしよんのや〜」
妙に感心しました。

ですんで、当時、一番きれいだと思えたマッキントッシュの
基盤を撮影したわけです。80万円くらいしたコンピュータの
基盤を外して撮影するのは、ちょっとドキドキしましたが(笑)

ま、そんなこんなで、手探り足探りで
『ROM』チューンの特集を作っていったわけですが、
後年になって、

「ROMのデーターって、どうやって、
コンピュータに持ってくるの?」

という素朴な疑問に耐えきれず、
ROMを基盤から外す『ハンダ剥がし』から始める
CARBOY流のROM』チューンが開始されることになるのですが、
この当時は、まだまだおっかなびっくり状態でありました。

 


八重洲出版のスタジオで、
カメラマンの金上さんとふたりっきりで
「ああでもない」 「こうでもない」
「それじゃツマランッ!」と、
ワケのわからないことを言い合いながら、
時間をかけて撮影した写真群は、
いま見ても、なかなかに思い出深いです。

 

この頃、印象的だったのは、Minesの新倉さんです。
湘南ボーイの新倉さんは、何度も編集部に遊びに来てくれましたが、
彼が作るクルマというのは、非常にシックで大人っぽい印象がありました。
ROMチューンの代名詞にもなったMinesですが、
控えめなロゴや、ボディデカール、そしてなによりも、
クルマ全体のバランス感覚というものが、
当時の他のチューナーとは、ずいぶん異なっていると思ったものです。

そういう意味では、今後あらためて取材をお願いしたいと思っております。
Minesのクルマは、国産車でありながら、ヨーロッパ的な匂いを持っているように
藤本的には思います。これからのクルマとの関わり方という面でも、
新倉さんと、いま、話してみたい……そう思っています。ハイ。

 

 

 

おっと、話が脱線してしまいましたが、
いまの現状では、ROMチューン用のROM自体が
入手困難になっております。

しかしながら、Linksというイギリスのメーカーが作る
フルコンピュータが、ROMの代わりに(というか、
もっといろいろなことが直感的にできる)使えるように
なってきているのが面白いところです。
価格的にも本体が10万円以下ということで、
ROMチューンに比べたら高価ではありますが、
ひとつの可能性として考えると、アリだと思われます。

どうでしたでしょ?
27年ほど前のコンピュータチューン。
あれから四半世紀しかたっていないのに、
コンピュータによる制御は、燃料や点火の領域を
遥かに超えて、いまやクルマの制御全般を
行うようになっています。

いやあ、そう考えると、凄いもんですが、
本当に、そんな制御が、ドライバーにとって必要なのか?
そう考えると、また違った見方ができるようにも……思えます。
ま、そのあたりは、また別項で。

 


 

 



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