L型メカチューンNOW 1994年版
1994年11月

復権を遂げたL型メカチューン
当時から現代までの系譜を辿ることができる!

昨日、REの原稿をアップしたばかりではありますが、
今回は『L型』であります。

まったくもって節操がない。
自分でもそう思います(笑)

しかしながら、REと同年度に企画された『L型』は、
1984年近辺の『L型』とは、まったくもって異なっていました。

10年です。人の噂も七十五日、10年ひと昔……であります。
男子三日会わざれば刮目して見よ……とも言われております。

全国的なL型フィーバーを起こした1980年代なかばの日本でしたが、
その後『TURBO』というとんでもない補機類が登場して、
あっという間に、チューニング業界を席巻いたしました。

ですが、絶対的な速さが、すべてなのか?

そう考えると、一概にそうとは言い切れないものがあります。

ヨーロッパ的な考えと言ってもいいかもしれません。

エンジンが持つフィーリングというか、
加速性能と官能性能のバランスといえばいいのか……。

ともあれ、10年間という嵐のような『TURBO旋風』に吹き晒された
『L型メカチューン』というものが、新たにその存在価値を
主張し始めたわけです。この風潮は、現在にまで続いています。
1994年から2017年まで、地道に、10年以上の期間を経て、
いま、再び、注目されています。

ま、その件は、後ほどHPに掲載するつもりですが、
13年前のL型状況を把握していただければ幸いです。

 


以下に、当時の原稿を再録します。

L型エンジンのチューニングが進行している。
プライペーターが頑張って、レベルの高いエンジンを
作り上げれば、負けじとショップチューンのL型は、これまでの
L型とはひと味違ったNEWバージョンを送り出してくる。

その昔、L型がストリートシーンで
絶大な人気を誇っていたころ、L型の本場(?)は関西だった。
いろいろなチューニングショップがそのノウハウと
技を競っていた。

しかしながら、ターボチャージャーという補機
類が導入され、コンピュータが燃料制御&点火時
期のコントロールをし始めるようになると、L型
・エンジンのメカニカルチューンは、少しばかり下
火になってしまった。

ターボチューンが全盛期を迎え、いくらていねいな
ポート研磨を施しても、どれだけ神経を
使ってクリアランスをとっても、
ターボエンジンがVVC を1クリック回すだけで、
とてつもないパワーを絞り出すようになると、し
だいにメカチューンエンジンを作り上げる情熱が
薄れてきたのだ。

そんなことをしているよりも、
タービンを交換し、燃料コントロールすれば、ズ
ッと速いのだ。フルチューンされたエンジンとヨ
ーイドンしたら、問題にならないくらいにターボ
は速いのだ。

これは、厳然たる事実だった。面白くないと
思っていたチューナーも多い。しかしながら、
時代は確実に変化していったのだ。

新しいエンジンが登場したということもある。
L型をコントロールするコンピュータがほとんど
なかったという条件もあるだろう。

いろんな状況下で、L型メカチューンは、しだいに少なくなり、
時代の趨勢とともに、オールドカーの部類に分類される
日も近い……ほとんどの人聞が、そう思っていた。

しかしながら、L型メカチューン人気は、嘘の
ような勢いで盛り返しつつある。

もちろん、ターボの時代もずっとL型メカチューンを続けてきた
チューナー&ショップもある。
プライベーターがL型エンジンの
面白さを再発見したということもあるだろう。

しかしながら、その本当の原因を探ってみると、
面白いことに気がついた。新しい層が誕生してい
ているのだ。L型の現役時代なんて全然知らこーんな
面白いエンジン知らなかったなどという若い層がそれだ。

ターボが当たり前の時代に育った彼らにとって、
高圧縮で扱いにくくて、リニアなフィーリングが
あり……こんなパワーユニットは、なんだかメチ
ヤメチャにカッコよく思えたのだ。
そして、L型のことを勉強すればするほどL型の凄さ、
このチューン方法を考え出したチューナーや先輩の凄さ
に、改めて気がついたのだ。

「いまのL型は、10年前のL型ではない」

これだけは言っておこう。EX ノートが違う、
パワーが違う、フィーリングが違う。
同じエンジンを使用しながら、10年という歳月は、
L型を別物エンジンに成長させていた。

左のコンロッドを見ていただこう。これはクロームモ
リブデン鋼を材質にして作り上げた、鍛造コンロ
ッドである。基十本的な寸法は、L28改3.1L に使用
するL14コンロッドと同じだ。しかしながら、そ
の形状、重量、耐久性は、L14コンロッドとは格
段の差がある。

そして……L型のチューンパーツを見慣れたひ
とならわかると思うが、このコンロッドはこれま
で見たことがある……たぶん、CB の誌面だ。

そして、このコンロッドを作ったのが、大阪の柿本
レーシングだと聞けば、通のプライべーター なら.
「ナルホド!」と納得していただけるだろう。

現在のL型チューンの基本ラインというかスタ
ンダード仕様を作り上げ、練り上げたのは、L型
のプロフェッショナルと呼ばれた柿本レーシング
だった。以前、CB 誌上で、そのもの凄いノウハ
ウと、加工術を全公開してもらったことがあった。
これ以降、L型のプライベートレベルは、飛躍的
に上がった。

そして、明確な理論づけと、細かなパーツ開発
を続けてきた東京の塾伺エンジンワークスも、そ
の後のL型チューンをリードしてきたことは、C
B 野郎の-詔憶に新しいはずだ。

亀有エンジンワークスは、オリジナルのピスト
ン& コンロッド、クランクシャフトと、さまざま
fi向性能パーツを開発し、プライベーターに提供
し続けてくれている。

このお陰で、関東のプライべーターのチューン
ノウハウとテクニックはグンツと向上した。パワ
ーも350 馬力を突破し、トルクももの凄い数値
をマークする。

柿本レーシングが今月発表したNEWコンロツ
ドは、これまでの問題点を全部解決し、究極のエ
ンジンに対応できるように設計されている。しか
も、価格は1本1万9000 円だ。

これからも、続々とL型のためのNEWが登場する予定だと聞
いているし、プライぺーターの選択の幅が広がる
ことは、CB としても本当にうれしいことだと思っている。

というわけで、L型は1994 年に再びその勢
いを盛り返してきた。

この10年間、ターボの影に隠れていた
感のあったL型だが、さまざまなチュ
ーナーが、独自の方法論で、
L型をモディファイしている。

取材を重ねていくうちに、1994 年式のL型
チューンの面白さに、グイグイと引きずり込まれ
ている自分に気がついた。

話だけでも面白いのに、乗ればもっとワクワクするのだ。
こんなエンジンって、ほかにあるんだろうか?
日本のチューナーが開発したパーツに加えて、
アメリカのL型野郎が作り出したL型用
チューンパーツも、どんどんと進出してきている。
これからドンドンと面白くなる。

そしてポートの削り方ひとつで、走りが変わり、
クリアランスの違いでレスポンスが変わる。そん
な楽しさが、再び味わえる時代がやってきたのだ。
絶対スピードだけじゃモノ足りない、自分の感覚
に応じたフィーリングをもったエンジン……これ
がL型なのだ!

 



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