プロのRX-7遣いになる。
1994年7月

REという世界的に稀少なエンジンは
プライベーターにとって最高の素材だった!

先日、マツダの山本健一さんが
95歳で亡くなられたという
ニュースを知りました。

マツダというメーカーは、ロータリーエンジンを
唯一市販したメーカーであり、その開発リーダーだった方です。

以前、CARBOYでRX-7のムックを作ったときに、
マツダ本社の開発の方に取材を依頼したことがありました。

ですが、広報担当のかたから「申し訳ありませんが、
現在RX-8の開発中で、時間が取れません」との返答。

「なんとか、資料をお送りするので、なんとかなりませんか?」
というので、送ってもらうように依頼したら、ダンボール一箱分の
資料が到来した……すごい量でした(笑)

しかしながら、ザザッと目を通したのですが、
知りたいことは書いていなかったので、
「だめですね〜、なんとか……」と再度依頼したら、

「2時間だけなら……」ということで、広島の本社まで行きました。


で、取材を始めようと思ったら、先方の開発者の方から
「では、ロータリーエンジンのディメンジョンから説明を……」とのこと。

「ちょっと待ってください、2時間しか時間を戴いてないので、
そんな話を聞いてたら、あっという間に終わってしまいます。
ボクの方から質問を用意しているので、そちらから答えてくれませんか?」

そう要望したら、OKとのこと。

「じゃ、お聞きしたいんですが、13B REのデータを色々と見ていたんですが、
おかしいと思うところがあるんです。13B REは、2ベアリング支持ですが、
フロント側のクリアランスは常識内ですけど、リヤ側のメタルクリアランスが、
異様に広いんです……いろいろと考えてみたんですが、この理由は、
エキセントリックシャフトの振れがあるので、常識的なクリアランスではダメで、
この広すぎるクリラランス設定で逃げた……そう考えるしかないんですが、
どうでしょう?」

「…………」

「で、この質問に正直に答えていただければ、いろいろと質問があるんですが、
おざなりな回答をしていただくようなら、一般的な取材に切り替えます(笑)」

「…………そうですね。3ベアリング支持ではないので、リヤで逃しています」

「あ、ありがとうございます。じゃ、アペックスシールの……(以下続く)」

と、話が弾んでいったわけですが、向こうの方からも質問が。

「あの、藤本さん、CARBOY誌上では、600馬力近い出力になると、
ローターが陥没するという話を聞いたことがあるんですが、
それはどの部分ですか?」

「あ、ハイブーストで高出力の場合ですね、ココらへんですね」

「やっぱり、この部分に来ますか〜」

と、いろいろと話しをしているうちに、あっという間に2時間が経過。

「藤本さん、このあと、予定あります?」

「いえ、2時間と聞いているので……」

「お昼ごはんでもご一緒して、もう少し話しませんか?」

「こちらとしたら、願ったり叶ったりです」

という感じで、お昼を食べながら、その後、場所を移してと、
面白い取材をさせていただいた記憶があります。

 

その後、広報担当の方が、

「藤本さん、すみませんでした」というので、

「え、どういうことですか?」

「いえ、開発の人間が忙しいというのは本当なんですが、
通常の雑誌の取材の場合、開発担当からレクチャーをして、
それに対する質問がいくつかあって、その後写真撮影という
パターンが、当たり前というか、ほとんどなので……」

「あ、そうなんですか」

「だから、今回も、そういう取材かな?と思ってたんですが、
始めてでした、こんな取材……やっぱり、CARBOYさんは、
ちょっと違うんですね〜」

「おだてても、なんにも出ませんよ(笑)」

始まりはRE雨宮さん、そしてファニーレーシング、
藤田エンジニアリングさんや、ナイトスポーツさん、
いろんなアフターのチューナーさんと、
いろいろとREの記事を作ってきましたが、
メーカーの開発の方も、REエンジンが好きで、
他メーカーのレシプロに負けないために、
いろいろなチャレンジをしているということが、
非常に理解できた一日でありました。

 

おっと、思い出話をしている場合じゃありません。

1994年のCARBOY誌上でのRE特集です。

当時のREは、ローターハウジングやサイドハウジングといった
部品が、ひとつ1万円程度で入手できました。

だから、ハウジング類でいえば、5万円強で、ほとんど新品に
なるというわけです。ボーリング代も、シートカット代も、
面研代も……ぜ〜んぶ必要がないというのが、『RE』というエンジン。

プライベーターは、新品ハウジングをベースにして、
好きなようにポートを削ったり、埋めたりと、
モディファイができたわけです。

ま、いまでは倍以上の値段になっているので、
ちょっと話は違ってきていますが、
当時は、まさにプライベーターのために存在しているような
エンジンでした。メカチューンからターボ、そして、
パワー競争も激化していった時代の『RE』特集です。

よろしくお願いします。

 

 

 



■CARBOY企画特集 ■

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よろしかったら、お願いします。

 
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