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タジマモーターコーポレーションとは?

タジマモーターコーポレーション(静岡)



ダイヤモンドエンジニアリングに
行ったときの疑問を解消するため
静岡県磐田市に出かけてみた……



以前、ダイヤモンドエンジニアリングさんにお邪魔したときに、
そこにある設備や作業というのは、タジマモーターコーポレーションの
事業の一部……だとお聞きして、本家本元というか、開発の現場である
静岡磐田R&Dセンターさんにお邪魔させてもらった。

ここで、藤本自身もコングラかっておるのですが、
タジマモーターコーポレーションというのは、
一体全体なんじゃラホイ?ということを、ちょっと解説。

昔を知っているひとなら、モンスターインターナショナルと
いう名前はご承知だろう。ダートラドライバーであり、
パイクスピークチャレンジの第一人者である田嶋さんの拠点で、
様々な活動を行なっていた。

それが、現在ではタジマモーターコーポレーションとなり、
開発の本拠地を静岡に。その活動内容は多岐にわたる……あ、
これじゃわかりませんよね。以前から関係の深かった
自動車メーカーのSUZUKIさんとの連携を深めるなかで、
以前は、モータースポーツ部門等を統括していた、
「スズキスポーツ」と呼称されていた部門が、2011年に
「アイアールディ(IRD)」と社名変更され、
その所在地は磐田市竜洋稗原……つまり、タジマモーターコーポレーション
静岡磐田R&Dセンターと同一で、CEOが田嶋さんであります。

つまり、簡単に考えていただければ、タジマさんちのR&Dセンターが、
現在では「スズキスポーツ」が行っていた開発&製造とうを行なっていると
考えていただければいいだろう。
……もし間違っていたら、渡辺さん、ご指摘してくださいませ(笑)

とまれ、そういうことなのであります。
TOYOTAであればTRD。NISSANであればNISMO相当ですね。

そこに、ミラーレス一眼セットを持って、お邪魔をさせていただきました。

 

以前、渡辺さんからいろいろとお話を聞いていたときに、
より深く取材したいと思ったのは、以下の三点でした。


「ピストンのプロフィール」のことと、
「ポート形状の決定方法」、
「新設計のシンダースリーブ」に関しての件でした。

今回のタジマモーターコーポレーション訪問記その1は、
その導入編とでもいいましょうか、まず概要からでございます。

とりあえず、伺った倉庫街(ま、コレが全部タジマさんなんですが)の
奥まった部分で渡辺さんと、旧知の浅井さんと対面。
そこは、エンジン組付け室でありました。

藤本にとっては見慣れたというか、簡素な台の上にゴム張りの作業台、
ローラーで動く補助台が並ぶなかで、様々なエンジンが組まれていました。

そして、室内を重箱の隅をつつくように観察しておりますと、
扇風機と温度計……そうです。組み付け室の室温を一定にするための
補助装置であります。基本的にはエアコンが空調を受け持つのですが、
室内がまんべんなく同温度に保てるような仕組みです。

最近では、低温調理を始めとした、様々な調理方法が開発されていますが、
その厨房でも、部署や箇所によって最適な温度管理が施されるように
なりましたが、エンジン組付け室の温度管理も、重要なポイントです。

下に紹介する渡辺さんに対するインタビュービデオでも触れていますが、
20度という室温が、エンジンにとって最適なのかどうか?
人間にとってはいいでしょうが、アルミや鉄の塊に対して、
この温度設定が適切なのかどうか? 稼働時には100度以上になる
エンジンの組み付けをするのに……とまあ、素人の藤本は、
頭のなかが「?????」なわけであります。

 


このエンジン組付け室では、SUZUKI製のエンジンばかりではなく、
4G63等の三菱エンジンや、RB26DETT、SR20DET等のエンジンも
扱われています。「スズキスポーツ」時代には、こういうことは
なかったでしょうが、現在の状況では、このようなことも可能に
なったということでしょう。

ここで組まれるエンジンは、世界中にデリバリーされ、
レースに使用されているわけですが、それだけではなく、
レース用のエンジン以外にも、オリジナル提供のスポーツバージョン、
も供給され、今後は、もっともっと発展していく予定のようです。

基本的に、エンジンを組むと言っても、どんなエンジンを組めばいいのか?
これは、疑問ですよね。ハイカム、ハイコンプ、ポート研磨……とまあ、
やることは一緒ですが、その方向性というか、性能はどうなのか?
そのためには、テストという段階が必要になってくるわけですが、
ここで、登場するのが、エンジンベンチ。

公園にあるベンチのように、エンジンを置いておくためのものでは
ないので、念のため……そんなこと思うヒトはいないか(笑)

本来ならクルマに搭載されるエンジンを、搭載状態と同じようにセットして、
燃料を供給して、テストするベンチであります。ですんで、テストベンチとも
言われます。ま、メーカー直営のエンジンビルダーですから、
テストベンチがあるのは当然ですけど、藤本が知りたいのは、
その使い方、であります。

計測機というのは、モノを計測する機械ではあるのですが、
使うヒトによって千変万化するものであります。

ただ、テストベンチにセットして、レバーを回して、
「はい、何馬力出ました……」というんじゃ、
猿が何回やったかをメモしているようなもんです。

どんなふうに、テストベンチを使って、その結果を、
どのように判断するか? その巧拙によって、テストベンチという
機械は強力な味方にもなり、単なる箔付けに終わってしまうことも。

 

 

で、ふと目についたのが、エンジンのキャリーでした。

渡辺さんにうかがってみると……。
「ここにエンジンを固定して、そのままテストベンチに
ドッキングさせるように考えてみたんです。何基も同じエンジンを
テストするときに、できるだけスピーディにやれないか?と」

自在タイヤをセットしたオリジナルのエンジンキャリーは、
エンジンを移動させるだけではなく、そのまま、テストベンチと
ドッキングできるように工夫が凝らされていた。

 

 
ミッションとのドッキングができるように考えられているのは
当然なのだろうが、その『芯出し』ができるように、
キャリー下部に設けられた三角状のアタッチメントが、
左右にセットされている。これを、テストベンチ側の
受けに「ガチャコンッ!」と差し込めば、エンジンとミッションの
芯が出るように考慮されているというわけだ。

「フ〜〜ンッ!」

ちょっと唸ってしまいました。
渡辺さんというヒトは、こういうことを考えることが好きなヒトであります。
でも、たんなる工夫好きといういうわけではなくて、仕事を進めていくうえで、
効率的であることとともに『仕事をする本質』からブレていないことを、
いつも考えるタイプであります。

キャリーの底部には、勾配がつけられていて、
その最低ラインに設けられたホールから
オイル等のリキッドが、集められるようになっている。

 

勝手な想像ではありますが、同じエンジンを、何基も何基も、
テストベンチにセットして、様々なテストを行っている。
そういうときに、いちいちエンジンの設置に手間取っていたら、
そちらに時間をとられて、肝心の『しっかりと本質を把握しながら』
エンジンテストを行なうことが疎かになってしまう。
人間というのは、そういうもんです。

手を忙しく動かしていると、なにかをやっているつもりになるし、
ハタから見ると「あ、一生懸命仕事をしてるな」と見えるのだが、
その内容は、よくわからない……あ、余計なことでしたか(笑)

現在、タジマモーターコーポレーションには、4基のテストベンチがある。
それでも、スピーディなエンジン交換をしなくてはいけないというのは……
どれだけの回数、テストベンチが稼働しているか?ということの
想像がつくだろう。

 

 

エンジン組み付け室の隣には、ヘッド加工の作業場がある。
ポート加工、燃焼室加工等の手作業がここで行なうわけだが、
そこに設置されていたのは『集塵システム』。

アルミのヘッドを削った粉が、強力な風力でドンドンと
吸い込まれていってしまう……そんなもん、あとでまとめて
お掃除すればいいじゃないか。素人というのものは、
ついつい、そういうことを思いがちであります。
しかしながら、エンジン加工を職業とするヒトたちにとっては、
こういうことが……、……、……、ンッ?

ちょっと待ってくださいな。

いま、思い当たりました。

渡辺さんの話を聞き、タジマモーターコーポレーションにおじゃまして、
いろんなものを見ているうちに、藤本のなかに、ひとつの『違和感』が
生じていたんですが、その正体に、いま、この原稿を書きながら、
気がついてしまいました。

そうです。これまで見てきたことというのは、
CARBOYでチューニングショップを『取材』しながら、
見飽きるほど見てきた光景であるんです。
でも、それが、整然とした作業スピースのなかで、
大量に、作業効率が考慮された作業場で行なわれている。

そういう光景は、見たことがないことに気がつきました。

以前、日産工機にお邪魔したときは、そう思いませんでした。
NISMOでも、そうは思いませんでした。

でも、ここでは、そう感じました。

純粋にレーシングエンジンだけを扱っている、とか。
レーシングカーだけを制作している、とか。

そういう場所では、こういうことはなかったわけです。

世界中にレーシングエンジンをデリバリーし、
国内のスポーツユーザーに、モディファイしたエンジンを
提供する。そういうことを、実際にやろうと思ったら、
大量のエンジンを制作し、それのポテンシャルを一定に保つという
ことを実現しなくてはなりません。

渡辺さんというヒトは、そういうことを、本気でやろうとしているんだ。
そう思いました。だからこそ、ヘッドの削り粉の処理を考え、
エンジンキャリーを自作しているわけです。

こりゃ、すごい話でありますな〜(笑)

……というところで、タジマモーターコーポレーションさんの
取材話『その1』は終了します。

1回の取材で、何度も美味しい思いをするつもりはありませんが、
いろいろと藤本なりに感じたり、考えたりすることもありまして、
何度かにわけて紹介させていただこうと思っております。


下のフローベンチに関しての話とか……(笑)

では、乞うご期待!

 

☆タジマモーターコーポレーションでのお話その1

Flash Playerが入っていないブラウザー&Android端末の場合は動画を見ることができませんので、
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タジマモーターコーポレーション
静岡磐田R&Dセンター
〒438-0213 静岡県磐田市竜洋稗原665
磐田店専用直通TEL
TEL 0538-66-3325 TEL(IP) 050-3803-0224
FAX  0538-67-1255
http://www.monster-sport.com/shop/iwata/index.html

 

 


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よろしかったら、お願いします。


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