国産感覚のV8現車合わせSETTING!

AJITO/9RECORDS(埼玉)


ROMチューン時代の国産車同様
OBDU回路を使って現車合わせの
セッティングでV8フィーリングを充実させる!!

アメ車屋さんは、信用ならない……そう思っていた時期がある。
もうずいぶん昔のことだが、工場を覗いてみると、
とてもじゃないけど、一般整備以上のものができるとは思えない。
だのに、『ヘミヘッドFULLチューン』だとか、『ン百馬力!!』といった
言葉がドンドコと溢れ出してくる。

あの時代があったからこそ、日本のなかでのアメ車という存在が、
軽んじられ、図体ばかりでかくて、ガソリンをガバガバ消費し、
そのくせちっとも速くない。そういうイメージが定着してしまったのでは
ないかと、いまでも思っている。

ま、そういうパチもん的なアメ車屋さんは、いまではなかろうし、
旧車的な、レストア的な、雰囲気的なアメ車SHOPのなかでも、
しっかりとした技術力を持ち、キチンと顧客の信頼に応えている
お店も、多くなっているんだと思う。

しかしながら、それはあくまでもキャブ仕様の古いアメ車に限った
話ではないだろうか? アメリカ国内では、最新型のアメ車に、
装着するセッティングパーツ的なものや、コントローラーなどが、
それこそ星の数ほど存在するという。

その多くが、OBDU機構を利用して、エンジンのECUの内部を、
覗き込むことができたり、少しばかりならセッティング変更を
行うことができるものだという。

ヨーロッパ製のバイクにも、同様の機材が、多数販売されている。
基本的には同じように、リーンだとかリッチだとか、
何段階かの燃料セッティングを変更することのできる
マッピングスイッチが付属していて、それを使って、
自分のバイクのセッティングを変更することができる
……とまあ、謳い文句は、どれも似たようなもの。

しかしながら、世を挙げてのコンピュータ万能世代に、
そんな小手先の技が通用すると考えるほうがおかしいんじゃないか?
省エネ、排ガス規制、扱いやすさ……そういうものが
自動車にとって、最重要事項として開発されている新型車が、
そうそう簡単に、その『牙城』を崩させるはずがない。

ひねくれ者と言われそうだが、現実はそうだ。

国産車のエンジンチューンやセットアップを行っている
埼玉県のAJITOは、代表の長谷川さんやチーフメカの田嶋さんが、
SR20DETや13B等のエンジンをベースに、様々なアプローチを
重ねているお店であるのだが……もうひとつの顔がある。

9SECONDSという名称で、アメ車のみならず、ヨーロッパ車などを
対象としたチューニング&セットアップを行っている。

藤本としても、前々から、一度話を聞いてみたいと思っていたので、
先日取材を敢行した。




「はい、そうです。アメ車が多いんですが、BMWなどのドイツ車や、
イタリア車のセッティングをやっています。お客さんの要望を
聞きながら、最適なセッティングを……」

「長谷川さん、ちょっと待って。正味のところ、オタクが
やっていることと、一般のアメ車屋さんがやってることの
一番の違いって、なに?」

……長谷川さんのいいところでもあり、悪いところでもある
『熱心に説明するっ』という技を封じて、単刀直入に聞いてみた。

「はい、国産車と同じように、現車合わせでセッティングすることです!」

じっくりと、話を聞いてみると、AJITO&9SECONDSのように、
国産流に、しっかりとセットアップするアメ車屋さんというのは、
いまのところない(あったらゴメン)ようだ。

現車合わせという言葉をご存じない方のために、
少しばかり解説しておくと……ROM時代なら、ROMに書き込まれている
燃料&点火時期のMAPを書き直して、そのクルマに合わせて、
シャシーダイナモや実走を交えながら、セッティングするということ。

現代の新型車に採用されているのは、フラッシュメモリーなので、
ROM時代のように、下駄を履かせて、ROMを差し替える加工をする
必要もない。フラッシュメモリーは、読み書きのできるメモリーだ。

 

☆AJITO長谷川さんとのおしゃべり その1

Flash Playerが入っていないブラウザー&Android端末の場合は動画を見ることができませんので、
上のYoutubeボタンを クリックして見ていただけますよう、お願い致します。

しかしながら、ここでひとつ、大きな問題がある。
上のビデオでも話をしているのだが、
現代のアメ車に搭載されているV8エンジンは、
昔のものに比べて、圧縮比設定も高く(11以上)、
点火時期も非常に早めの設定がなされている。

そのおかげで、重い車体を動かすことができるわけだが、
その反面、エンジンへのダメージも負いやすい。
高い圧縮比&早い点火時期は、いい面ばかりではなく、
ノッキングを発生させ、エンジンブローにもつながる。

しかしながら、そのあたりは当然の事ながら、
厳重な対策が施されている。フィードバックという言葉を
ご存じの方も多いと思うが、エンジンがノッキングを始めたら、
非常に早い時期に対応することができるようになっている。
O2センサーを2重装備している車両もあるし、
微細な信号を検知して、ただちにECU(コンピュータ)に
信号を発信し、安全なところまで点火時期を遅らせる。

そして、このフィードバック領域は、ECUに内蔵されている
広範囲のマッピングゾーンに対して設定されているために、
ちょっとでも異常が発生しそうになれば、即座に対処する。

「この、フィードバック領域のデータを変更することは、
難しいのと同時に、危険度が増すわけですし、一般の方に
おすすめすることはできません。だから、うちのセットアップでも、
このフィードバック領域に関しては、ほとんど触っていません」

だったら、どこを触って、それがどういう効果を生むんだろう?

「はい、そうですよね。フィードバック領域は触りませんが、
スロットルマップと、パワーマップ(加速領域)は、国産車同様、
しっかりとマッピングしています」

純正のスロットルマップというのは、アクセル開度が、
本当に全開になっているときだけに、パワー領域に移行する設定。
パーシャルから80%領域くらいまでは、フィードバック領域の
マッピングを使用しているケースが多いという。

ちょっと待て、アクセルって、ワイヤー(あるいはリンケージ)で
作動してるんじゃないの? そう思ったあなた、アンタですよ。
最新のクルマは、多くがフライバイワイヤー方式で、作動していて、
アクセルペダルの開度を、電気信号に置き換えて、コンピュータに伝達しているんです。

いってみれば、アクセルワイヤーが、途中でちょん切れていて、
その間にモールス信号の凄いやつが挟まっていて……ま、そんな感じです(笑)

AJITO&9SECONDSが行なっているセッティングの内容を箇条書きにしてみよう。

●アクセル開度が少ない状態(7割や7割5分……乗り方や要望によって決定)でも、
パワーマップを利用できるようにオフセットさせる。

●パワーマップ領域の、燃料噴射量と点火時期制御のマッピングを変更する。

●シャシーダイナモ等を使用して、そのクルマにジェストフィットしたマッピングを行う。

である。

このときに使用するのは、ECUのフラッシュメモリーを読み書きできる
専用のソフト&パソコンだが、実際の車両にセットするのは、
冒頭でも紹介したOBDUのコントローラーである。


AJITO&9SECONDSで推奨しているのは、アメリカ製の
『DIABLOSPORT T1000』という製品。

背面にクルマのOBDUの端子と接続するカプラーがあり、
これでフラッシュメモリーのデータを『読み込む』ことができる。

イグニッションをONにすると、OBDUの端子と通信が
始まり、Welcom画面が始まる。

そして、OBDUを介して、様々な情報を得たり、
チェック機構を利用することができるようにな



そして、フラッシュメモリー内に保存されたデータを
セレクトすることができる。データ内容の変更はできない。





☆AJITO長谷川さんとのおしゃべり その2

このOBDUツールは、並行輸入品を購入することができるのだが、
AJITO&9SECONDSでは、自社を通して購入した製品だけを
対象にしている。ンッ? どういうこと??

並行輸入品は、AJITO&9SECONDSで販売しているものと、
品質は同等だが、価格が安い。でも、それを持ち込まれると
……商売はあがったりであります(笑)

ホントの話、実車合わせのセッティングの費用と、
コントローラーの利益、このふたつが、AJITO&9SECONDSの利益となる。
そこんところに、コントローラー持ち込みにされちゃ、
たまったもんじゃありません。

新型車をセッティングするためには、多くのテスター機材を
購入しなければいけないし、シャシーダイナモも、イタリア製の
高性能のタイプを導入している。

何台もこなした車種ならいいのだが、初めての車種や、数が少ない車種に
対応していこうと考えると、設備&人経費投資は高額になってくる。

ま、そこのところを考えてやってみてください。
少しでも費用を抑えたいヒトは、コントローラーに予めセットされた
データを使って、ちょっとばかりフィーリングが変化する範囲で、
楽しんでいただくのが、ベストな使い道でしょう。

もちろん、AJITO&9SECONDSでは、コンピュータのセットアップのみを
行なっているわけではない。取材当日も、入庫していたクルマには、
物々しいヘッダースや、マフラー等が装着されていた。

「でも、ひとつのパーツを変更して、それで何馬力アップというのは、
いまの車両では、非常に難しいですね。このクルマなんかは、別のお店で、
お客さんが選んで装着したものですが、シャシーダイナモ上で、
その効果が出ているか? となると……パワーアップどころか、
パワーダウンするケースが多いですね。いまのクルマと規制の範囲内で、
パーツ交換でパワーアップというのは簡単ではありません」


「そっか、ソレタコデュアルの時代とは違うもんな〜」

「ホントですね」

「あ、ところで、現車合わせのセッティングって、誰がやってるの?」

「……遠藤さんです」

「あ、あの遠藤さん?」

「はい、あの遠藤さんです」

「そっか〜、だったらええね〜」

「ボクも、そう思います」

「セッティングのときだけ依頼してるの?」

「いえ、うちの会社に入ってもらってます」

「ほんま〜?」

「昔からの知り合いなんですけど、最近の国産車で、
コンピュータをセッティングして、スピーティに走るという
クルマが、ほとんどなくなってきている現状で、
どういうターゲットを対象としようか?と話したときに、
これまで、ほとんどのところが手を付けていない外車、
アメ車やドイツ車、イタリア、イギリス車といったクルマを
国産チューンの常識と同じような視点でセッティングしていこう。
そういうことに決めたんです」

そんな話を、長谷川さんとしているときに、
ふらりと入ってきたのが、当の遠藤さんだった。

「あらっ、藤本さん、どうしたんですか?」

「遠藤さんこそ、久しぶりやね〜」

「そうですよね〜」

SHIFTの時代から、スティルウエイのときも、
何度も、遠藤さんの取材をさせてもらったことがある。

実直にコンピュータチューンに取り組んでいる
データ職人が、熱い説明型オーナーと手を組んで、
新しいセッティング領域を、広げようと……している。

 



●現車合わせSETTING(NA)……¥150,000
●現車合わせSETTING(TURBO/S/C)……¥170,000
●DIABLOSPORT T1000…… ¥98,000

 

AJITO/9RECORDS

〒347-0057埼玉県加須市愛宕2-4-36
TEL:0480-48-7157

 

 


↑できるだけ、いろんな方に見ていただきたいので、
よろしかったら、お願いします。


TOPへ戻る

↑イロイロな記事がありますので、
Contentsページをご覧になってくださいませ!