印象記憶術というのは
とんでもなく物事を
捻じ曲げながら刷り込まれていく

自動車雑誌というのは、バカの一つ覚えみたいに、
季節感を優先して特集というか、記事を制作することが多いです。
夏になればオーバーヒート(もう死後か?)特集、
冬がくればスノータイヤ特集。
春の新入生シーズンには初心者特集。
秋の行楽シーズンではドライブ特集。
……くそっくらえであります(笑)
たんに天の邪鬼的な感覚だけではなく、
その時々の旬なネタを特集したい……と考えていた
CARBOY編集部ではありますが、
いつもいつも、クリーンヒットを飛ばせるわけじゃありません。
それどころか、凡作、失敗作、トラウマ作と、
3割打線ならぬ2割5分間隔で仕事をしておりました。
で、梅雨だから洗車特集と、足りない頭をひねった企画でありましたが、
ひとりの人間の存在感といいますか、
そういうものに、サラッといいとこ取りをされてしまった記録であります。
渡辺くんが取材した『ミガキヒカル』という存在が、
洗車特集のはずが、研磨特集に取って代わられているという、
なんとも、本末転倒的な現象に陥ってしまいました。
でも、いいんです。
「予定は未定にて、決定にあらずんば云々……」という
お約束言葉にもありますように、
人生も仕事も恋愛も、思ったとおりにいくもんじゃ
あ〜りません。

しかしながら、いつも思うんですが、
写真というのは、想像以上に何事かを語ってしまいます。
『ミガキヒカル』氏が、ピカピカに磨いたカムカバーを
片手に持って、ニッコリと微笑んでいたら……。
あるいは、カムカバーに写った反射映像を使っていたら……。
「がんばって、磨いたんだね〜。ご苦労さん」
この一言でチャンチャンッ!でありましたでしょう。
しかしながら、『ミガキヒカル』氏は、ひげを剃りました。
ニキビ跡の残る肌に、こんな具合にカミソリを当てると、
けっこう血を見たんじゃないか?と、
他人に、余計な心配をかける一枚は、非常に、面白くて、
印象的でありました。
いやあ、誰かが言ってましたが、
仕事というのは、専門職人が行なえば、
『最短時間で最良の結果を生む』作業ですが、
素人が同じことをやった場合、
『どれだけ無駄な時間を掛け、その時間を楽しむか?』
ということが決定的な違いだと……思います。
そういう意味では、『ミガキヒカル』氏の
バカバカしいデモンストレーションは、
長く、多くのヒトの、脳裏に残りました!





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