CARBOY精神ってなんじゃらほい?
1991年頃

毎月、毎月、手を替え品を換え
CARBOYという、たかが改造雑誌が
ナニを言いたかったんだろう??

また、大きく出ました〜!
CB精神(スピリッツ)であります。
オマエは、新興宗教の教祖さまにでもなったつもりか?
と、言う声が聞こえてきそうなお題目であります。

これは、1991年に掲載されたもので、CARBOYが創刊してから
12年目の話。最初は、改造車を扱うということが、
タブー視されていた頃から、チューニングという言葉が生まれ、
全国的にチューニングブームが巻き起こっていき、
信じられないほどの部数が発行され、
ひとつの記事、ひとつの企画に、ものすごい反響が
あった時代のことであります。

それまで、暴走族と一括りにされていた種族が、
「オレたちは違うんだ、暴走族とは違う!」

だけど、それをうまく言葉にできない。

でも、パーツはドンドンと発売され続け、
エンジンパワーもうなぎ登りに上がっていく。
それまで、チューニングなんて見向きもしなかった層が、
儲かると知って、雪崩をうって参入し始め、
拝金主義のSHOPがドンドンと増加し、
泣きを見る読者が続発し……そんな時代だった。

雑誌という存在が、警鐘を鳴らしても、
熱に浮かされた人種は、どこ吹く風。

そんな時代に、なんとか、正気を保ってほしい、
もともとの根本原則というか、衝動の根本はなんだったのか?

そういうことを、ちょっとでも気にかけてもらいたかったというのが
CARBOYの、藤本の本音でしたね。でも、こういうのは、
書いている本人には、どういう効果を生むのか?
どんな感じで受け止められるのか?
まったくわからない状態で書いているもんで、
不安感というか、そういうものはありましたね。
でも、だからといって、なにも言わないままでいいのか?
泣いている人間や、チューニングに嫌気がさした人間が、
現実に増大しているというのに……ま、見切り発車と言うか、
見る前に跳べっ!でありましたね。

ま、当時の社会状況を思い出しながら、
いまとなっては暇つぶしの娯楽原稿として楽しんでいただければ
…………そう思ってアップしました。

 

©八重洲出版 

峠仕様のドリドリKP61を覚えているだろうか?
10万円で貿ってきたポンコツマシンをベースにして
ワインディングロードを攻めるSPLマシンだった。
新車を買ったり、ターボチューンするには貯金が少な過ぎ、
だからといって、ありきたりのノーマルで満足するのは
CB野郎としてのプライドが許さない……だから
チューン費用とベースマシン代金は格安で、
とびっきりのチューニングマシンを自分のものにしたいら
そんなムシのいい要求がもとになってっくり上げたのだ。
5年も前のハナシだ。

ポンコツ寸前のKP61が大変身を遂げて
当時のCB読者の間で一大ブームを巻き起こしたのだ。
コンセプトだけなら、そんな人気にはならなかったと思う。
タダの峠仕機じゃなく、CBの気持ちが精一杯詰まってた。
だからこのマシンは、拍手喝采で迎えられたのだ。
今年はCARBOYが倉刑してから、12年目になる。

そのころ20歳だったひとは、32歳のお父さんになっている。
チューニンク界の状況も随分と様変わりを遂げた。
ベースマシンの性能が飛躍的に向上し、パワーも上がった。
しかし、少しずつだけどCB精神も風化し始めた。
オレたちCB編集部はそう感じているのだ。

ちょっぴりさみしいハナシ、である。
だけど、昔はよかったと繰りゴトを言ってるだけじゃ
なんにも改善されることはないはずだ。
なりふりかまっていたら、こんなことは言えない。
雑誌づくりのプロフェッショナルがこんなことを誌面に
戴っけるのは、プロ失格と言われてもしょうがないと思う。

しかし、プロなんざ、こつちから願い下げである。
ノシつけて、フルブーストでポーンとお返ししましょう。

そんなこんなの精神の葛藤があって
右のKP61の写真を巻頭タイトルに持ってきました。

年季の入ったつまらないヤツに限って
あ〜でもない、こ〜でもない、それ絶対やっちゃダメと
ノーガキばっかりたれるものと、世間じゃ決まってます。

だけど、ノーガキばっか聞かされるほうは
たまったもんじゃ……ないと思う。
合言葉は「ワクワク」であり、「ドキドキ」である。
10万円て買ったKP61SPLに乗るときは
正直言ってドキドキしたし、4K改5Kのパワーにも
新鮮な感動を覚えたものだ。10万円だって感動できる。

自分の雑誌の名前に「精神」なんぞという言葉を付けて
CBスピリッツだなんて大声て叫ぶなんて
テメエは恥ってものを知ってんのか?
そう言われることは十分承知の介……であります。

いま、ワクワクできることを採さなくちゃ
いま、自分で満足できるチューンをしなくちゃ
いま、新鮮な感動を追い求めなくちゃ
……ボクたちは、たんなるオジさんになってしまう。

 

 

 


「危機」なのだ。不意にそんな感じがした。
チューニングプームの真っ最中にそう考えた。
ボクたちの雑誌、CARBOYは順調に
発行部数を伸ばしている。
毎月発行日になると、全国の本屋さんの店頭に
うず高く積まれたCBが、見る見るうちに姿を消してゆく。

チューニングパーツはといえば、日に日に
そのバリエーションを増やしてゆく。こ
いつを組み合わせてつくるチューニングカーは、
とてつもないほどのパワーを絞り出す。
トルクバンドが狭すぎると文句を言えば、
チューニングショップがセッティングを煮詰め、
ノーマルと遜色ないほどのフィーリングを
自分のものにすることも可能だ。

ひと昔前のチューニング界と比較すれば、
本当に変わってきた……というか、
ワガママがとおるようになってきた、
と言ってもいいだろう。

だから、何を文句言うことがあるのか?
と聞かれると、ちょっと困ってしまう。
だけど……みんな、本当に満足しているのだろうか?
フッとそう思ったのだ。新しいクルマが発売されれば、
マフラー交換してブーストアップ、その次はコンピュータチューンで、
お金があればフルタービン交換……。

それこそ判で押したようなチューニングメニューは、
確かに効率的だし、ハッキリとチューニングの効果を
体験することが可能だ。だけど、だけど、
だけど……なのだ。

ポクたちが求めているチューニングってやつは、
本当にこういうモノなんだろうか?
バッカヤロ〜、テメーらは黙ってオレたちが
楽しめるチューニング雑誌をつくってりゃいいんだよ。
余計なお節介するヒマがありゃ、タービンの
組み合わせ一覧表や、足まわりの互換性特集を
なーんにも考えずにやってりゃいいんだ!

そういうふうに言われりや「ハイそれま〜でよ!」であります。
なんといっても一番の問題は、

「ワクワクすることが少なくなった」

ことだと思う。当然、毎日チューニングカーの
仕事をしていれば、飽きたり、感動が薄れたりするものだと思う。
しかし、そういうこととはちょっと、そう、ちょっとばかり違うのだ。

もうすこし具体的に言うなら……パワーが出すぎているのだ。
そして、オートなんとかに行って「いっちょアガリ!」と
いうような大量生産的なチューニングが多すぎるのだ。

誰でも彼でも明日から走り屋になれるし、チューンドカーの
オーナーになれてしまうのだ。

でも-----そういうものじゃないと思う。
プライベートでコツコツとチューニングをやってきたひとや、
一台のマシンを長い時間をかけてゆっくりと
仕上げてきたひとなら、いまのCARBOYが何を言おうとしているのか、
わかってもらえるはずだ……と信じている。

チューニングパーツが多いのはいいことだと思う。
パワーが出るのもいいことだ。墨角速が上がるのも、
チューニングカーでイージードライブが実現できることも
いいことに違いない……そう思う。

しかし、それだけじゃないはずなのだ。勘違いしないでほしい
昔はよかったと言ってるわけじゃないのだ。
昔は昔、いまはいま。昔よりもノーマルカ!のポテンシャルが
上がっているだけ、状況としては恵まれて……ウ〜ン、
恵まれすぎているのかもしれない。

だから文句が出てくるのかも……しれない。
たかが雑誌が、それも12年やそこいらの歴史しかない
チューニング雑誌が、いっちょ前の口きくんじゃねえ
と叱られそうな気もするけど、

CARBOYってそれほど頭イイわけじゃないから、
気が付いたら、そこで反省して、もっとイイ方向を
向いていきたい……すぐにそう思ってしまうのだ。

彼女に振られてシュン太郎になってたかと思えば、
すぐに次の彼女に夢中になっている。

ま、いってみりゃそういうものなんだ。
いま、何がいけないのか、どこが問題なのか?
まだまだハツキリしない部分が多いことは事実だ。
だけど、なんとなくヤパイなと感じていることも本当なのだ。

これから、少しずつ時間をかけて、チューニングのことを
見つめ直していきたい……CARBOYはそう思っている。
バカ正直すぎてはいけないというのは十分承知している。
でも……やっぱりクルマが好きだからね。

 

 

 

何を隠そう……というほどの秘密でもないのだが,
なんとなく意味深なほうが面白いから言ってみただけなんだが、
このページに使用した写真は,某CB験者が6年くらい前に
プヲイベートチューニンクレポートに投稿してくれたものだ。
CARBOYという文字ののなかのフィルムは無残にもヒピ割れ
ステッカーの粘着力は経年変化で異様に強力になっている。
はがそうったってはがれないほど年季が入っているワケだ。
いまではこのスタイルのCBステッカーは廃盤になっていて
手に入れることは難しいが、このステッカーにこだわるのは、
これが入手困難だからという理由だけではないのだ。
自分て組んだエンジン、自分で悩んだバルタイ,オイルまみれで
つくり上げたクルマ、そんなもののシンポルがこのステッカーなのだ。
別にCBが偉いわけでもなんでもない。たまたま彼のチューン史が
CBの発売時期と重なっていただけの……ハナシ、である。
だけどこの話を聞いたとき,CBスタッフ一同は、非常に嬉しかった。
CBを読んでくれるキミたちのうちに、こんな人種がいてくれた。
もちろん、こういうCBスピリッツを持っていてくれるのは,
彼だけに眠ったことではないだろうと思う。
チュー二ングが好きで,オイルまみれの工具が好きで……
宮沢賢治先生じゃないけど、そういうひとにオレたちはなりたい!

 

 

 

 

 

 

 

 



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