25年以上前のFRがクロスミッションで8秒台!?
1989年頃

四半世紀前のゼロヨンBATTLE
現在と状況も条件も違うなかで
FRターボが8秒台を狙うという凄み!!

先日、神奈川のアウトストラーダにお邪魔した。
そこで、佐々木さんといろいろと話しをしている最中に、
昔のCARBOYゼロヨンの話になった。

佐々木さんは、以前柿本レーシングで働いていたことがあるのだが、
当時を振り返って……「でも、あの時代に、バーンナウトもなしに、
240Zクロスで8秒台というのは、いま考えてみると、凄いことでしたね」

ハッ!とした。
そうでした。そうでしたよ。

いまの感覚で考えるから、FRのターボが8秒台と言っても、
なんとなく納得してしまうのだが、当時、FISCOで
CARBOYゼロヨンを行なっていたときは、
バーンアウトなし、ドライホップなし、VHTなしのないないづくし。

 

1985年からFISCOに舞台を移したCARBOYゼロヨンだが、
TURBOクラスとNAクラスに分かれたクラス編成で、
ターボクラスはグイグイとタイムアップを図っていった。
10秒台から9秒台へ突入、そして、コツコツとタイムを縮め続け、
9秒前半の戦いへと足を踏み入れていった。


下の記事は、1989年のCARBOYゼロヨンで、
ランナップスポーツ柿本Zが9秒283というタイムをマークして
優勝したときのものである。
そのときに掲載されたデータを参照してみよう。

■ランナップスポーツ柿本 DATA
860kg L28改3.1L 圧縮比8.5 マーレピストン 
柿本コンロッド、カム、バルブ、AMEダイレクトフロー 
IHIタービン×2 1.5〜1.7kg/cm2
ARCインタークーラー 4.875デフ 
ニッサンオプションクロス グッドイヤードラッグ30.0-12.5×15

800馬力と言われた柿本改のL28改3.1Lだが、
驚くべきことは、そのなかに記載されている
「ニッサンオプションクロス」という文字。
これは、俗に240Zクロスと言われているミッションで、
ギヤ比がクロスされているタイプだが……普通のミッションである。

訂正:テスタロッサの石川さんから指摘された。
「藤本さん、日産オプションクロスと240Zクロスは違います」
あれっ、そうでしたっけ? と思いながら、電話をした。
「そうですよ。オプションクロスは、日産の大森の……」
あ、そうでしたっ! 話の途中で、記憶が蘇ってきました。
大森スポーツコーナーというのは、NISMOの前身で、
レーシングパーツの供給&販売を行なっていたところ。
たしか、オレンジとブラックの2色印刷だったカタログが
発行されていて、日産のスポーツコーナーで購入することが
できた……そうです、そうです。たしか、S30Zに使うなら、
71B(正確にはF5C71B)で、5速が直結になっている
クロスミッションでした。
240Zクロスは、市販の240Z用のミッションで、
4速が直結で、5速はオーバードライブ。
一般の補修パーツ扱いで、ギヤを買って組み替えればOKというタイプ。
たしか、71Cというタイプが後年発売されて、
そいつは4速が直結だった……当時の記憶が「大森」という
キーワードで、一瞬にして蘇りました。
そうでした。佐々木さんと話していたときに「240Zクロス」という
言葉が出てきたので、混同していました。すみません。
柿本Zに、どちらが組み合わされていたのか?は、
柿本さんに、また聞いてみようと思いますが、
わざわざデータシートに「オプションクロス」と
記入しているんですから、71Bだったんでしょ。
というところで、資料を探しまくってみたら、
当時のギヤ比を見つけましたので、参考までに……。

 

F5C71B
1速
2速
3速
4速
5速
後退
OPTION 1
2.818
1.973
1.470
1.192
1.000
3.382
OPTION 2
2.348
1.601
1.296
1.138
1.000
3.382
OPTION 3
2.192
1.601
1.470
1.138
1.000
3.382
OPTION 4
3.321
2.270
1.601
1.240
1.000
3.382
S30前期
2.957
1.858
1.311
1.000
0.852
3.382
240Z
2.906
1.902
1.308
1.000
0.864
3.382
S30後期
3.321
2.077
1.308
1.000
0.864
3.382
こういうところで、間違った情報を出してしまうと、
それを見たヒトの威力で、ヤフオクで「240Zクロス」の
価格が急上昇する……なんてことも、なきにしもあらずですんで、
訂正させていただきます。

ただ、この項で強調したかったのは、当時のミッションは、
普通のクロスミッションであって、ドラッグ用のATや、
VゲートでもIゲートでも、エアシフターでもなかった……。
そういうことなんです。

 

そうです。マニュアルの普通のクロスミッションなんです。

このミッションを使って、
バーンアウトなし、ドライホップなし、VHTなしの状況で、
9秒283……です。

 

参考のため、このときのCARBOYゼロヨン上位タイムを
掲載しておきたいと思う。

 


そして、次年度となる1990年には8秒台突入の時代となったが、
あいにく、その年のゼロヨンは雨続き。
タイムアップは1991年度に持ち越される。

1991年度といえば、2017年の現在から考えれば、26年前。
ま、四半世紀前のこと……となる。

それまで、9秒の壁というものが頑として存在していたのが、
ウソのように、CARBOYゼロヨンにエントリーしたマシン群は、
雪崩をうって、8秒台に突入を果たす。

その年のCARBOYゼロヨンを制したのは、
河西モータースサニーからステップアップした
河西リバーウエストJR130。

つまり、ピアッツァである。
完全なプライベーターでもある河西モータースが、
満を持して作り上げたNEWマシンが、8秒770という
タイムで、優勝を集中にした。

 


国産自作パイプフレームが、成熟し、それまでの9秒という
『壁』を乗り越えた瞬間だった。

このとき、リバーウエストJR130が搭載していたミッションは、
ATI製のAT。ストールさせるまでの時間がかかり、
非常に多くのチューナーを悩ませた代物だった。

■リバーウエストJR130 DATA
855kg L28改3.1L 750馬力 圧縮比9 河西80度カム
46.5/38φバルブ OCR50φ L20改コンロッド 
ベラスコフルカウンタークランク IHIタービン 
ATIフライホイール グッドイヤー

当時のことを、河西モータースの和田さんに聞いたところ、


「本当のことを言うと、あのリバーウエストJR130で、
何年かは戦えると思ってました。サニーでは到達できなかった
領域に、あのクルマならいける……そして、それを
煮詰めていけば……そう思ってたんですけどね〜(笑)」

 


だが、このとき参戦していたのは、エスコート300ZX、
そしてHKSのスープラだった。
どちらも、アメリカ製のフルパイプシャシーを使った
本場のドラッグマシン。この2台の参入をターニングポイントとして、
CARBOYゼロヨンは、新たな時代を迎えることとなるが、
そのあたりは、また別の項で……。

このとき、ランナップスポーツ柿本Zのタイムは、
9秒078。100分の8病弱のところで、8秒台突入はならなかった。
しかしながら、このときのミッションも、
240Zクロスのまま……。RRCでは8秒台に突入することになる
ランナップスポーツ柿本Zだが、1991年というターニングポイントと
なった年に、ストックボディ改の一般クロスミッション仕様という
装備で、ここまでのタイムに到達したということは、
覚えておいてもいいと思った。

一見華やかなタイムBATTLEの裏側を、マシンデータと、
使用機材を比較検討することで、新たな一面が見えてくる。

当時のCARBOYゼロヨンは、凄かった。
担当記者である藤本は、あらためて、そう感じました。

 

 

 



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よろしかったら、お願いします。


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