初公開! ワークスSPL ブリッジポート
ファニーレーシング(岡山)

CARBOY1983年11月に掲載された、

ファニーレーシングの究極のブリッジポート


「雨宮の御用雑誌に用はない!」と言われてから、
ファニーレーシングとの付き合いが始まった(笑)

そして、「ヨッシャ、今後、CARBOYには、全面協力する!」と
言ってもらったあとの花土さんは、本当に全面協力体制になってくれた。

今回紹介するのは、ブリッジポートの公開記事である。

ファニーレーシングは、当時「片山マツダof 岡山」となっていて、
兵庫の片山マツダ(東のマツダスピード、西の片山マツダと言われた)の
岡山支部だった。だから、マツダのスポーツキット等のパーツが、
豊富に入り、レース用のエンジンは、ほとんどスポーツキットを使用していた。

倉庫にある棚には、マツダのスポーツキットのサイドハウジングや
ローター、アペックスシール等のパーツが、それこそ山積みだった。

一度、「CARBOY読者にエンジンプレゼントしようか?」という話が
花土さんから持ちかけられたことがあった。
「いや、それは、いくらなんでも悪いですよ〜」と言うと、

「ノーマルのハウジング使えば、タダみたいなもんだから……」と。

普段は、ほとんど捨ててしまっているから、再利用すれば、
ポート加工と組む手間だけだから、という花土さんの言葉に甘えて、
実際に、13Bサイドポート加工エンジンを、プレゼント用に作ってもらった。

そのときのこと。
「ノーマルのハウジングは、ほとんど削ったことがないけど、
こんなに柔らかいんだ(笑)」と言っていたことが印象的だった。

そして、ポート加工をしているときの切り粉が、
ノーマルハウジングの場合は大きく、スポーツキットの方は細かい
という違いを発見したことも、記憶にある。

「ザクザク削れるな〜、こんなに簡単に
削れるんだったら、ポート加工も楽でいいわ」

そんな花土さんは、その外観、風貌、喋り方などで、
誤解(正解?)されることも多かったが、
エンジンに関して、エキゾーストシステムに関して、
本当に真剣に取り組んでいた。

その結果、製作されたペリフェラルポートの排気音は、
本当に高周波で、キレイな(といっても爆音だが)音色を奏でたし、
ストリート用のブリッジポートは、アイドリング時に、
5回ほど横揺れした後、1度だけ縦揺れするという、
『規則正しいアイドリング』をしていた。

そんなファニーレーシングが加工したブリッジポートが、
今回紹介するもの。1983年というから、いまから34年前のポートである。
ただし、REのメカチューンというのが、それ以降は進化していないという
ことを考え合わせると、いまでも究極のブリッジポートだと
言うことができるんじゃないか?と思う。

当時は、写真の技術もまだまだで、しっかりとポート形状を
撮影できていない部分もあるし、バックに青い背景を敷いて
しまっているという稚拙さもあるのだが、
REのサイドハウジングのことを知っているひとなら、
ここまで削り込まれたブリッジポートに感嘆していただけるはず。

そして、もうひとつ注目すべきなのは、ブリッジポートを設けて、
オーバーラップを大きくするという方向にばかり行かずに、
吸入気の充填効率を考えて加工されているというところだろう。

オーバーラップだけが大きくても、エンジンというやつは、
トルク&パワーアップしてくれない。これは、レシプロエンジンも
同様なことが言えるのだが、オーバラップやリフト量だけが
凄いカムシャフトを組んだとしても、それだけでOKというわけではない。

要は、実際の圧縮作業が、どのように行われるか?ということ。

以前、TuningPOWERS!というショーのなかで、
いろいろな講義をしてもらっていたのだが、
そこで『有効圧縮』についての話を、
愛知のイーグルの加藤さんと、東京のライジングの
伊藤さんに、してもらったことがある。

吸入した混合気を、どのように有効に圧縮するか?
静的な圧縮比の設定というのは、誰でもできる。
しかしながら、動的な圧縮圧力をコントロールするということは、
非常に繊細でシビアなものになってくる。

同様に、カムやバルブという弁機構を持たないREで、
吸入気の充填効率をいかに稼ぎ出すか?ということは、
ポートの内部形状や口径、燃焼室(REではローターとハウジングの
隙間)の形状や容積等が、複雑に絡み合ってくる。

ま、ちょっと小むづかしいことを言ってしまいましたが、
REの場合、いつも言われがちなのが、オーバーラップがどうとか、
最高回転数がどうとか、そういうことが重要視されるのだが、
本当に大切なのは、良い圧縮と良い火花なのだ。


そして、下の文中にもあるように
『リミットは9500回転に抑える』というくだりは、
非常に大きな意味を持っている。
いくら回転が上がろうが、それほどパワーには結びつかない。

有効なトルクバンドを外れた状態で、
いくらエンジンが回ろうが、速さには直結しない。
このことが、けっこう誤解されている。

現在のL型が1万回転以上回るとか、
REで1万回転は楽勝だとか……回ることは回るのだ。


だが、そこに有効なトルクが発生しているのか?
そして耐久性がどうなのか?ということが、
実際問題としては重要なのだということを、
わかっていただきたいと思う。

そういうことを、頭の片隅においていただいて、
下記のポートをじっくりと見てみていただきたいと思う。

 

※以下、当時のまま掲載させていただきますので※
※価格、仕様等は変更されている可能性が大です※
                                                          ©八重洲出版 

限りなくベリに近い限界性能

これがブリッジポートの極限なのだ。
よく目を凝らしてみると、ウオータージャケットギリギリまで
削り込まれたブリッジポートは、ふたつのポートから
構成されていることがわかる。

このサイドハウジングに合わせる
ローターハウジングは、当然のことながら、
INポート付近をそうとう削り込まなければいけない。

特殊接着剤でウオータージャケットを埋め、
エアリューターでグングン削る。

組み付け時には、Oリングをカットし、スムーズなガスの
吸入が可能になるという寸法だ。

メインポート、ブリッジポートは、
共に上下方向には大幅に拡大はしない。
あまり大きなオーバーラップは
中速でのトルク不足を招く。

排気ポートの処理も同様だ。
ローターハウジングは、ノーマル加工でもOK。
ペリのときみたいに、排気ポートの上部を削ることはしない。

上の写真は、ブリッジポートを二分割せず、
高速での充填効率を重視した形状になっている。
加工の手間からすれば、こちらのほうが
はるかに簡単だろう。

さて、この芸術的なブリッジポートは、ストリートでの
使用もOKだ。アクセル操作さえ誤らなければ、
『普通』に走ることができる。

しかしながら、ひとたびアクセルをグッと踏み込めば、
4000回転あたりからトルクが盛り上がってくる。

5000、6000回転と踏んでいけば、
「ドーンッ!」という加速Gにビックリすることになるだろう。

リミットは9500回転に抑えるのがいいだろう。
際限なく回るエンジンであっても、アペックスシールの
耐久性に問題が残るのが、その理由だ。

ただ、唯一のネックは、エキゾーストシステムを
選ばなければいけないこと。

オーバーラップの大きさで稼ぐパワーではなく、
充填効率でパワーを出しているポートなので、
当然のことながら、エキゾーストシステムは、
太いマフラー、あるいはメガホンが要求される

通常のマフラーでは、6oブリッジと大差ない性能しか
期待できないと、花土さんは言う。

このスーパーブリッジポートが記録する
最大出力は285馬力。ウエーバー48φにM/J230番、
A/J120番というセッティングだ。

本邦初公開のスペシャルブリッジポート……
じっくりと味わってほしい。





↑できるだけ、いろんな方に見ていただきたいので、
よろしかったら、お願いします。


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