2024年12月に、伊藤くんが亡くなりました。
CARBOYという雑誌にとっても、JDDA関係者にとっては、
非常にショッキングな出来事でした。
この項では、伊藤英一くんの記録をしておきたいと思います。

RISINGサニーを意識し始めたのは、CARBOYゼロヨンの後期頃。
それまでの創成期チューナーに加えて、新しい世代が登場し始めた。
そんな感覚を覚えていた頃でした。
そのクルマを作ったのが、RISINGガレージであり、
3人の仲間が協力して作り上げたのがRISIGサニー。

最初に個別取材に行ったのは、もうずいぶんと昔のことなので、
あまり覚えていないのですが、強烈に印象に残っていることが……。
伊藤くんがRB26DETT用のインダクションシステムを作ったとのことで、
取材に行きました。薄いチタンプレートを組み合わせて、
チャンバー形状で制作されたもので、非常に興味深く、その製法や
形状、自由度、そんなものが、記事対象となりました。
しかしながら、取材が終わって帰る頃、伊藤くんが話しかけてきました。
「このシステム、藤本さんなら、いくらくらいだったら買います?」
「買わないっ!」
「エッ?」
「こんな、溶接跡がきれいじゃないものに、金を払いたくない」
「…………」
無言の伊藤くんを残して、帰りました。
その後、2ヶ月位たった頃でしょうか。
伊藤くんから連絡がありました。
「こないだのシステムですけど、ちょっと改良したんで、
見に来てくれませんか?」
で、RISINGガレージを訪れました。
そこで見せられたのは、以前のシステムとは別物のように、
キレイな溶接されたものでした。
「どうしたん、これ? 凄いキレイ」
「でしょ。こないだ、藤本さんにボロクソ言われて、
自分で作ることもできないのに、好き放題言いやがって、
見てろ〜っ!と、悔しさ120%で作り方の根本から考え直したんです」
溶接の際に、絶対にぶれないように、陶芸用の電動ろくろを購入し、
溶接する腕がぶれないように、鉄パイプで固定する機構を追加し、
溶接機を移動させるのではなく、溶接対象を回転させて溶接作業を行う。
これが、RISINGだと思った。伊藤英一だと思った。
実際の作業は、当時仲間であったウッチー君がやったのだが、
RISINGという存在の根本原則が垣間見れた瞬間だった。
その後、伊藤くんは、RB26DETT用の可変バルブタイミング機構である
『RVCS』というシステムや、なんちゃってハイデッキを使ったRB26DETT改2.9L仕様、
独自のスロットルインジェクション機構、オリジナルH断面コンロッド……と、
RISINGを他のショップとは異なったものにしていく活動を続けていく。
ま、そのあたりは、これまで、いろいろな項で紹介しているので、
そちらを参考にしていただきたいと思う。

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