エンジンばらして写真を撮ったら
……なんか、いいことあるのか？
そんな疑問を持ちつつも必死に撮影!?

CARBOYの編集長が、初代の橋本さんから、
2代目の池田さんに変わったときに、
八重洲出版の社員であった森岡さんも、同時に移動になった。

まじめな人で、電話を取ると、必ずフルネームを名乗る。

「はい、八重洲出版CARBOY編集部の森岡英也と申しますっ！」

電話をとっても「はい……」としか言わない藤本とは大違い。

山の生活が好きで、現在は八ヶ岳山麓に移住しているが、
そんな森岡さんが、心魂を傾けて（？）取り組んだのが、
スポーツカーやレーシングマシンのエンジン全分解。

毎月1台のマシンをターゲットにして、バカでかいパンチカーペットを
購入して、エンジンパーツをひとつずつ、本当に時間をかけて並べる。

こういう写真というのは、とにかく『根気』が勝負であります。

そして、ただキレイに並べればいいというものではなく、
カメラレンズという歪んだものを仲介にしているおかげで、
ファインダーから覗いたものと、実際の並べ具合は異なる。

だから、いちいちファインダーを確認しながら、
水平位置、垂直方向を修正しながら撮影し、
最終的に、1枚の写真になったときに、整然と並んでいる
……そういうことにしないといけないわけです。

このあたりの撮影は、藤本も、数知れずやっているのですが、
やっぱりテキトウな性格なもんで、「ま、これくらいで勘弁したるか〜」と
妥協の妥協点でOKを出しがちです（笑）

しかしながら、さすがは、電話を取ったら社名から所属部署、
氏名年齢性別まで……あ、それはありませんが……一気に
申告するほどの森岡さんですから、妥協はしません。

カメラマンは……泣いただろうな〜（笑）

バルブは入れてもいいけど、リテーナーだとか、コッターだとか、
ピストンとピンはいいけど、クリップなんか……いらねえんじゃねえの？
口には出さずに、心のなかで、何度も繰り返したはず。

ま、そんなこんなで約1年間にわたって連載されたエンジン分解企画。
とりあえず、最初の3回分くらい入れておきます。
リクエストがあれば、また、探しますが……。

お、前2回とは異なって、このときは真上から撮ってますね。

ポルシェということで、気合が入ったんでしょうか？

それまでが俯瞰の写真だったのに、大きな脚立の上に立つかして
ほぼ真上から……これなら、並べるのが楽……と思いきや、
レンズ周辺の歪があるので、微妙に歪んできますね〜。

けっこう難しいもんです。

出来上がった写真を見れば、「フムフム、そうなってんのね」と
思うだけですが、どのパーツをどこに？ コイツはこっちに、
でも、エンジン内部の上下関係から言うと、こっちが上にならなきゃ……。

ま、現場ではそんなことばかり言いながら仕事をしております。
森岡さんから漏れ聞いたところでは、「いや〜、こないだの撮影は、
ホントに手間がかかって、終わったら深夜だったよ〜」

ふと考えてみたら、撮影するカメラマンのことばかり考えていたが、
相手先、取材依頼先の担当者さんも、当然のことながら、
撮影終了まで付き合ってくれるわけですよね〜。

森岡さん以外の人間の共通思念として、
「は・や・く・お・わ・っ・て・く・だ・さ・い・・・」という
雰囲気が充満していたかも？と考えると、おかしいやら、悲しいやら（笑）

とんでもなく、マイペースではありますが、
まったく憎めないという森岡さんは、
六田登さんの名作マンガ「F」に登場する、森岡のモデルです。

ウィキペディアを丸写しさせてもらうと……

森岡（もりおか）
声 - 徳弘夏生
森岡モーターズの代表でありメカニック。タモツの友人であり、
軍馬とタモツが上京後のFJ参戦を「MORIOKA Racing Team」
として全面的にサポート。出会った日に「目つきがいいね!彼…」と
軍馬の可能性を見抜く一場面も。FJ時代も軍馬は森岡モーターズの
仕事をいいかげんながらも手伝うが、F1引退後は再び森岡のもとに身を寄せる。

というひとでありました。

その縁で、六田登さんは、CARBOYにも寄稿していただいたことがあります。

その他にも、森岡人脈（というよりも、好人物つながり？）のおかげで、
いろいろなかたが、CARBOYに関わってくれ、内容を充実させてくれました。
森岡英也……イイヒトでした、って、まだまだお元気ですよ（笑）