故・HKS 長谷川社長 大激怒!
1999年頃

HKS Fcon Vproを万人が活用するための
海賊SOFT選手権を開催したら……


 過日、HKS創設者の長谷川社長が、お亡くなりになったという報を聞いて、心の底からびっくりしました。まだまだ……そう思う気持ちでいっぱいです。
 HKSのHは、長谷川のH、Kはシグマの加藤さんのK、Sは存じ上げないのですが、3人が合力して、クルマのモディファイに取り組んでいく。その決意を込めて、HKSと命名したと聞いております。その後、HKSは、長谷川社長がリーダーシップを取りながら、業界最大手の企業として、このチューニング業界を牽引してきたことは、みなさんもご承知のことだと思います。
 そして、故・長谷川社長は、社長さんである前に『技術者』であるという信念をお持ちで、いつも作業服姿だったことを、懐かしく思い出します。

 その故・長谷川社長が激怒したのは1999年末。上のCARBOYの記事が原因でした。
下記に記します原稿を読んでいただければわかっていただけると思うのですが、CARBOYとしては、HKSさんのFコンVプロとアペックスさんのパワーFCという『ハードウエア』をコントロールするプログラムを募集したわけですが、どうやら、「FコンVプロのソフトをハッキングするプログラムを作ろう!」と捉えられたようでした。
 ちょっとわかりにくいので、クドクドと解説させていただきますが、FコンVプロやパワーFCというのは、パーソナルコンピュータで言えば、ウインドウズ機やマッキントッシュ機と同等のものです。それに、WindowsXPだとか、OS9と言ったようなOS(オペレーションシステム)があって初めて、パソコンとして成立します。
 この記事では、WindowsXPだとか、OS9と言ったようなOSを作りましょう!という募集だったのですが、プロテクトされて、一般の人には使うことのできないFコンVプロのソフトをクラック(改造)するプログラムを作る……と受け取られたようです。
 そして、故・長谷川社長は、「CARBOY誌に掲載しているHKSの広告を全部取りやめ、今後も掲載しない!」と大激怒。慌てた広告担当者(長谷川社長の高校の同級生?)が、平身低頭して、なんとか勘弁してもらった……という経緯がありました。
 
 そのあたりのことは、水面下で行われたので、藤本が知る由もありませんが、この話を聞いたときに、密かに進めていたのは、当時ドラッグのタイヤ問題でケンカ別れ(?)状態だったBERCとHKSの仲を取り持とうと画策していたのですが、この件で、それどころではなくなりました(笑)
 そして、気の毒なことに、この企画のために取材したHKSの担当の方は左遷されたとか……本当に、申し訳ありませんでした。最初はギョッとしながらも、趣旨を説明して、広報写真もお借りして、いろいろとお手間をおかけした結果が左遷……申し訳ありませんでした。

 また、この場をお借りして、故・長谷川社長のご冥福をお祈りさせていただきます。

 

※以下、当時のまま掲載させていただきます※

ジャジャジャ~ンッ!! CBは、またまたショウもないことを考えてしまいました。
最近評判の国産フルコンピュータの2大巨頭であるHKSさんのFコンVプロと
アペックスさんのパワーFCでありますが、こいつは原則的にパワーライター店と
エクセルショップという契約プロショップでしか基本的な部分はイジれません。
こいつを……なんとか……できないもんか……と……考え……て……おるんですよ
で、お叱り覚悟の全国一般公募で海賊版の裏ソフトを募集することに決定しました!!

 


 ハッと思いついてしまった。2000年を迎えようとしている現在、プライベートチューンというのは、コンピュータ問題を解消しない限り、無限の可能性や楽しさ追求ということが難しいんではないか……そういうことであります。
 NAだろうがターボだろうが、自分のエンジンを自分なりにモディファイして、自分の理想とするクルマに仕立て上げるという過程において、コンピュータによるインジェクター&点火コントロールというのは、絶対に避けては通れない道なのだ。
 だが、現実をジックリと検証してみると、いろいろな障害があるということがわかる。現在行なわれているROMチューンは、純正コンピュータのROM内部のデータを書き換えてやろうというもの。以前CBでもCA18DETのプライベートROMチューン講座をずっと連載してきたし、その後のROMチューンにカンする情報やノウハウといってものも紹介し続けてきた。
 だけど、プライベートでコンピュータチューンをするということを考えると、どうもROMチューンだけでは全てをカバーしきれないのだ。ショップのチューン方法としては、ROMチューンというのは非常に合理的な方法だと思う。
 だけど、ボクたちが自分のクルマに対して行なうコンピュータチューンとしては、いろんな面で不満があることも事実。走行中、あるいは直後に細かな変更ができないとか、アドレス情報が少なすぎるとか、コントロールできる範囲が少ない等々。
 だから、やっぱりプライベートでやるならフルコンピュータである。まずノーマル状態でフルコンセッティングを開始して、マフラー交換、エアクリーナー交換、カム交換といったチューンステップに応じて、自分で燃料&点火セッティングをジックリと楽しみながらしていく。これが理想だと思う。そのためには、安価で、確実な動作をしてくれるフルコンが欲しいのだ。
 もちろん、現在でも、モーテックを筆頭に、ハルテック、オートロニックといったフルコンピュータシステムは存在する。だけど、それらと同様に、パーツメーカーさんから国産のフルコンが発売されている。
 最近では、このフルコンを使ったチューニングがドンドン増えてきているし、価格も安く、使い勝手もいい……のだが、なのだ。一般プライベーターが、自分でデータを組み立てたり、変更したりすることが、事実上できない仕組みになっている。
 もちろん、メーカーサイドの言い分もわかる。「適当なデータを入れてエンジンを壊してしまう可能性が高い」とか、「ショップでセットアップしたデータを変更して壊してしまうことがある」等々。
 だけど、チューニングパーツというのはそういうものなのだ、とCBは思っている。個人の責任で壊したものは個人の責任。ピストンを買って組み込むときに前後方向を間違えたり、クリアランスを間違えたりしたときも、エンジンは壊れるのだ。
 もちろん、組んだ人間の責任である。だけど、そういう認識のもとに使う限りは、コンピュータシステムも個人で好きなように使えたっていいじゃないですか。CBはそう思うのだ。だから、今回FコンVプロ、そしてパワーFCの海賊版のコントロールソフトを募集しようということになったわけです。
 ショップにおまかせで、チューン依頼するなら、プロに任せっきりでいいと思う。だけど、自分でやりたい人種は、失敗しようが泣きが入ろうが、自分でやってみたいのです。そして、これがCB流のプライベートチューンの基本ポリシーです。
 最初から違法改造ということは承知のうえで「自分のクルマを、自分の好きなようにイジってナニがいけないんでしょ?」ということを、雑誌作りの基本に置いてきたCBです。
 コンピュータが必要だと思ったら、なんとか自分の好きなように使う方法を考えてみたい。そう思います。
 で、全国のプライベーター諸君のなかのコンピュータ通、ソフト名人の応援を仰ぎたいんです。FコンVプロ&パワーFCを勝手気ままに使えるソフトを作ってくださいませ!!
 んでもって、ボクたちのチューン生活をもっともっと楽しくしていきたいですよ、ハイ。どちらもウンドウズで動くはずですし、ケーブルもそれほど大変じゃない……はず!!


●HKSのFコンVプロは、エアフロレスのコントロールが可能なので、チューニングの可能性を広げてくれるフルコンピュータ。最近は使用するショップもグンと増えて、今後のインジェクションチューンの中心選手として活躍してくれるはず。価格も安いし、自分でコントロールできれば、もっともっと面白いチューニング生活が送れるはず。接続はコンピュータとの専用配線方式。一般的には触れない仕様だ。


●国産フルコンピュータとしては一歩早いスタートを切ったA'PEXのパワーFCは、車種毎の専用開発。で、コマンダーを使ってある程度のデータ変更はできるのだが、基本ラインの変更はエクセルショップのみ。データのやり取りは、コマンダーの接続点からできるので、このあたりを重点的にチェック。


ジャンジャン送ってチョーだい!! 募集要項

■とまあいった次第で、HKSのFコンVプロと、アペックスのパワーFCのデータコントロールをする裏ソフトを募集しているわけですが、全国のプライベーター諸君のなかで、パソコンに強いキミ、ソフトなんて簡単だよ~と自信を持っているあんたからの作品をお待ちしております。
 応募の方法というか、作品の送り方でありますが、実際にキミのクルマや友達のクルマで動いている状態、テストしている状況を教えてもらうというやり方を考えています。
 実際にコントロールできることを確認すると同時に、キミのクルマやコンピュータ制御システムを、CBの誌面上で紹介できれば面白いと思うし、そんななかでいろんな方法が出てくることが、今後のプライベートチューンにきっと役立ってくれるだろうと考えるからです。
 応募の期限は特に定めていませんが、だいたい2000年の中盤までに……けっこう新しくソフトを作るというと時間がかかりますもんね。で、応募された方のなかの最も使えるんじゃないか?というソフトには、賞金を差し上げると共に(少なくてゴメンね~)、CBのホームページ等にフリーウエア扱いで掲載させていただいて、全国のプライベーターに使ってもらえたら……と思っています。で、応募先は〒104-8488八重洲出版CARBOY「海賊版裏ソフト選手権」宛



さっき、パソコンのなかを整理してましたら、
当時の嘆願書が出てまいりました。

これまでボツになっていたものですので、
せっかくですので、ここに掲載させていただきます(笑)

まずは、1999年末の、お怒りが出る前のものです。

嘆願書

HKS&ビッグエンド様

拝啓

 '99年のドラッグシーズンも終わりましたが、シーズン中はCARBOYに対して、いろいろとご尽力をいただきまして、本当にありがとうございました。
 CARBOYといたしましても、日本のドラッグシーンがここまで進化してきたという状況を非常に嬉しく思っております。これまで雑誌の企画上ではありますが、ほぼ20年間のCBゼロヨンを通して、数え切れないほどのドライバー、メカニック、そしてメーカーの方の協力をいただき、日本のドラッグレースの進化を目の当たりに見せていただきました。そして、CARBOYといたしましては、今後ともに、国内では唯一のレースであり、多数のエントラントが参加し、様々なカテゴリーで争われるビッグエンドドラッグレースの取材、撮影を通して今後のドラッグ界の進歩を誌面上に掲載していきたい……そう思っております。
 ですが、'99年のビッグエンドドラッグレース最終戦におきまして、HKSレーシングさんのエントリーがないという事態を知りまして、非常に驚いております。
 もちろん、そこに至るまでの過程や状況というものは、当事者ではない私どもには伝聞でしかありませんが、来シーズンのドラッグレースの状況というものを考えたときに、どうのように対処すればいいのか? これはCARBOYのみならず、一般エントラントの方も同じだと思われます。
 以前の状況では、RRCさんのドラッグレースがありましたが、いろいろな問題点もありまして、エントラントからの不満も物凄いものがありました。
 ですが、現在はビッグエンドさんのオーガナイズで、非常にいい状態のドラッグレースが開催されていると嬉しくてしようがなかったのですが、その要因として、HKSレーシングさんの全戦エントリー、コースレコード樹立等の効果も非常に大きいと思われます。
 一般エントラントの方のなかでも、いつかはHKSレーシングを抜く!という目標をたてて、そのために自分のマシンのモディファイ、そしてレースエントリーという原動力になさっている方がほとんどです。
 特に、プロストック&スーパーモディファイクラスは、国産エンジンをベースにしたエントラントの方が、日本一を決める場として認識し、打倒HKSレーシング、打倒川崎哲也という大きな目標のために、エントリーを決意し、継続エントリーを行なってきているという来歴もあります。そして、これが現在の国産ドラッグが盛り上がっている大きな原動力にもなっております。
 そういう状況のなかで、ビッグエンドドラッグレースにHKSレーシングのエントリーがないということになりますと、せっかくひとつにまとまりかけている日本のドラッグレース界が、また複雑な状況に陥ってしまう可能性も大きいと思われます。
 事実、CARBOYの方に寄せられる意見や、考えにも、そういう事態を憂慮する方の声がたくさん届いております。
 現実的な問題として考えますと、HKSレーシングの不参加ということは、1エントラントの不参加ということにおさまらず、一般エントラントにとっての目標喪失、エントリーの混乱、ひいては日本のドラッグレース界の分断ということにもつながることが予想されます。
 CARBOYは、これまでも、そしてこれからも日本のゼロヨンシーン、しいてはドラッグシーンのことをキチンと考えたい。そう思って参りましたし、そう考えております。将来的に、日本のプロストックマシンが、6秒台でアメリカに逆殴り込みをかける……そんな夢のような話も、次第に現実味を帯びてきた時代になってまいりました。
 そういう夢を実現し、日本全国のドラッグファンに夢を与えるためには、国内のドラッグレース団体が、アメリカのNHRA等のドラッグ団体と、いい関係を保っていることも必要な要素となってきます。
 そういうなかで、今回のような状況になりますと、ドラッグ界の将来、可能性という面でも、現在のそれから後退するのではないか? そんな気持ちがいたしております。
 どうか、以上のような気持ちを汲んでいただいて、ビッグエンド様とHKS様の間で、日本のドラッグレース界のために、歩み寄っていただけないでしょうか? 2000年度のビッグエンドドラッグレースに、HKSレーシングのエントリーが実現するように、なんとか考えていただけないでしょうか?
 現在のところ、御両社共に、2000年度のエントリー等に関しては白紙の状態である、と御聞きしております。ただ、このままの状況では、白紙のまま2000年度を迎え、御両社独自の方向で活動をされるということになりますと、全国のドラッグファン、メカニック、ドライバーの方の混乱の元にもなります。
 御両社の問題は、当然ながら御両社の問題でしかないことは、CARBOYとしても重々承知申し上げております。ですが、ここで黙ったままではいけない……日本のドラッグレース界のことを考えましたら、痛切にそう感じております
 HKS様が、これまで日本のドラッグレースに対してなされてきた業績、並びにビッグエンド様が真摯な態度で、日本にドラッグレースを根付かせたいと願われていることは、いちメディアでありますCARBOYもシッカリと認識いたしておりますし、感動しながら感謝しております。
 どうか、どうか、このCARBOY、そして全国のドラッグファンの嘆願を御聞き届けくださるようお願いいたします。
敬具

1999年11月

八重洲出版CARBOY

 

続いて、ほとぼりが冷めたかな?とおもった2000年7月のものです。

これは、HKSさんとBERCさんの代表に出すつもりのものでした。

嘆願書

HKS 長谷川 様

拝啓

 2000年度のドラッグシーズンが始まりましたが、HKSさんにおかれましては、新しいプロストックマシンの計画もおありということで、ドラッグファンとしては、今後が楽しみだと思われます。また、これまでも、CARBOYに対して、取材協力を始めといたしまして、いろいろとご尽力をいただきまして、本当にありがとうございます。
 CARBOYといたしましても、日本のドラッグシーンがここまで進化してきたという状況を非常に嬉しく思っております。これまで雑誌の企画上ではありますが、ほぼ20年間のCBゼロヨンを通して、数え切れないほどのドライバー、メカニック、そしてメーカーの方の協力をいただき、日本のドラッグレースの進化を目の当たりに見せていただきました。そして、CARBOYといたしましては、今後とも様々なドラッグレースの取材、撮影を通して今後のドラッグ界の進歩を誌面上に掲載していきたい……そう思っております。
 ですが、'99年のビッグエンドドラッグレース最終戦におきまして、HKSレーシングさんのエントリーがないという事態を知りまして、非常に驚きました。
 もちろん、そこに至るまでの過程や状況というものは、当事者ではない私どもには伝聞でしかありませんが、2000年のドラッグレースの状況というものを考えたときに、どうのように対処すればいいのか? これはCARBOYのみならず、一般エントラントの方も同じ状態であると思われます。
 '99年度は、ビッグエンドさんのオーガナイズで、非常にいい状態のドラッグレースが開催されていると嬉しくてしようがなかったのですが、その要因として、HKSレーシングさんの全戦エントリー、コースレコード樹立等の効果も非常に大きいと思われます。
 一般エントラントの方のなかでも、『いつかはHKSレーシングを抜く!』という目標をたてて、そのために自分のマシンのモディファイ、そしてレースエントリーという原動力になさっている方がほとんどです。
 特に、プロストック&スーパーモディファイクラスは、国産エンジンをベースにしたエントラントの方が、日本一を決める場として認識し、打倒HKSレーシング、打倒川崎選手という大きな目標のために、エントリーを決意し、継続エントリーを行なってきているという来歴もあります。そして、これが現在の国産ドラッグが盛り上がっている大きな原動力にもなっております。
 そういう状況のなかで、ビッグエンドドラッグレースにHKSレーシングのエントリーがないということになりますと、せっかくいい方向に向き始めてきた日本のドラッグレース界が、また複雑な状況に陥ってしまう可能性も大きいと思われます。
 事実、CARBOYの方に寄せられる意見や、考えにも、そういう事態を憂慮する方の声がたくさん届いております。2000年度は、ユニコムさん主催のプロドラッグも開始され、そこにはHKSさんのエントリーがありますが、それに加えてビッグエンドドラッグレースへのエントリー実現!ということをお願いしたく嘆願書をしたためた次第です。
 CARBOYとしましては、基本的なラインとして、エントラントの自由意志で参加できるドラッグレース、魅力的なイベントとしてのドラッグレースの実現を願っております。そんな楽しいレース、ワクワクするレースが開催されていけば、CARBOYとしましても、ぜひともシッカリと取材して、全国のドラッグフリークに、その戦いの迫力を伝えていきたいと考えております。
 現実的な問題として考えますと、HKSレーシングの不参加は、1エントラントの不参加ということにおさまらず、一般エントラントにとっての目標喪失、エントリーの混乱、ひいては日本のドラッグレース界の低迷ということにもつながることが予想されます。
 CARBOYは、これまでも、そしてこれからも日本のゼロヨンシーン、しいてはドラッグシーンのことをキチンと考えたい。そう思って参りましたし、そう考えております。将来的に、日本のプロストックマシンが、6秒台でアメリカに逆殴り込みをかける……レギュレーション等の問題もありますが、そんな夢のような話も、次第に現実味を帯びてきた時代になってまいりました。
 そういう夢を実現し、日本全国のドラッグファンに夢を与えるためには、国内のドラッグレース団体が、アメリカのNHRA等のドラッグ団体と、いい関係を保っていることも必要な要素となってきます。
 そういうなかで、今回のような状況になりますと、ドラッグ界の将来、可能性という面でも、現在のそれから後退するのではないか? そんな気持ちがいたしております。
 どうか、以上のような気持ちを汲んでいただいて、ビッグエンド様とHKS様の間で、日本のドラッグレース界のために、歩み寄っていただけないでしょうか? 2000年度の今後のビッグエンドドラッグレースに、HKSレーシングのエントリーが実現するように、なんとか考えていただけないでしょうか?
 現在のところ、御両社共に、2000年度のエントリー等に関しては白紙の状態である、と御聞きしております。
 御両社の問題は、当然ながら御両社の問題でしかないことは、CARBOYとしても重々承知申し上げております。ですが、ここで黙ったままではいけない……日本のドラッグレース界のことを考えましたら、痛切にそう感じております。
 HKS様が、これまで日本のドラッグレースに対してなされてきた業績は、いちメディアでありますCARBOYもシッカリと認識いたしておりますし、感動しながら感謝しております。先日行なわれたビッグエンド開幕戦では、観客席におきまして次のような横断幕がギャラリーによって掲げられました。『帰ってこい HKS!』……この横断幕は、全国にいる熱心なドラッグファンの共通の願望でもあると考えられます。
 どうか、どうか、このCARBOY、そして全国のドラッグファンの嘆願を御聞き届けくださるようお願いいたします。
敬具

2000年7月

八重洲出版CARBOY編集部

 

嘆願書

ビッグエンド 渡辺 様

拝啓

 2000年度のドラッグシーズンが始まりましたが、ビッグエンドさんも、今年のいろんなドラッグレースの活動&企画をしていただいて、ドラッグファンとしては、今後ともに楽しみだと思っております。また、これまでも、CARBOYに対して、取材協力を始めといたしまして、いろいろとご尽力をいただきまして、本当にありがとうございます。
 CARBOYといたしましても、日本のドラッグシーンがここまで進化してきたという状況を非常に嬉しく思っております。これまで雑誌の企画上ではありますが、ほぼ20年間のCBゼロヨンを通して、数え切れないほどのドライバー、メカニック、そしてメーカーの方の協力をいただき、日本のドラッグレースの進化を目の当たりに見せていただきました。そして、CARBOYといたしましては、今後とも様々なドラッグレースの取材、撮影を通して今後のドラッグ界の進歩を誌面上に掲載していきたい……そう思っております。
 ですが、'99年のビッグエンドドラッグレース最終戦におきまして、HKSレーシングさんのエントリーがないという事態を知りまして、非常に驚きました。
 もちろん、そこに至るまでの過程や状況というものは、当事者ではない私どもには伝聞でしかありませんが、2000年のドラッグレースの状況というものを考えたときに、どうのように対処すればいいのか? これはCARBOYのみならず、一般エントラントの方も同じように混乱していることと思われます。
 '99年度は、ビッグエンドさんのオーガナイズで、非常にいい状態のドラッグレースが開催されていると、取材をさせていただきながら、嬉しくてしようがなかったのですが、その要因として、HKSレーシングさんの全戦エントリー、コースレコード樹立等の効果も非常に大きいと思われます。
 一般エントラントの方のなかでも、『いつかはHKSレーシングを抜く!』という目標をたてて、そのために自分のマシンのモディファイ、そしてレースエントリーという原動力になさっている方がほとんどです。
 特に、プロストック&スーパーモディファイクラスは、国産エンジンをベースにしたエントラントの方が、日本一を決める場として認識し、打倒HKSレーシング、打倒川崎選手という大きな目標のために、エントリーを決意し、継続エントリーを行なってきているという来歴もあります。そして、これが現在の国産ドラッグが盛り上がっている大きな原動力にもなっております。
 そういう状況のなかで、ビッグエンドドラッグレースにHKSレーシングのエントリーがないということになりますと、せっかくいい方向に向き始めてきた日本のドラッグレース界が、また複雑な状況に陥ってしまう可能性も大きいと思われます。
 事実、CARBOYの方に寄せられる意見や、考えにも、そういう事態を憂慮する方の声がたくさん届いております。2000年度は、ユニコムさん主催のプロドラッグも開始され、そこにはHKSさんのエントリーがありますが、それに加えてビッグエンドドラッグレースへのエントリー実現!ということをお願いしたく嘆願書をしたためた次第です。
 CARBOYとしましては、基本的なラインとして、エントラントの自由意志で参加できるドラッグレース、魅力的なイベントとしてのドラッグレースの実現を願っております。そんな楽しいレース、ワクワクするレースが開催されていけば、CARBOYとしましても、ぜひともシッカリと取材して、全国のドラッグフリークに、その戦いの迫力を伝えていきたいと考えております。
 現実的な問題として考えますと、HKSレーシングの不参加は、1エントラントの不参加ということにおさまらず、一般エントラントにとっての目標喪失、エントリーの混乱、ひいては日本のドラッグレース界の低迷ということにもつながることが予想されます。
 CARBOYは、これまでも、そしてこれからも日本のゼロヨンシーン、しいてはドラッグシーンのことをキチンと考えたい。そう思って参りましたし、そう考えております。将来的に、日本のプロストックマシンが、6秒台でアメリカに逆殴り込みをかける……レギュレーション等の問題もありますが、そんな夢のような話も、次第に現実味を帯びてきた時代になってまいりました。
 そういう夢を実現し、日本全国のドラッグファンに夢を与えるためには、国内のドラッグレース団体が、アメリカのNHRA等のドラッグ団体と、いい関係を保っていることも必要な要素となってきます。
 そういうなかで、今回のような状況になりますと、ドラッグ界の将来、可能性という面でも、現在のそれから後退するのではないか? そんな気持ちがいたしております。
 どうか、以上のような気持ちを汲んでいただいて、ビッグエンド様とHKS様の間で、日本のドラッグレース界のために、歩み寄っていただけないでしょうか? 2000年度の今後のビッグエンドドラッグレースに、HKSレーシングのエントリーが実現するように、なんとか考えていただけないでしょうか?
 現在のところ、御両社共に、2000年度のエントリー等に関しては白紙の状態である、と御聞きしております。
 御両社の問題は、当然ながら御両社の問題でしかないことは、CARBOYとしても重々承知申し上げております。ですが、ここで黙ったままではいけない……日本のドラッグレース界のことを考えましたら、痛切にそう感じております。
 ビッグエンド様が真摯な態度で、日本にドラッグレースを根付かせたいと願われていることは、いちメディアでありますCARBOYとしましても、シッカリと認識いたしておりますし、感動しながら感謝しております。今後ともに、日本のドラッグレースの尖兵として、楽しく、興奮させてくれるドラッグレースを実現していただくようお願いしたいと考えております。
 みんなが参加したくなるドラッグレース、ここで勝ちたいと願わせるようなレースは、エントラント諸氏によって自然発生的に盛り上がってくる気運と共に、オーガナイザーであるビッグエンドさんの運営方針によって作り上げられていくものだと思われます。
 伝え聞いたところによりますと、ビッグエンドさんが現在のレースを立ち上げる時点では、会長さんが筆頭に立たれて、ポスターを貼り、エントラントに連絡を取り……様々な努力をなさったと伺っております。創成期の気持ちを持って運営を続けていただければ、きっと、今後の発展&進展があると思いますので、今後とも頑張っていいレースを作っていただきたいと……勝手ながらお願いいたしたいと思っております。
 先日行なわれたビッグエンド開幕戦では、観客席におきまして次のような横断幕がギャラリーによって掲げられました。『帰ってこい HKS!』……この横断幕は、全国にいる熱心なドラッグファンの共通の願望でもあると考えられます。
 どうか、どうか、このCARBOY、そして全国のドラッグファンの嘆願を御聞き届けくださるようお願いいたします。

敬具

2000年7月

八重洲出版CARBOY編集部

 

 

 ですが、上記の嘆願書を出す状況ではなくなってきて、この後、国産4メーカーのPRO DRAGが開催されることとなりました。そして、そのイベントも1年で終了してしまって、もう、ドラッグマシンが走るイベントがない……という状況になりました。
 で、全国のドラッグ関係者に電話をかけて、東京駅の近くの会議室に集まってもらいました。そして、出来上がったのが、現在のJDDA(ジャパンドラッグドライバーアソシエーション)です。
 2001年から始まったJDDAは、現在、仙台ハイランドの閉鎖に伴って、セントラルサーキットだけの開催となっておりますが、この出来事が、ひとつの発端でもありました。
 あれからもう16年かぁ〜。年月のすぎるのは早いもんです(笑)

 

 


 


■ 今だから話せる秘話(笑) ■

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