セブンに4スロ4A-G換装

山下 泉(和歌山)


河西モータースさんに寄ったら
泉ちゃんのセブンを発見した!

ちょっと前の話になるのだが、和歌山にある
河西モータースさんにお邪魔した。
その話は、また紹介したいと思っておりますが、
数時間談笑(?)して、帰ろうとしたときに、
オートカルザの山下さん(泉ちゃんと呼んでいる)が、
セブンに乗っていることに気がついた。

以前、CARBOY Returns!の件で話したときに、
何気なく「いま、クルマは?」と聞いたときに、
「セブンに4A-G載せ替えてる」と……。

あ、あれだ。あれです。
で、泉ちゃんをつかまえて写真を撮ってみました。

Kentエンジンの代わりに、狭いエンジンスペースに
搭載されていたのは、AE111の独立スロットルエンジン。
ま、純正ですわな。んで、エンジンもノーマル。

「Kentエンジン売ったら、4A-G2台買えた(笑)」

CARBOYの頃なら、搭載方法とか、マウント関連の話、
補機類の取りまわし等の細かいデーターを聞いたと思うのだが、
今回、そういうことはまったく聞きませんでした。

というのも、興味があったのは、泉ちゃんが、
どんなふうにこのクルマを使っているのか?

以前、彼の街乗り用のクルマを取材したことがある。

そのときの記事を再録してみました……。

 


いくら800馬力は必要ないって言っても
ここまでノーマルじゃ話にならない……
そういう前にジックリとその背景を探って
どうしてこの状態に抑えてあるのかを
解明してみよう。GT-Rって凄いんだ!!

あえてコクピットの写真は掲載しなかったが、
山下GT-Rの運転席まわりも、完全ノーマル状態である。
排気温度計はおろか、ブーストメーターもない。
エンジンルームを覗いても、下まわりを探っても、
アペックスの車高調ショックが入っている以外は
日産純正のGT-RVーSPECまんま仕様である。

当然のことながら、この状態なら、エンジンが
ブローしようが、ミッションが壊れようが、
クレームOKである。

で、どうしてこのマシンを取材したか?である。

GT-Rをさわっていくと、いくつかのラインがある。
ほとんどノーマルブーストアップ状態→タービン交換状態
→そしてフルチューン……である。
パワー的には、400馬力弱→550馬力→800馬力となるだろう。
この段階を上っていくにしたがって、チューン費用は加速度的にかさんでいく。

中途半端じゃダメなのだ。
450馬力、600馬力……これじゃGT-Rは全体の
バランスがどこか崩れているわけだ。
プロストックに挑むオートカルザの山下さんが
ストリートで使うGT-Rは、最初の400馬力弱段階。
当然ノーマルのままでは出ない。
純正に装着されているオリフィスを取り外して
ブースト1.1kg/cm2、燃料&点火制御は
SSクレイジー製のROMチューンである。

セッティングを施している段階では、AF計をセットし、
燃圧、ブースト等の計器を装備して、SSクレイジーの
安藤さんが助手席に乗って、この状態でベストなフ
ィーリングを探っていく。インターセプトは
4000回転付近。アクセルをちょいと踏み込めば
ブースト計の針は、正圧に移行する。

負荷が低いところはSSクレイジー流に
グッと点火時期が上がっている。

燃料も絞るところは絞り、レスポンスと
アクセルのツキを重視してセットアップされている。
だから、とてつもないパワーはない代わりに、
ストリートではものすごく扱いやすく、踏めば進む。

そのままレッドゾーンまでストレスなしに回っていく。
走行会等に行くなら、オイルクーラーとブレーキパッドは
必要だろう。だけど、ストリートに限るなら、
VーSPECというのは非常によくできている。

バネもそこそこのポテンシャルを持っているし、
ブレーキはR33だからブレンボ、400馬力弱のパワー
ユニットは、ノーマル状態のGT-Rとすごくいいマッチングを示す。

サスペンションに関しては、ファリーナの朝日さんの
アドバイスでアペックスを選んだ。車高の問題もあるのだが
「街乗りなら、安くてそこそこの性能があればいいと思うよ。
それがベストマッチ!」何台ものGT-Rを作り上げてきただけに、
朝日さんのアドバイスは適確&簡単である。

本当に走りを楽しみ、クルマを振り回していくためには、
パワーというのは邪魔になってしまうことがある。
もちろん、GT-Rというクルマはそのあたりの
作り込みがシッカリとされているのだ。

EVC等を装着して、ブーストを1.2~1.4kg/cm2程度にすると、
もうひとつ上で楽しめる。だけど、そうなったらあとは
一気にパーツ&加工が雪崩をうって始まってしまう。

タービンも不満になる、インタークーラーも足りない、
エンジン内のパーツの強度も不足……あっと言う間に
フルチューンへの道を歩まざるを得なくなってしまう。

「だから、ここで留まっているという状態です。
NISMOタービン仕様あたりもいいと思うけど、
現在の状態っていうのも、けっこう奥が深いもんです。
ノーマルだけど、ノーマルのポテンシャルがあるだけに、
長くコイツと付き合おうと思うと、これくらいのラ
インがいいと思ってます。新車で買うのはけっこうな
負担ですけど、180SXやGTSーTベースでGT-R以上に
しようとすると、同じくらいの金額がかかってしまいます。
全くのノーマルじゃダメですけど、アクセルのフィーリングに
こだわってROMをセットアップすると、ノーマルGT-Rって、
こんなに良かったかな?って感じます。燃費もいいし、
経済的……かもしれませんね」

である。ちょうどいいバランスというのが、
チューニングを考えるときには存在する。
タービン交換仕様もいい。だけど、ノーマルちょっと改
という仕様も、なかなかいいバランスを持っているのだ。

GT-Rチューンに大金をかけ、結局ローン地獄にはまって
しまってクルマを降りてしまうという話をよく聞く。
ただ突っ走るだけじゃクルマと楽しく、
そして長く付き合っていくことは難しい……でしょ??

 

これは、1998年の記事ですから、いまから20年前のことです。

ですが、ストリートでクルマを楽しむひとつの方法だと、
いまでも感じます。いたずらにPOWER競争をする愚には、
誰しも気がついていると思いますが、だったらどうすればいい?
この単純な問いには、なかなか答えがないんです。

 

ま、GT-Rの話は、ここまでとして、
セブンの件ですが、FF用に開発されたAE111用の4A-Gを
縦置きに移設しているわけですが、このあたりの細かいノウハウは、
聞き忘れました(笑)

あと、このクルマが、ケータハムなのか、ウエストフィールドなのか、
……そのあたりも聞き忘れました。
ま、どっちでもいいと思っているので……後日確認したら、
バーキンだそうです。

ただ、制御系統に関しては、フリーダムのECUです。
上記のGT-Rのときは、SSクレイジーだったのですが、
ドラッグマシンを制御するのに、フリーダムを使用するようになり、
そのながれで、このマシンのコントロールも浅原さん製の
フリーダムで行っております。


 

 

 

 

下の写真は、1989年頃に、イギリスのケータハム社で、
メカニックと話しているところのものです。

以前240ZのL28改2.8Lショートストロークに乗っていたころ、
ケータハム社のキットカーを買いたいと思って、
直接イギリスのケータハム社に行った時の写真です。

当時は、紀和商会さんが輸入元で、
どうにも日本への輸出はできないと、
諦めたときのものであります。

ま、そのとき考えていたのは、
Kentの1600ccではなく、ボアアップ&圧縮比UPの
1700ccタイプでした。ウエーバー2連タイプの。
フレームに関しては、なんでもいいと思っていたのですが、
その理由としては、コーリン・チャップマンさんが作った
ロータス・セブンのフレームも、ケータハムのフレームも、
ホイールベースが広いドンカーブートも、ウエストフィールドも、
ま、なんだっていいですぅ。と考えておりました。

というのも、イギリスという国は、面白い国で、
いろんなところで、自作のパイプフレームを作っている人間や
メーカーがたくさんありました。バックヤードビルダーの国ですから……。

そして、藤本はといえば、CARBOYの取材で、自作パイプフレームを
作るプライベートドラッガーの取材を続けてきた。

ま、街中で乗るなら、適当でもいいんじゃない?
そんな、ええかげんな感じでもありました(笑)

それから年月が経って、SACLAMさんのお手伝いをしていたときに、
ケータハムのキットカーを輸入して組み立てるということが実現しました。
詳細は、下記のHPを参考にしていただければいいのですが、
木箱に入ったキットを開封するところから、
適当なフレームの作り方(?)、雑な仕事ぶり等も、
確認することができたのは、自分的にも幸せでした。

SACLAM ケータハム スーパーセブン

http://www.saclam.com/caterham/caterham_index.html

 

というわけで、泉ちゃんのセブン(ま、こういうタイプのは、
みんなセブンだと思ってる)の感触は……「いいなぁ〜」でありました。

アルミブロックのエンジンは、Kent製の鉄ブロックよりも数段軽く。
しかも、ツインカムのインジェクションコントロール。

泉ちゃんに話を聞くと……。

「全部公認やで。友達のと2台とったよ。最初からそのつもりで
おったから、元のエンジン売って、浅原くんのフリーダムで、
もう、5年位乗ってるかな? R33GT-Rのあとは、R34GT-R乗って、
その次がこのクルマ。孫を助手席に乗っててやると、喜ぶねん(笑)」

 

 

藤本的に、細かい部分を見ると……
バックレストの後ろにアクリル板があり、
サイドウインドには、大きめのアクリル板の風除け。
これは、日常的に乗る場合、けっこう効くんですよね。
4連スロットルのAE111用4A-Gはフルノーマル。
だけど、昔のKent改1700cc仕様よりも、
ずっと、こっちのほうがいいと思う。


……いま風と言ったらおっさん臭いのだが、
最近、ずっとそんな事を考えている。。

 

 

というのも、WEB上でいろいろなことを見たり知ったりするのだが、
旧車のブーム的なものが、取り沙汰されているけれど、
その中身は、『レストア』や『ノーマル修復』、『完全オリジナル』といったものばかり。
そのあたりは、尊重はするものの、足となるクルマという面から考えると、
「??????」と思ってしまうのです。

R32は言う及ばず、R33やR34、シルビアや180SX、マークUやスープラ、
FC&FD、そういったCARBOYが紹介してきたクルマが、ほぼ旧車世代に
入ってきているいま、『レストア』や『ノーマル修復』、『完全オリジナル』では、
つまらないと思うのは、おかしいのだろうか?

現在の『レストア』や『ノーマル修復』、『完全オリジナル』ができるお店では、
『ブーストアップ』や『ボアアップ』、『ROMチューン』といった改良は、
請け負ってくれないと思う。でも、上記のクルマを楽しく現役で乗るためには、
良質なチューニングショップという存在が不可欠。

ま、そんなことを、考えております。
なんか、こういうクルマグループを扱う現象に、
適切なネーミングがないか?
そう考えてます。だれか、いい案があれば……
そうです。CARBOYで『TUNING!』という言葉を
使ったように。

 

取材協力;オートカルザ(実は近所のカーショップの名前)



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よろしかったら、お願いします。


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