山本さんがこだわって作り続けてきたY33を始めとする
独特のマシンたちは、本質的な部分ではスポラグだった
非常に高いレベルで、安定した性能を発揮し続け、
フルチューン攻勢の陰に隠れつつしっかりと自己主張!!
先日アップした『究極のマークU』の項で、
以下のようなことを書いた。
◇ ◇ ◇
これは、ほとんどのひとが認識していないと思うのだが、
中古のマークUを購入して、ターボチューンを、程々に抑えて、
サスペンションを、そしてブレーキの基本性能を向上させることによって、
世界でも稀な、新しいタイプのスポーツカーを作り出すことができるのだ。
渋滞の日本でも、ストレスなく乗りこなすことができて、
エアコンも効くし、燃費もそこそこ。
なのに、アクセルを踏み込めば、250km / hあたりまで、
猛然とした加速を体感できる。
ポルシェよりも、フェラーリよりも、速いファミリーセダン。
◇ ◇ ◇
このような感覚を持つに至ったベースラインは、
RSヤマモトにありました。
後年、『スポラグ(スポーツラグジュアリーカーの略)』として、
あらためて紹介されることとなった、Y33セドリックが、
まさに、ポルシェよりも、フェラーリよりも、速いファミリーセダンでありました。

上の写真を見ていただければおわかりのように、
完全なトッツァングルマであります。
しかしながら、その内容というか、
ポリシーとポテンシャルは、世界中どこにも見られない
日本独自のスポーツカーと呼べるものじゃなかったか?
そういうふうに思えてならないのです。

『RS山本の問答無用』というコーナーは、
1986年04月号から連載を開始しました。
それまで、RE雨宮さんの
『アマさんの人生相談』のあとを受けての連載でした。
そして、この連載は、ズーッと1993年度まで続きます(笑)
毎月、山本さんと話して、いろんなことを聞きながら、
非常に地味な部分と、派手な部分を綯い交ぜながら、
RSヤマモト流のクルマづくりというものに触れてきました。
ダンディの田中さんが言ってました。
「山本さんのすごいところって、部品を一度付けて、
外して、もう一度……そんなふうに、目には見えない
作業のなかで、細かい部分を作り上げていくところ……かなっ?」
その、ひとつの結晶が、Y33セドリックだと思えます。
地味〜なクルマを、どうぞっ!!

CBがチューニング雑誌の道を歩み始めてから、しばらくしてヤマモトさんとの付き合いが始まった。
もう、30年近く前の話である。ターボチューンのRSヤマモト、精力的な活動で、
ゼロヨン、最高速マシンを次々と生み出し、時代の先端を突っ走ってきた、
チューニング業界の大先輩でもある。
だが、今回取材を依頼したのは、ちょっとばかりそれとは別の話。山本さんは、
昔からストリート仕様にこだわり続けてきた。いまから考えれば、
非常に『スポラグ的』なマシンを作り続けてきた。
そういう意味では、長期間にわたって、芯がぶれていない
チューナーだということができるだろう。
フルチューンではない、かといって初級&入門チューンではない。
踏めば速く、微妙なアクセレーションにしっかりと対応し、
無茶な馬力こそないけれど、必要十分な速さは、しっかりと実現している
……そういうパワーユニットを作り続けてきたのだ。そして、それがいま、非常に新鮮に見える。
「スポラグ? なんなの? えっ??車高が低くて、インチアップしていて、サスがキレイに動いて、
エアロもかっこよくて、踏めばスパッと加速する……え、それって、昔のストリートマシンじゃないの?
湾岸も走るし、ゼロヨンもやる。たまにはワインディングも攻める。あ、それをいまどきの言い方じゃ、スポラグって言うんだ(笑)」
ホッホ、まさにそのとおりでござんす。カッコよさと速さと、乗りやすさを兼ね備えた、
贅沢三昧の仕様であります。でも、だからこそ、エンジンに関しては、いい意味で
オールマイティな性格づけが必要になってくる。オールマイティという言葉を裏返せば
「中途半端」となるケースが多い。パワーもそこそこ、扱いやすさもそこそこ、
レスポンスもなにもかも、なんだか中途半端。
だが、山本さんのY33を借りて一日乗ったことのあるCBスタッフは
「凄いんですよ。踏めばスパッと走るし、どこまでも加速感が続いて、
それでいて乗り難いところがまったくといっていいほどないから
、毎日の足としても使えるし……」
そうです。スポーツカーじゃないんです。スポーティーカーなんです。
車重も重い、大径ホイールの弱点も持っている、ミッションはノーマルだったり、
ATだったり、でも、そいつをここまでセットアップすることができるんだという事実に、
素直に驚愕させられた。
使用している部品を列記しても、なんにもわからない。でも、部品同士の組み合わせ、
「純正と同じじゃない?」と思いがちな、純正コンピュータのROMチューン&エアフロ制御、
おきまりのインタークーラー&オイルクーラー装着
……でも、それなのに、まったく違うクルマに変身してしまうのだ。
「けっこう、純正ROMチューンは奥が深いんですよ。細かなアクセルの
動きに応じたセッティングって、ドライバーの数だけあるんです。だから、
チューンをする前に、お客さんの隣に乗って、走ってもらうんです。それで、
『このひとはこういうアクセルの踏み方をするんだ〜!』とか、
『クラッチはこういう使い方をするんだ〜!』というデータ集めをしています。
そして、使用パーツの特性と、オーナーのドライビングをキレイに合わせてやるんです」
30年以上のキャリアは、伊達じゃなかった。ごくごく一般的なパーツと機材を使って、
ドライバーにオーダメイド的なセットアップを施していたわけだ。
そして、それができるということにもビックリさせられた。
非常にオーソドックスではあるのだが、ただの定番じゃなく、
ワンオフオーダー的なセッティングを組み合わせることによって、
あれだけマシンが変化する……チューニングは、まだまだ奥が深いです。
シンプルだけど、徹底的にハーフアクセルにこだわったセットアップ。
これがスポラグにとっては、非常に重要!!










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