LEGEND of CARBOY [シノミヤセルボ】

TEAMシノミヤ(和歌山)

セルボをベースにして、パイプフレーム&REの
組み合わせ超軽量異色ドラッグ登場!!

岸和田の実家から、東京に帰ろうと思ったのだが、
一度、和歌山の紀伊半島を一周して帰ろう……と思い立った。

高校生の頃、知り合いのブル510SSSを借りて、
彼女と海水浴に行ったことを思い出したからだ。

白浜、串本、潮岬……

「僕は二十歳だった。それが人生で
もっとも美しいときだなんて誰にも言わせない。」

ポール・ニザンの「アデンアラビア」という本の冒頭に記されている言葉だった。

正確には、
「僕は二十歳だった。それが人生でもっとも美しいときだなんて
誰にも言わせない。何もかもが若者を破滅させようとしている。
恋、思想、家族を失うこと、大人たちのなかに入ること。
この世界の中で自分の場所を知るのはキツイものだ。」と続く。

当時の藤本は、まだ18歳だったけれど、自分のことのように、
この本を読んだ。ま、単純だったんでしょね(笑)

ま、それはどっちでもいいんですが、そんな感傷にふけって、
思いっきり遠回りの紀伊半島一周に出かけようと、
多さから和歌山に入ったころ……。

「そう言えば、CARBOYの取材で、和歌山には思いっきり来たな〜。
河西さんところや、オートカルザの泉ちゃんや塩路くん、
おっと、そうそう、同級生の四宮くんも、この辺だったよな〜」
なんぞと、当時を思い出しながら、信号で停止した。

で、なんの気なしに左方向を見ていると、
『TEAMシノミヤ』という看板が目に入った。

「まさか、四宮くんの工場は、こんなところじゃなかったけど」
と、思いながらも、川沿いの道を曲がってみた。

 

で、工場のなかに入っていって「こんちは〜!」と声をかけた。

「オ〜、藤本さんやない。どうしたん?」
そう言って出てきたのは、まごうことなき四宮くんだった。
頭は白くなっているけど、あの、四宮くんだった。


最後に会ったのは、CARBOY0→400mの
セントラル2000年あたりだったと記憶している。
16年ぶりか。でも、ちょっと話をしてみると、
四宮くんは、やっぱり四宮くんだった。

ずっと一緒にやってきたドライバーの西出くんが、
数年前に亡くなって、それまで置いていたマシンを、
ちょっと前に手放した……と聞いた。

四宮くんの取材を、初めてしたのは1984年。
プライベーターとして、13Bターボで、驚異的なパワーを
記録したヒトがいるということで、和歌山に行ったのだ。
そのときから数えてみると、30年以上の知り合い。

最初はプライベートガレージの取材、そして、セルボのこと、
続いてFCのフルパイプ……何度も取材をお願いした。

「最近、ここに移ってきたんよ。娘がパンとかケーキの
店をやりたいちゅうんで、ガレージと一緒の建物にして、
こっちに引っ越してきたんよ」

懐かしくて、色んな話をしたのだが、
そのことはまた、後ほど……まずは、
セルボの話をしましょうか。

TEAMシノミヤが、FISCOに、あのセルボを持ち込んできたときは、
本当にびっくりした。最初は、セルボのストックボディを
モディファイしたものだとばっかり思っていたのだが、
イチからフレームを作り上げた、フルパイプシャシーだということを
知って二度びっくり。

当時のことは、下の記事を参考にしていただきたいが、
このマシンは、いいタイムをマークしたものではない。

だけど、そのインパクトの強烈さは、
全国に和歌山パワーを認識させるのに、
充分なものがあった。

FISCOに登場したのは1989年。いまから28年前の話。
河西モータースの和田さんに誘われて、
谷田部の総合試験路で行われていた
当時の良い子CARBOY0→400mにエントリーした
四宮くんだったが、それからコペルニクス的転回を
遂げて、B110サニーやスターレットボディを
ベースにしたマシンを製作したが、
それでは飽き足らずに、超軽量フルパイプシャシーを
作り、そいつにセルボのガワを被したわけだ。

デビュー戦のタイムは10秒070。


このときのラダー対戦相手は、柿本ツインターボZで、9秒547。
一回戦で敗退……。トラクションがかからなくて、
スタート直後に、前に進んでくれないのが敗因だった。

1991年あたりから、自作のフルパイプシャシーが、
ポツポツと登場するようになってきた。
アートガレージの箱スカや、サカモトオートファニーZ、
河西モータースピアッツァ……だが、シノミヤセルボが
登場したときには、まだ他のマシンはいなかったのだ。

それまでのドラッグマシンは、ストックボディを
大胆にカットして、リジッドホーシングを装着した
セミパイプ仕様が主流だった。

そんななかで登場したTEAMシノミヤセルボ。
トラクションがかからなくて苦労した話や、
ドライバーの西出くんの体重が、一向に落ちない話、
近所の河西モータースの和田さんとの話……。

ま、そのうちおいおいと紹介していきましょう(笑)

 

涙なくしては語れない!? 
噂と幻のマシン&チューンが蘇るCB伝説vol.18


LEGEND of CARBOY [シノミヤセルボ  ---1989年---

セルボをベースにして、パイプフレーム&REの
組み合わせ超軽量異色ドラッグ登場!!

プライベーターが作り上げる独創的なドラッグSPL
セルボに体重100kgの西出選手が強烈ドライブする!!

467ネーム 16w×88.5行 
物凄いタイムをマークしたわけではない。
だが、どうしても気になるマシンというのが存在する。

和歌山のプライベートドラッガーである四宮さんの
作り出すマシンは、そんな魅力に満ちあふれている。

最初は、110サニー、そしてスターレットボディを
切った張ったして作り上げたチューンドREを搭載した
ドラッグマシンの限界を感じた四宮さんは、
F1を見ていてピーンと来た。

「500kgの車体に、450馬力のエンジンを載せれば、
すごい速いクルマちゃうか?」である。

そのころ、パイプフレームを採用している
クルマというのは、ほとんどなかった。
死喰魔のカミナリパイプフレームZくらい……だったと思う。
そんななかで、本格的なパイプフレーム製作を思い立った四宮さんは、
0状態から、フレームを作り始めた。

定盤の上で思っている位置に、思っているものを
作り上げていくという作業は、苦しいけれど楽しかった。
この時点で、四宮流のドラッグマシン作りの方向性が決定したといってもいいだろう。

フルパイプフレームの580kgボディに、13B改の500馬力
REターボを搭載したシノミヤセルボは、


CBゼロヨンに刺激的な登場を果たした……

といいたいところだが、ここに四宮さんの誤算があった。
「車重が軽くて、強烈パワーがあれば速い!」と
思い込んでいたのだが、ドラッグマシンの実態は、
そうではなかったのだ。

ドラッグレースでは、スタート時のトラクションが、
ほとんどを決定する。だが、軽すぎるボディと、
強烈なパワーというのは、ただいたずらにタイヤを
空転させるだけなのだ。適度な車重というか、
トラクションをかけるだけのモーメントがないと、
ドラッグスリックと言えどもそのグリップ力を
発揮してくれないわけだ。

おまけに、ドライバーとなった西出選手の体重は100kg弱。

テスト走行では、クラッチをつないだ瞬間に、ヨコを向いていた。
それまで四宮さんが乗って、普通に走っていたのが、
体重差で、これほどまでにバランスが変わってしまう
……それからは左右のバランス、トラクションを
均一にかけるという改造に追われた。

で、ようやく真っ直ぐ走るようになったものの、
シノミヤセルボがスタートしたあとには、50mほどの
ブラックマークが残っている。

つまり、ガッチリとしたトラクションが
かかっていないままに、エンジンのパワーが
全開されるために、ドラッグスリックの表面だけが
すり減っていく。前に進む推進力とならずに、
タイヤを削る力となっていたのだ。

「ええ勉強になりましたよ。フルパイプフレーム
作るのも始めてやし、トラクションのこととか、
クルマ全体のバランスとか、そんなもんいろいろ
勉強させてもらいました。でも、やっぱり、こ
れまで自分が作ったクルマのなかで、一番好き……かな」

四宮さんは、セルボのあと、フルフレームの
FC3Sトリプルターボを作り、それがRRCの
レギュレーションに合わなくなったので、
現在新しくFC3Sフルフレームを製作中だ。
この秋には完成するというから楽しみにして待とう。

四宮流のユニークなマシン作りのエネルギー源は、
どこにあるのか?いつも話をする度に不思議に
思っている。だけど、「これがプライベート魂だ!」と
言われれば、ストンッとフに落ちてしまう。

ウーン、やっぱりドラッグマシン&改造には、
人を虜にする魔力ってのが存在するんだろう……ウン。そう思う。

●ホイールベースを稼ぐために、ノーズ部分をのばした。
このころ四宮のFRP技術はイマイチだったので……見よう見真似だったという。

●軽いボディに大パワーエンジンを搭載すれば速い! 
そう信じ込んでいたので、軽いパイプにセルボボディを搭載した……結果はダメ。

●100kg弱の体重の西出選手が乗ると、クラッチをつ
ないだ瞬間にヨコを向いた。完全にバランスが狂った。

 

 

 

 


TEAMシノミヤ
〒649-6246 和歌山県岩出市吉田435






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