ドリコンGPの優勝賞品は
レーシングスクール入学権利?

村尾と言えば『サイドブレーキ』である。
それも、「150km/hからの根性SIDO」である。
いまなら、当たり前かもしれない。
ドリフトが上手いドライバーなら、ためらわず引けるだろう。
だが、最初にやるということは、まったく違う意味を持っている。
大層な話をすれば、人間が2本足歩行を始め、
海辺で見つけたナマコを、食べようとしたヤツがいる。
雲丹の殻を割って、中身を試食したやつがいる。
西洋では悪魔と言われるタコを茹でて食べたやつもいる。
最初は……その場にいた全員が「無理っ!」と言ったはず。
だけど、最初におそるおそる食べたやつが、「なにこれ、ウマッ!」と
言ったあとから、芋づる式に手を伸ばしたはずなのだ。
ただし、その結果、命を落としたやつもいるだろうし、
半身不随になったやつは、いないか(笑)
チャレンジ精神というのは大切なものだけど、
元も子もなくす可能性も秘めている。
言ってみれば諸刃の刃であります。
その諸刃の刃を、最初に振るったヤツが、村尾だった。

その結果として、念願のグランドチャンピオンを獲得し、
その年のご褒美である『ボブボンデュラントレーシングスクール』に
短期留学したわけです。
このとき、同席していたのは、ラッセル小林、パープル横田、カラフル中井。
生まれて初めて、フォーミュラマシンのコクピットに収まった4人だったが、
そのうちのひとり、村尾がなんとか言っている。
「さ、サ、サイド……」
「????」
「サイドブレーキって、どこに付いてるんっすか?」
……村尾……であります。
といっても、藤本は現地で聞いたわけじゃありません。
川崎くんか、深田くんが同行したので、聞き書きでございます。

で、その後、フォーミュラを使って、いろんな講習があったそうですが、
フリーで走り始めたら……。
いつのまにか、村尾がコースレコードを更新してしまいました。
それを聞いた、講師の先生が、「ナヌッ? そんなことは許しましぇん」と
コースインして、村尾の叩き出したタイムを更新。
その先生が走り終わるのを待っていた村尾は、
「……何秒?」と聞いて、再度コースイン。
で、結局、ムキになった先生が更新したタイムを、更に更新。
いやあ、怖いもの知らずというのは、異様な力を発揮するもんです(笑)
帰ってきて、その様子を聞いた藤本は大笑い。
カンラ、カンラッ!と高笑いしました。
「さすが、村尾!」
サイドブレーキを探していた入門者が、コースレコード更新。
ボブボンデュラントも、びっくらこいたことでしょう。
というわけで、『村尾伝説』のご紹介でした。

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