JDDA WESTドラッグレース2017年開幕戦 Part.2

2017年5月(セントラルサーキット)

2001年の初戦より16年目となる
国内ドラッグレースのJDDA
開幕戦の注目レポート!!
Part.2

 

Part1では、優勝した板橋選手のPRO COMPクラスの紹介をしたが、
そこで、

『ただし、新たに、このCARBOY2017のホームページを
見始めてくれた方には、ドラッグレースというものの、
基本的な知識や楽しみ方が、わかりにくいと思いますので、
ちょっと余計な解説や、ドラッグレースの基本的な事柄を
交えながら、展開していきたい……』

というふうに書きましたが、原稿を書いていると、
どうにも、基本的な事項を丁寧に説明しようとすると、
なんだか、ダラダラとした文章になってしまうことに気づいた。

ですんで、基本的な事柄は、別のページでやろうというふうに、
コペルニクス的転回(でもないか)をしました。

まず、以前JDDAが、ドラッグのエントラントや
入門用に製作したパンフレットがあることを思い出したので、
そいつに、ヒマがあれば目を通してみてください。
だいたいのドラッグレースというものが、わかってもらえると
思います。で、そこには出ていない事柄や、興味深いことについて、
ここでは記事にしていきたいと思いますので、
どうか、よろしくお願いします。

 

JDDA OFFICIAL GUIDE BOOK
↑このリンクを見てみてくださいな。

追記:やっぱり、参加車の写真を載っけたいと思ってしまいました。
PART3として、予選結果のリザルトや、ラダー表、
そして、参加車両を掲載させていただきました。
ただし、カメラマンがひとりのため、両レーンで走っているとき
双方を完全に抑えきれない……という言い訳がありまして、
写真がない方もいらっしゃいます。そのあたりは、ご勘弁ください。

 

JDDA WEST2017開幕戦リザルト&参加車両掲載

 

 

 

OPEN10&11の変貌!?


というところで、JDDA WEST2017年度開幕戦の
レポートその2にまいります。

今回から、注目すべき変更点があったのは、
OPENクラスであります。

ひとつは、従来V8クラスで、11秒フラットまでの
タイムゾーンで予選&ラダーを行なってきたのですが、
今年からはその制限タイムを12秒フラットに下げました。

これは、V8オーナーが、11秒というタイムに到達するのには、
相当のチューニングが必要なこと、出たいのだけど、自分は13秒台、
あるいは14秒台……という声があったので、異例のタイムダウンを
行いました。そして、これまで11秒台のタイムをマークしていたマシンは、
OPEN11クラスに移行。国産&V8が混走で、ラダーを競うということに。

そして、もうひとつ。

従来、R35GT-Rは、それだけでひとつのカテゴリーを形成していましたが、
今年からは、「いろんなマシンとバトルしたい!」という要望を聞いて、
OPEN10&11クラスに編入することとなりました。

ということは……OPEN10&11クラスは、国産車とアメリカンV8、
そしてR35GT-R(国産車ですが)の混走クラスとなったわけです。

意外に、こいつは面白いです。

 

10秒クラスは、8台ラダーでしたが、11秒は16台ラダー。
さすがに、10秒というタイムゾーンは、長年の蓄積があるマシンが有利。
関東から遠征してきたブラックライン樋口選手が優勝。
しかしながら、2位には、クルウチR35GT-Rを駆る潮崎選手が入った。

いやあ、R35GT-Rって、速いんですね。
10秒台っていうと、一般の市販車(ポルシェやフェラーリも含めて)の
レベルじゃありませんよ。一昔前なら、チキチキマシンのドラッグSPLが
ようやく到達できるのが10秒台。それが、ストック改のマシンが、
平気でこんなタイムを叩き出してしまうんですから……凄い時代です。

 

  

そして、注目したいのが、OPEN11です。

下のエントリーリストを見ていただければ一目瞭然ですが、
13台中6台が、アメリカンV8。そして、ラダーを勝ち進んだ
ベスト4のうち、3台がV8……。

ATのV8マシンは、60フィートをどう走りきるか?が
最大の攻略ポイントとなる。そして、それが、これまでの
OPEN V8で鍛えられた結果、安定してラダーを戦うことが
可能になっていたのだ。

一昨年に、路面改修をしたセントラルサーキットでは、
それまで熾烈な戦いを繰り広げていたOPEN11の常連メンバーが、
軒並みタイムアップして、OPEN10へとクラスアップした。

その間隙をついたV8組は、一気に上位独占を図ったわけだ。

安定した走りで、優勝を獲得した上西選手は、2016年度の
V8クラスシリーズチャンピオン。予選1位の、これまたOPEN11クラスの
2016年度シリーズチャンピオンの榊原選手を、総合で0.15秒差で下しての決勝進出。
R/TとE/Tを比較してみると……榊原選手がそれぞれ、0秒530と11秒260。
対する上西選手は、0秒251と11秒380。つまり、区間タイムでコンマ1秒遅いのだが、
リアクションタイムでコンマ2秒強速かった、ということになる。

両者の予選タイムは、それぞれ11秒220と11秒317。
区間タイムの差は、同じくコンマ1秒付近。

つまり、上西選手は、『勝負に出た』んだと思う。
ここ一発で、フライング覚悟の起死回生スタート。
こういうドラマが、ドラッグレースには、
ありとあらゆる場面で登場する。

こうして決勝に駒を進めた上西選手と対戦するのは、
JDDA参戦が7年ぶりとなる加藤選手だが、
波に乗る上西選手が、準決勝とほとんど
同じ走りでコンマ5秒差で制した。

「いやあ、7年前のドラスリを使ったんだけど、
思いのほか喰いつきましたよ(笑)」という
加藤選手は、JDDA最高齢エントラントである。

 



一昨年からエントリーはしていたのだが、
体の不調等があって、ようやく走ることができた
……のだが、実は、加藤選手は、
昔の昔のRRCドラッグレースに始まり、
スキャットやアメフェス等、殆どの大会で
トロフィを獲得しているという存在。もちろん、
以前のJDDAでも盾を獲得している。

自身でボーリングからエンジン加工、組付け、
セッティングと、オールジャンルをこなす加藤選手は、
地元の愛知だけではなくて、V8乗りには知られた存在。
R35GT-R→チェイサー→32GT-Rと国産勢を次々と
破りながらの決勝進出だった。

『老獪』と言うと、叱られそうだが、
7年前のドラスリを最大限に活かしての準優勝でした!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いま、注目のOPEN NA 10秒BATTLE!

OPENクラスのなかで、もうひとつ注目したいのが、
NAクラス。といっても、エントリー車両はほとんどがL型。
コツコツとタイムアップを続けてきたL型改NAチューンは、
OHCカウンターフローという基本形式が信じられないほど、
その速さに磨きをかけてきている。

今回のWEST開幕戦には、6台のマシンがエントリー。
常連メンバーである中川選手や星原選手らに加えて、
関東からの遠征組であるラウンド河上選手&ライジング伊藤選手。

遠征組は、共にジェリコのエアシフターを搭載。
WEST組は、ドグミッション&クロスミッション。

昨年度のOPEN NAには、キャブ仕様の渡部選手もいて、
インジェクションvsキャブの戦いを披露してくれたが、
今回の注目は、なんといっても、ドグの中川選手vsエアーの河上選手。

予選タイムも、河上選手の10秒822に中川選手の11秒008……。
今回がシェイクダウンに等しい伊藤選手だが、トーナメントラダーの1回戦で、
まさかのエアー補填忘れで、リタイア。

 

 

 

準決勝での2人のタイムは、それぞれ0秒524/10秒803と0秒342/10秒870。
リアクションで稼ぐ中川選手は、この時点でコンマ1秒のリードを獲得していた。

この両者が決勝を迎えたわけだが、これまでの図式では、区間タイムで勝る
河上選手と、リアクションをギリギリまで詰めてきた中川選手というパターン。

しかしながら、実際の決勝は、予想を裏切る展開で行われた。

 

下の表は、決勝時の、両者のタイムである。

そして、注目していただきたいのは、両者のリアクションタイム。

それまで、コンマ5秒ほどのリアクションタイムで、勝ち進んできた河上選手だが、
ここに来て、0秒121というビックリするほどの好タイムで飛び出した。
対する中川選手は、というと。それまでのコンマ3秒ほどのリアクションから、
一気に勝負をかけた0秒042という、限りなくフライングに近い超絶リアクション。

 

 

この時点で、中川選手が、100分の8秒リードしていた。

 

 

そして、両者ともにインジェクション仕様独特の排気音を響かせながら、
ゴール地点を先に通過したのは……河上選手だっ!!

 

 

区間タイムは、表の通り、それぞれ10秒881と10秒969。その差100分の9秒差。

両タイムを合計すると……11秒002と11秒011……差は、1000分の9秒……となった。

 

1000分の9秒ですよっ!!

 

『アッという間』という言葉があるけれど、
1000分の9秒というのは、『アッ!』という
時間の何十分の1、いや、何百分の1に相当するのだろう?

『一瞬』という言葉は、「瞬きを一回する時間」と言われている。
世界瞬き選手権で優勝するような瞬きアスリートが存在したら、
彼の瞬きは、1000分台かもしれない……ま、そんな話はさておき、
この1000分の9というタイム差に到達する前に、
どれほどの時間が、L型をベースに費やされてきたのだろうか?
そう考えると、本当に感慨深いものがある。

 

 

 

 

40年近く積み重ねられてきたL型チューンの歴史があり、
中川選手や河上選手が、その手をオイルまみれにしながら、
どれくらいの『時間』をかけて、現在の仕様にまで到達したのか?

そして、それぞれがかけてきた『時間』と『時間』が、決勝トーナメントで
激突した結果、生まれてきたのが1000分の9秒という数値に凝縮される。

いやあ、ドラッグレースというのは、クルマやエンジンを作り上げるところから
始まり、そして瞬間的に勝敗が決するという、珍しいレースであります。

その、醍醐味を、味あわせて、いただきました!!


 

JDDA事務局
〒180-0003東京都武蔵野市吉祥寺南町1-30-1-703
Tel.0422-43-1147





↑できるだけ、いろんな方に見ていただきたいので、
よろしかったら、お願いします。


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