タイマン勝負の最速戦! 第1回

1997年9月号(間瀬サーキット)

最速伝説に挑む!! MAZE TIME TRIAL
テストテストテスト

さあて、と。いよいよ、全国の走り屋連中が、
待ちに待った『CBストリート最速選手権』の開催であります。
最初に告知をかけてから、いろんなアクシデントが
発生いたしました。そのなかでも、最大のアクシデントは、
松本晴彦選手の事故、入院、そしてリハビリ生活
でありました。ガンバレ!松本。ガンバレ!!松本と、
全国の走り屋諸君の声援をバックに、松本選手は
ようやく自分のAE86で、間瀬に登場することが
できるようにまで回復することができました。
ありがとう、皆さん。温かい声援ありがとう。
そして、松本選手おめでとう。

だが……勝負は勝負であります。
出てこれたからには、同一ライン上で
勝負していただきましょう!!


慣熟走行は各クラス2回
勝負は1周限りのタイムアタック
各マシンクラスの最速タイムドライバー選出
織戸/松本/猪爪選手とのタイム一騎討ち勝負
各クラス勝者同士のタイムハンディ勝負

                                                      ©八重洲出版 

というわけで迎えた日本海間瀬サーキットでありますが、
当日はあいにくの雨、雨、雨。ビショ濡れのウエット状態。
ま、こんなこともあるさ。峠のライバルは、コンディションが
回復するまで待っちゃくれないでしょう。
最速の栄冠を手にするためには、たった一度きりの
タイムアタックにかけるしかないのだ。
どのドライバーも、緊張感が高まる。ピットから
タイムアタックコースに向うトンネルの中は真っ暗で、
行く先にはビショ濡れの路面が、いまか、いまかと
走り屋のミスを待ちかまえている。
ヨッシャ、こうなりゃ行くしかないでしょ。
これまで、吐いたツバは飲んだことがないんだから……。

 


タイムを計るということは、非常に厳しい状況に、
自分を追い込むということなのだと思う。

レースじゃないんだから、楽しんで走ればいい。
事故らないように、ちょっとセーブして、
自分のマシンの限界と、自分自身のテクニックの
限界内で、スポーティドライブを楽しめばいい。

そう思うのだ。誰だって、事故を起こしたくはないし、
限界を超えたくもない。だけど、だけど、
だけど……なのだ。どうしてだか分かんね〜んですけど、
フツフツと胸の中で燃えているモノがあるのだ。

好きなオンナの子に「セックスが下手ね!」と
言われるのと「運転が下手ね!!」と言われるのと、
どちらが傷つくだろう? どちらがショックだろう? 
ウーンこのふたつは、なんだか知らないけど
「オトコのコケン(コカン?)」に関わって
しまう大きな問題なのだ。

クルマをうまく走らせること、誰よりも
速く走りたいと思うこと、負けたくないという
気持ち……コイツは、ボクたちにとって、
どうにも抜きがたい大問題なのだ。

何故?と聞かれても、うまくは答えられない。
どうして?と尋ねられても、自分の口じゃうまく
説明できない。だけど、そのホットな気持ちが
あるってことだけは、メチャメチャはっきりしているわけだ。

で、走り屋は、タイムウオッチを押して全開スタートする。
ライバルに負けたくない! これも本当だ。

だけど、それよりも、自分に負けたくない!!というのが、
究極の目標だ。相手がいなくてもいいのだ。
昨日の自分がライバルなんだから、そいつを
抜くために、もう少しアクセルを踏むのだ。
そいつに負けないために、昨日よりブレーキングを我慢するのだ。

ウエット状態の間瀬サーキットで繰り広げられる
最速選手権は、同じクラスのドライバーが、
前を走っているわけではない。慣熟走行で覚えた
コース&ラインを、もっと速く、もっと過激に攻める
自分がいるだけなのだ。1分ちょいのタイムアタックは、
長いようでいて、意外に短い。ひとつのコーナーは、
一度きりしかアタックできない。

だから、ささいミスが命取りになる。オーバー
スピードでの進入、ブレーキングの遅れ、
ステアリングミス……ひとつひとつが、
即コースアウト&クラッシュの危険性を孕み、
最終的にはライバルドライバーとの差が
開がっていくことになる。

上の写真をジックリと見ていただきたい。
各クラス最速のタイムを叩き出したドライバーと、
最速野郎の名誉をかけて戦う松本&織戸、
そして猪爪選手の雄姿……である。

ここにくるまでの数年間、何度もワインディングを
攻めた。クルマを全損させたことも、自分が
死ぬか?と思ったこともある。だけど、
どうしてだかクルマを降りれずに、
とうとうここまで……きてしまった!!

 

 

極度の緊張感をバネに、織戸の強烈なアタックが炸裂!!

わずか100分の4秒の僅差で競り勝つ
……やっぱオリドはここ一発で見せてくれる!!

■CARBOY STREET最速選手権inMAZE予選タイム シルビア/180SXクラス

1 1.12.498 20 岡島誠 180SX 石川県金沢市
2 1.13.072 17 真柄孝志 PS13シルビア 新潟県中蒲原郡
3 1.14.542 19 越智悟 S14シルビア 神奈川県座間市
4 1.16.701 15 関康弘 S14シルビアKs 埼玉県大宮市
5 1.17.003 21 山崎友美 180SX 青森県上北郡
6 1.17.159 22 高見澤悟 180SX 東京都港区
7 1.18.022 18 神林高 PS13シルビア 神奈川県横浜市
8 1.20.668 16 小川忠俊 180SX 茨城県日立市
9 1.20.938 24 石田一男 S14シルビア 埼玉県鳩ヶ谷市
- - 14 板垣昌樹 PS13シルビア 宮城県亘理郡
- - 26 フュージョン駒形 S14 新潟県西蒲原郡
- - 57 古口美範 180SX 栃木県河内郡

スケベ心を出して交換したレインタイヤがアダになった松本晴彦


正丸峠のスピンスポット魂がウエット路面で空回りする!?
14秒台という驚異的なタイムをマークした杉林AE86は……正直スゴイ!!

 

■CARBOY STREET最速選手権inMAZE予選タイム AE86クラス

1 1.15.21 39 杉林健一 AE86 富山県魚津市
2 1.15.909 30 松野暁人 AE86レビン 富山県富山市
3 1.16.096 42 里雄一 AE86レビン 富山県魚津市
4 1.16.172 38 山崎浩史 AE86 富山県上新川郡
5 1.16.418 43 フレッシュコンマ秀良 AE86 新潟県西蒲原郡
6 1.16.777 32 山本学 AE86 新潟県中魚沼郡
7 1.17.375 28 杉原たけし AE86 長野県長野市
8 1.17.589 37 千葉直彦 AE86 群馬県前橋市
9 1.19.865 36 金川幸正 AE86 富山県魚津市
10 1.20.786 31 桜井富夫 AE86トレノ 間瀬サーキット
11 1.21.417 27 足立信一郎 AE86 兵庫県加古郡
12 1.24.990 35 岩間卓哉 AE86トレノ 東京都東久留米市
13 1.27.909 34 山口英邦 AE86 埼玉県飯能市
- - 33 大隈亮 AE86トレノ 大阪府吹田市
- - 40 長谷川清弥 AE86レビン 新潟県西蒲原郡

圧倒的なパワー差に挑む猪爪インプレッサ

だが、下山ランエボは各サーキットのレコードホルダー
SPLバージョンのランエボの強烈走りに……猪爪……散る!!

■CARBOY STREET最速選手権inMAZE予選タイム ランエボクラス

1 1.11.027 47 下山正明 ランエボ 愛知県尾張旭市
2 1.12.186 49 中川満 ランエボ3 石川県金沢市
3 1.15.686 48 大福地昇 ランエボ 栃木県塩谷郡
4 1.16.269 45 木暮雅広 ランエボ3 群馬県前橋市
5 1.18.309 46 濱田一彦 ランエボ3 愛知県名古屋市

 

 

いやあ、こいつはハードな戦いだった。

ウエット路面であること、1回きりのの
タイムアタックであること等の条件が、
ドライバーに大きなプレッシャーを与える。

だが、燃えているヤツは、ギンギンに攻めてくる。
慣熟走行で探したベストラインを、どれだけ正確に
トレースすることができるか? あるいは
ブレーキングをどこまで奥に持っていき、
立ち上がりを速くするためには、どんな進入がいいのか?

ピットスタートしたドライバーの頭のなかには、
様々なことが去来する。タイヤはいつ温まるのか? 
ブレーキはどこから効くようになるのか? 
そいつを探りながら、1周の準備ラップを終え、
一気にタイムアタックに突入する。

それまで考えていた作戦、そして、なによりも
それまでに鍛え上げてきた自分のテクニックと、
マシンのセットアップ能力が、1回きりの
タイムアタックで問われるのだ。

もちろん、ミスをすれば終わり。取り返すだけの
時間も周回数もない。慣熟走行時につかんだ感触、
そして路面が変化してきていることに対しての
自分自身の対応が、瞬時に行なわれないと、
ライバルを凌ぐ好タイムはマークできない。

これまで、間瀬サーキットでは、ドライ時の
AE86タイムは1分10秒前後。180SX&シルビア
クラスで1分8秒というところだった。

だが、ウエット状態となったことで、ランサーを
除くクラスでは、パワー差が、それほど気にならなくなってしまった。

それよりもタイヤの選択、ブレーキパッドの選び方が
問題になってくるわけだ。予選を勝ち抜くためには、
最初に行なった慣熟走行でつかんだセッティングの方向を、
2回目の慣熟でチェックし、そのままタイムアタックに
入る……ということが必要になってくる。

ここで方向を間違えれば、それでおしまい。

このギャップと、ホンのささいなミスに泣いた
ドライバー諸君が、間瀬にはひしめいていた。
だが、だが、だが。また明日があるさ。
もっと速く、もっと攻め込める明日が……きっとくる!!

 

 

ブレーキングは、コーナーに入る前に、完全に終了
させておく!と、教習所では厳しく言われたことを
覚えている人も多いと思う。コーナリング中に
ブレーキをかけると危険だし、その状態というのは、
オーバースピード状態なのだ……である。

たしかにそのとおりであります。安全運転には、
コーナー手前のブレーキング終了は守っていただきたい。
が、であります。人より速く走ろうと思えば、
人とは違ったことをしなければ、絶対に速く走れません。

だから、ブレーキングは、クリッピング手前まで
残しなさい!と考えていただきましょう。
つまり、コーナー進入時にはブレーキペダルを
踏んでいる状態で、クリッピングポイント
(こいつがどこかわからない人は、直線で
ブレーキングを終わらせてください)手前まで、
ブレーキングしている状態を保つのだ。

もう少し詳しくいきましょう。直線の終わり、
つまりコーナーの始まりの手前から、ブレーキングが始まり、
シフトダウンも一緒に済ませます。その時、クルマの
荷重はフロント側に移っているわけですが、
完全に移っていると、リヤのトラクションがなくなって、
リヤが流れてしまってドリフトになってしまうので、
リヤもキチンとグリップしている状態での話であります。

で、コーナーに進入するワケですが、その時に
ブレーキングを残すことで、フロントのグリップ
感もあり、操舵感も保持していけるのです。

最初の直線ブレーキングで、80%程度減速して、
そこで残った20%程度をの減速をクリップ手前までに
終了することになる。そして、クリップを過ぎたら、
リヤタイヤのグリップ感を徐々に上げて
いくように、アクセルを開けていく。

このときに、アクセルを開けすぎると、リヤに
パワーがかかりすぎ、ドリフト状態に入ってしまう
から注意すること。ここでジッと我慢の子で、
クルマが、そしてハンドルがコーナー出口に向かって、
スーッと抜けられるような状況が、速いコーナリングを実現する。

もちろん、タイヤやエンジンの状態によって、
その具合や状況はいろいろ変化するが、基本的には、
クリップ手前までブレーキを残して入ることが、
無駄なく、無理なくコーナーをクリアする方法だ。

コーナー進入時には、ブレーキ操作によって、
リヤのグリップ具合をみながら、フロント荷重を
しっかりとかけて、ニュートラル状態でクリップを
通過。そして、今度はアクセル操作によって、
リヤタイヤのグリップをみながら、パワースライド
しないように(これはタイヤのグリップ限界を
超えているということ)パーシャルで立ち上がっていく。

そしてコーナーを出れば全開あるのみ。よほどクルマの
差がない限り、コーナリング中のスピードというのは、
それほど変わるものではないのだ。変わってしまうのは、
ブレーキング時と、立ち上がりの早さの差が、
直線での差になる……からね!!


 

AE86というクルマは、リヤのトラクションを
どれだけシッカリかけることができるか?
ということが重要になる。足まわりの
セッティングのレベルによって、速く
走れるかどうかが決まってしまうのだ。

極端な話で言うと、初心者でも、ある程度
セッティングが決まっているクルマに乗ると、
けっこう速く走れてしまう。これは、クルマの挙動が
安定していることや、ハイスピードに対応しているからだ。

というわけで、AE86のセットアップ方法としては、
リヤにトラクションをかける方向で行なう。
もちろん、フロントの接地感や操舵感も大切な要因だ。

ただし、フロントとリヤのバネレートを云々する前に、
基本的な部分をシッカリとチェックすることが
必要になる。つまり、フロントのショックの
アッパーサポート部分がグニャグニャしていると、
いくらバネを硬くしても、そこで逃げてしまう。

また、コントロールアームを始めとするブッシュ類は、
ノーマルではちょいと強度不足ということもあるが、
径年変化でへたっていると考えておいて間違いないだろう。
だから、サスペンションチューンする前に、各ブッシュ類の
チェックと交換が必要だ。そして、バネレートとショックの
ストローク、減衰力のセットアップに入っていくという寸法だ。

目標は「タイヤのグリップ力をめいっぱい使える」ということ。
だから、コーナー進入の姿勢、アクセルON/OFF、
あるいはブレーキング時、コーナリング時に、タイヤが
きちんとグリップしているか? トラクションがかかって、
クリップポイントをクリアできるか?をチェックする。

で、そのクルマの状態に応じて、フロントとリヤの
バネレートを上げてみたり、下げたりして、探っていくわけだ。
AE86の場合は、この作業が一番重要になってくる。
ドリフトしている時にはわからなかったタイヤの
グリップ感がつかめるようになったら……
ちょっとレベルが上がった証拠。

 

 

いや〜、最高です。当日、そしてそれからと、
エントラントや関係者から、いろんな意見を
聞かせてもらいましたが、予想以上に一発勝負の
タイムトライアルは、緊張感があってグッド!
という反響でありました。

ま、今回は、ウエットコンディションという
こともあって、タイムアタック前の予備走行を、
1周ではなく2周にした方がよかったか?とか、
慣熟走行を2回に分けて行なったのは結果オーライで
あるとか、サーキットに1台きりが走っている状況
というのは、通常では考えられないことなので、
ギャラリーや他のエントラントが、必死でそいつの
走りを見つめている……などなど、いろんな局面が
あって、なかなかに面白いという結論をいただきました。

今回は、ハンディレースに言及するページが
少なかったので、ここで、ちょいとばかり
補足しておきますと、AE86クラスの勝利者である
杉林選手と、シルビア&180SXクラスの織戸選手、
ランエボクラスの下山選手が、それまでの自己ベスト
タイムをどれだけ更新することができるか?という戦いだった。

結果はというと、織戸選手が自己記録更新タイムが2秒11、
下山選手が0秒75、杉林選手が0秒612という順序だった。

高速域でのハイドロを、FR遣いとしてはバツグンの
ドライビングで乗り切ってしまった織戸選手が、
更に速さを更新した……という、ギャラリー
全員トリ肌ものの走りを披露してくれた「ハンディレース」。

路面状況の変化というのもあったけれど、スタート前の
緊張した織戸選手(上の写真がそ〜ですよ〜)が、
そのプレッシャーをバネにして、見事なFR走行を
見せてくれたことは、エントリードライバーの間でも評価バツグン。

「さすが……ですね。プロの走りはこうか……と思いました」
というコメントが、今回の織戸選手のガッツを表現してくれている。

とまあ、恐怖と意地と、テクニックが三つどもえの
CBストリート最速選手権だが、こいつは、今回で
終わりじゃない。いんや、これが始まりなのだ。
ここから、新しいタイムアタック伝説が始まる
……そう思っておいてほしい。

次の舞台はどこになるのか? まだまだ未定であります。
だけど、今年のCBのタイムアタック野郎応援作戦としては、
いろいろなサーキットや一般道(?)を使っての
ストリート最速イベントを開催していくつもりなので、
その気とテクのあるキミは、今晩からヤマで腕を
磨いておいていただきたい。

全国の我こそは最速と自称する走り屋諸君! 
ストリートで一番速いヤツってのは、一体全体
誰なんだ?そして、速いということは、どういうことなんだ? 
そういうことを、CBと一緒に考えていこうじゃ
あーりませんか。やっぱり速いヤツはカッコイイ。
これは、チューニング世界じゃ鉄則です。

伝説を作るのは誰か? そしてその伝説を打ち破るのは
誰なのか? そのうちCBストリート最速選手権で
お会いいたしましょう。そのときゃマジで勝負しましょうぜ!!

 

 

 





↑できるだけ、いろんな方に見ていただきたいので、
よろしかったら、お願いします。


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