相手のマシンを抜くことよりも、
まず、自分の恐怖心を克服することが先決問題であった。
リヤビューが見えなくなるほどの水煙を上げ、
苛酷な戦いに、我を忘れてのめり込んでいった。
『恐怖と背中合わせの戦いだった』
とタイトルのリードに書いた。
ほんと、まったくもって、人非人といいますか、
仕切り直しがきかないイベントの強行突破作戦といいますか。
いま考えれば、とんでもない主催者でありましたね。
ドライバーズミーティングで言った言葉は、
「危険ですので、自己責任で走ってくださいね」
とまあ、なんとも無責任なものでありました。
出走するもしないも、エントラント任せ。
そういうことが、なんとはなく、まかり通ってしまった時代でした。
でも、GO!サインが出たら、なんとか、そのコンディションに合わせて
必死に努力するメカニック&ドライバーさんたちです。
各所に、苦闘する様子が出てまいります……。
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