FISCOのドラッグシーンを席巻した
驚異的なL型ツインターボの完全分解を取材。
当時から先進的なKNOWHOWが詰め込まれていた!! 1990年8月号
以下の写真は、文字が読めるように、大きなファイルを使用しています。
ちょっとダウンロードに時間がかかるかもしれませんが、
拡大していただければ、かろうじて文章が読める……と思います。
よろしくお願いします。
L型ターボ仕様には、KKK-K27タービンがツイン装備されていた。
俗称「F1タービン」と呼ばれたタイプで、高過給2.7kg/cm2で
ドライブされていたのだが、けっこうブローしたケースが見受けられた。
当時、アメリカのポモナでドラッグチームの取材をしたときに、
バルブスプリングが3重にセットされていて、それはそれはセット荷重が
ものすごくて、とてもじゃないけれど、縮むことが信じられないほど。
で、「どうしてこんなにセット荷重がでかいスプリングを使うんだ?」と
聞いてみたら、平気な顔して「それは、カムシャフトのプロフィールを
正確にトレースするためだ!」と抜かしやがる。
あ、もちろん、英語ですよ。ブロークンな(笑)
で、「あ、そう、なんか、違うと思うな」と言ってやったら、
「どうしてだ???」とヤンキー顔丸出しで凄んでくるんで……。
「あんたらが使ってるバルブは、こんなにデカイじゃないか。
こいつに過給をかけて使ってるんだったら、バルブが閉じてなければ
いけないときに、過給がバルブを押して、開いてしまうんじゃないの?」
「………………………………日本じゃそうなのか?」
「オレたちが使ってるバルブは、おまんらの半分くらいだけど、
K27タービンで2.7kg/cm2かけると、開いてしまうんだ」
「やっぱり……………………実は、これはトップシークレットなんだ。
知ってるやつは上位8チームくらいしかいない。でも、日本では常識なのか」
「うん、大抵のやつは知ってるぜ」
「凄いな、日本は、進んでるな〜!」
嘘です。当時の日本人はほとんど、そんなことを知らずに、
「どうして壊れるんだろ? どこが悪いんだろう?」と
首をひねってばかりでした。
だけど、例外はいるもんです。
800馬力のターボパワーを誇っていたカキモトレーシングのL型は、
バルブスプリングを、思いっきり荷重かけてました。
「藤本くん、どうも、バルブがな、開いたらあかんときに、開くんやないかと
思うんや。それ以外に原因は考えられへん」
あるとき、ボソッと柿本さんが呟いた。
そのことを記憶していた僕が、針小棒大に
ヤンキー野郎にかましてやったわけです。
日本人ですからね〜(笑)
とまあ、そういうことを考えていたカキモトレーシングの
800馬力ツインターボの完全分解シーンです。
当時としては破天荒なパーツ遣いをしてました。
L14コンロッドの側面に補強板を溶接したり、
ロッカーアームの軽量具合も、NA時代とは大きく異なります。
柿本ワールド……お楽しみ、ください。
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